再会
まさかの急展開!?
「何だかんだと聞かれたら、答えてあげるが世の情け。世界の破壊を防ぐため、世界の平和を守るため、愛と真実の悪を貫く、ラブリーチャーミーな敵役!瞳子!」
「…フェ、フェルですぅ!」
「銀河を翔る大魔王軍の二人には!」
「ふぇぇぇ、白い明日が待ってますぅぅ!?」
決まった…
最初からやりたかったけど、誰も聞いてくれないんだもんね。
さぁ、これでどうだ!?
「……………」
「……………」
「……あのぉ」
「……馬鹿?」
なん、だと…?
私とフェルちゃんの名乗りを馬鹿と…
ハッ!落ち着け落ち着け…このままでは平行線じゃないか…
「じゃぁ、次はこっちの番。アンタは日本人?」
「…………そうだ」
シブシブと言った感じで、濃い髭が特徴のお口を開けて喋った。
おお、同郷の人だ!
「お前は男か?」
「どうみても、ピチピチの22歳独身の神聖ヴァージンウーマンにしか見えないでしょ!!」
「いや、甲冑を着ていたらわからんだろ!?」
あ、忘れてた。
大人気なく更に力を入れちゃった。
失敬失敬。
「アンタは何時来たの?あ、出来れば向こうの日付とこっちの時期でよろ」
「フンッ、注文が多いが…こっちに来たのは30年前だ。向こうは…覚えて無いな」
ふむぅ…30年前かぁ。
でも、30年前にコンピューターは余り普及してないし、インターネットも確立して無かったはずだからなぁ。
送られて来た時期がズレてるとしか思えないんだよね。
「お前は何時来たんだ?」
「私はまだ二週間くらいかなぁ。向こうは……あれ?何時だっけ?」
「俺に聞かれても分かるか!」
「ですよねぇ」
何故かそこだけ、スッポリと抜けちゃってる感じがする。
な~ぞ。
「アンタの本名は?」
「それを聞くか?」
「も・ち・ろ・ん」
「チッ、………黒森雄輔だ」
「え……?」
え?ウソ。
何言ってるの?
私意味分かんない。
そんな馬鹿な…いやいやいやいや…
なんで雄輔が居るわけ!?
どう言う事!?
偽物の可能性は?
同姓同名とか?
「…瞳子」
「……そういやぁ、なんで俺の姉の名前を…知り合いか?」
どうやら本物のようです…
拝啓母上様
あんなにショタショタでプニプニでペロペロしたら初心な反応を返してきた雄輔が、こんなにムサい髭モジャガチムチマッチョマンのオッサンになってました。
しかも、私より年上です。
私、異世界で肉親に再開したのに、さっぱり嬉しくありませぇん!
誰かー、助けてー!
敬具
「ゆうちゃん…」
「おい、待て待て待て、待ってくれ!!まさかそんな筈は…お姉ちゃん?」
フンメル王こと雄輔は、プルプルと震えながら大剣を取り落とし、地面にへたり込んだ。
こちらもしゃがんで目線を合わせる。
でも、まさか自分の弟が、30年前のこの世界に飛ばされていて、地味に一国の王様になってるとは思わなかったぉ。
色んな意味で逞しくなっちまって…
「もう二度と会えないと思ってたのによぉ…」
雄輔が、ガチ泣きし始めた。
抱き着いてきたので、髭が暑苦しいけれど、取り敢えず背中を擦ってやる。
よくよく考えると、もしかしたら私の後から来たけど、飛ばされた時間が違かったと言う事だよね…
ちょっと待って、雄輔って幾つで飛ばされたん?
「お姉ちゃん!今まで悪かった!ずっと謝ろうと思ってたんだ!!」
途端に雄輔が土下座をして、額を地面に擦り付けている。
一体なんのこっちゃ?
私、何か謝られるような事されたっけ?
「お姉ちゃん、俺は、俺は……!!」
「親父から離れろぉぉぉっ!!」
「「は?」」
「「「「えっ?」」」」
突如として、全身黄緑色の騎士甲冑を着た謎の人物が、奇跡の姉弟再会劇に騎馬で乱入してきた。
ハルバートを振り回しながら、真っ直ぐこちらに向かって来る。
どうやら、スレ違い様に一撃をお見舞いしてから離脱したいみたいだ。
ビムサ先生に迎撃して貰うべく、魔力を流して摘まみを捻る。
取り敢えず、このままでは威力が高すぎて、しかも長いから取り回し辛い。
だから、一番最初に見たブレードくらいの長さにまで調節した。
まずはビムサ先生の一ノ太刀でハルバートを両断して、二ノ太刀で馬を斬って捕獲かな。
黄緑色の騎士甲冑が、私を射程圏内に収めた瞬間、恐ろしい速度でハルバートを薙いだ。
こちらはそれに合わせて、ビムサ先生がちょうど柄の真ん中辺りに来る様に調節して振り下ろした。
が、
こちらの斬撃が当たる直前に、黄緑色の騎士甲冑が手首を捻ってハルバートの軌道を変え、ビムサの下から潜り込む形で斧状の刃が迫ってきた。
うそっ!?
ヤバいじゃん!!
もう避けられな…
吸い込まれる様に、ハルバートの刃が胸甲に叩き込まれ、体が宙を舞う感覚がした。
後ろにぶっ飛びながら、首を捻って雄輔の方を見た。
泣きそうな顔をしながら、黄緑色の騎士甲冑に鎧の襟首を掴まれて、騎上に引っ張り上げられて回収され、急速に離脱させられていた。
「お姉ちゃぁぁぁぁぁん……――――!!」
空中で一回転して、その場に着地する。
もう一度雄輔の方を見ると、もう既に小さくなっている。
本気で走れば追い付かない事も無いが、今は得策だとは思えないので、雄輔には申し訳ないけど追撃は止めた。
もうなんか呆然とするしか無い気がするぉ。
一体何だったんだ?
青騎士みたく個性豊かな色使いだったけど。
一瞬親父って単語が聞こえてきたけど、ど言う事?
ハッ!そんな事よりも、ミルクたんは大丈夫!?
「ミルクたん!大丈夫なら返事して!!」
「…マスターぁ?どうかしましたか?そんなに慌てて」
ミルクたんが胴丸の隙間から、ひょっこり顔を出した。
見たところ怪我をしてそうにも見えない。
はぁぁぁ…
焦った焦った…
【アダマン・フルメイル】は、刃は通らないけど衝撃はモロに伝わるからね。
お陰でEのオπが痛いぉ。まったく、胴丸が無ければ即死だった。
なんか、色々と疲れたぉ…
はぁぁ…と溜め息を吐いていると、後ろから誰か走り寄って来る足音が聞こえた。
振り返ると、皆がこちらに向かって走って来ていた。
なんか難しい顔をしている。
「一体どう言う事なのかしら?」
おぉう…
ノンナさんの背後が揺らいでる…
てか、開口一番がやっぱりそれですか…
みんな説明を求めるような視線を送って来るしなぁ。
はぁ…
「えー、落ち着いて聞いて頂きたいんですが」
「勿体振らないで早く言ってくれる?」
アナスタシアさん怖いっす…
「……フンメル王は、どうやら私の弟みたいです」
『何それ漢字豆知識クイズー!パチパチパチ
このコーナーでは、普通使わない単語やトリビアな漢字の読み方とかを出題します!
正解しても何も無いけどね。
それでは行きます!
『金縷梅』
これはなんと読むのでしょうか!
出来ればパソコンで調べるのはやめましょう。
そして、前回の答えの発表です!
『海髪』と書きまして、『おごのり』と読みます。
イギス科の海藻で、干潮線付近の岩や海藻に着生しています。
お刺身のツマや寒天の材料として用いられるので、見た事がある方もいらっしゃるやもしれませんね。於胡海苔とも書かれます。』




