王都を目指そう(1)
【索敵】のスキルを持った部下に呼ばれて来てみりゃ、なんだ?あのよく分かんない生き物は……
最近盗賊が出始めたって聞いて、警戒体制を敷いていたから、てっきり奴さん達が来たのかと思ってたのによ。
見てみたら、真っ黒なオーラを立ち上らせ、髪の毛は伸び放題のボサボサで、半眼の丸眼鏡に奇抜な格好。
そんでもって、発情したオヤジみたいな顔でお姫様抱っこした、エルフ族の少女?(連中は姿と歳が一致しない)の胸を揉み揉みしてる、へんちくりんな化け物がこっちに走って来てるじゃないか。
「お前ら、罠かもしれん。取り敢えず、弓を向けて警告しろ」
門の前にいた衛兵が、弓を向けて停止するよう警告した。
ふむ、素直に従ったようだな。
遠くからだと、エルフ族の少女で隠れて分からなかったが、化け物にはデカイ乳が付いていたから、どうやら女だったらしい。
種族も人間だ。
はっきり言って、俺はあんなの女だとは思いたく無いがな…
むしろ、一生会わずにいたかったな。
まぁ、来ちまったもんは仕方ねぇか…
さてと、お仕事お仕事っと……
☆
「そこの化け物!止まれ!」
化け物?誰が?もしかしてこの私の事言ってるわけ?
……なんだとぅ!?許さん!
どう見間違えたら、この超ハイスペックで万能選手権大会優勝確実なこの私が化け物に見えるんだ畜生め!!
出会い頭に何時も何時も喪女喪女言いやがって!!
妖怪淫乱丸眼鏡女とは言われたが、化け物なんて呼ばれたのは初めてだ!
この私をここまでコケにしたおバカさん達は初めてです。
ぬっこらしちゃる!!
そら、いてこましたれ!!
「あのぉ、私怪しい者ではありません。…出来ればその、弓を向けるの…ヤメテ頂けたら嬉しいピョン♪…なんつって…」
シーン…ヒソヒソ……
す、滑った…さすがは私、この豪快な滑り方は誰も真似出来まい…
「ふぅっはっはっはっはっはぁっ!!!!いやすみませんごめんなさいだから弓引き絞らないで」
おのれぇ、覚えとけよぅ!いつか、この大魔王なる私に弓を向けた事を後悔させちゃる!!
そんでもって、村のかわいこちゃんをペロペロして、〇〇〇を☓☓☓して■■■で※※※してやるからな、うひょうひょうひょひょひょひょwww
む、門の中から誰が出てきたね。
これはまた、ガチムチマッチョマンなアニキですな。
腕が、私の太股位有るんじゃなかろうか…
「あんた、何者だ?」
「大魔王だっ!!」
「大魔王だぁ?あんた……魔族か?」
えっ?なに?アニキの視線が凄いコワイんですけど!?しかも、何か兵隊さんがたくさん出てきたよ!?
「もう一度聞く、あんた魔族か?」
「人間です!!正真正銘の22歳、ピチピチの神聖ヴァージンウーマンですはい!!」
そしたら、急にアニキの視線が暢気なものに変わった。
こぇぇ…おしっこチビっちゃう一歩手前だったよ!?
サクッとやられちゃうとこ想像してたよ!?
あっ、ちょっと濡れてるかも…いやん。
「あ、あの!瞳子さんは悪い人ではありません!……ちょっとえっちですけど…」
り、リーラちゃん…うるうる…あとでたっぷりペロペロしてあげるからね!!
「お、おぉ。そうか。おい、お前ら!多分コイツら大丈夫だと思うぞ」
アニキ、そんなんで大丈夫か?なんて、この私が言えるはずないじゃないですか。
ぞろぞろと、兵隊さん達が引き揚げて行ったけど、帰り際の私を見る痛々しい視線が…もっと私を見てぇ!!
「おっと、そういやあんたら、ここら辺で盗賊が出たらしいんだが、何かしらないか?」
アニキが近付いてきた。
盗賊さん?朝のかな…
あの人達、まだ生きてるかなぁ…
「盗賊さんなら、朝襲われたけど。寝てたら、サンダーボルトで感電プレイされた」
「何!?どうりで、ボロボロで、ちぐはぐな格好をしてる訳だな。どこら辺で襲われた?そいつらぶちのめして来るからよ」
あらやだ。心配してくれてるのかしら?
でも、残念。私は男の娘か女の子しか興味無いもんね!うへへへ…
「大丈夫です。瞳子さんが、全員倒しましたから」
「て事はなんだ?コイツはなんでこんな姿してんだ?俺はてっきり、盗賊にやられたのかとおもったぜ」
失礼な!この格好は正装ですぜアニキ!
というか、聞き返す所違くない!?
普通倒した所を聞き返すよね!?
「ま、まぁ…マスターは何時もこんなですから」
ミルクたん…慰めになってないぉ…
こうなったら徹底的にペロペロしちゃる!
「ペロペロペロペロレロレロジュルジュルペチャペチャ」
「マ、マスター!?そんな人前で、ぇ……あっ、んん!」
「ピクシーとは珍し…っておい!?あんたなにやってんだ!?」
「瞳子さん!!」
リーラちゃんとアニキに羽交い締めにされた。
は、放せ大佐!
「性欲をもてあます!!(キリッ!)」
「意味分からん!」
「ドナ〇ドは、嬉しくなるとつい、やっちゃうんだ(キリッ!)」
「誰ですか!ド〇ルドって!」
赤いパーマの黄色い作業着着てるピエロさんだよ。
ドナ様は神様ですはい。
結局、ミルクをリーラちゃんに取り上げられて、村の中に入った。
この村の名前はオルアケ村だそうで、人口は約三百人で、家々は密集して建てられていた。
中央には共用の井戸と、少し広い広場があって、オバサン達が洗濯や本物の井戸端会議やってた。
私達は、村唯一の宿屋に連れて行かれた。
泊まっているお客はいなかったけど、宿屋自体はボロくなく、どっちかと言うとこざっぱりしていた。
一階は酒場兼食堂で、朝っぱらからおっちゃん達が、お酒を引っ掛けてた。
二階に泊まる部屋があるらしい。
宿屋の女将さんは五十手前の豪快なお方で、酔っぱらいのおっちゃんをぶっ飛ばしたところを目撃してしまった。
女将さんつぇぇぇ!マジつぇぇぇよ!
なんか、北斗〇拳みたいだったよ!?
おっちゃんが、ばびゅーんって、ばびゅーんって飛んでったよ!?
てか、おっちゃん起き上がらないけど、生きてるのアレは……
ま、まぁ、大魔王の私だってあの位は出来るぉ!!
超余裕。余裕のよっちゃんだし。
月まで飛ばせるぉ!!
悔しくなんて無いんだからね!?
ふぅっはっはっはっはっはぁっ!!
「ふぅっはっはっはっはっはぁっ!!」
「あの娘っ子は…あぁ、大丈夫なのかね…」
「瞳子さんがお騒がせします…」
ねぇ最近、みんな冷たくないですか。
というか、この世界そのものが私に冷たくない?
畜生!喪女で何が悪いだ!喪女万歳!万歳!万歳だい!(ドヤッ!)