フンメル(1)
間が空いて申し訳ありません。
「お、おおぉ、おおおおぇ○○○○○○」
「ひぃぃぃぃっ!?」
うっぷ…何時まで経っても、スプラッタはアカンよ…
脳ミソブシャとか、ゾンビ映画じゃ無いんだからさぁ、本当に勘弁してほしいぉ…
いや、その前に、ヘルムの中に溜まって息出来ないから、早く脱がないと…!
イテッ!目に入った!
胃液がぁっ!?目にぃ、目にぃぃ!!
目がぁぁ!私の目がぁぁぁ!!
は、早くステータス画面から、ヘルムを取らなくては!
自分の眼球と命の危機だ…
ステータス画面から、ほぼ目隠し状態でヘルムを取り外す。
少し削れたヘルムが消え、ついでに顔面と眼に入っていたゲ○ンチョも消え失せた。
一緒に、眼の痛みも引いた。
素早くヘルムを召喚して、被り直す。
「た、助かった…」
行きが止まっていたせいで、新鮮な空気を求めようと自然に呼吸があらくなる。
あぁ、シャバの空気はうまいモナー。
「まさか、人間がまた飛んで来るとは思わなかった…」
隣を見るとフェルちゃんが、ガクブル震えている。
震えながらも、ダンプカーに撥ねられた様な死体を凝視してる。
眼を両手でしっかりと閉じてはいるけど、隙間から見てる。
て言うか、隙間がでかい。
手のひらをパーにしたまま当ててる。
完全に隠す気ゼロだよね。
「まったく、ノンナさんもやる事が違うなぁ…」
「…誰が違うって?」
「そりゃぁ、ノンナさ…つっ!?」
向いている方向とは逆の方向から、声をかけられて振り返ると、そこには夜叉が一人立っている訳で、タチが悪いのはその右手に、鈍く光る片手剣を握っている事かなぁ。
あれ?ノンナさんって、ボディーチャージとかタックルとか金的が武器じゃないの?
「さて、何か言うことは無いのかしら?」
こ、こえぇ…!
顔は満面のスマイルだけど、眼が全然笑ってない。
むしろ余計に鋭さが増してる。
「…ごめんなさい?」
「なんで疑問形なのかしら」
「さ、さぁ…なんでだか自分でも分からないであります」
こっそりと背後から近付いて来た敵兵を、視認もせずに回転斬りで真っ二つにしてしまった。
な、なんとも恐ろしや…
この人に、剣なんか渡しちゃいけないんじゃない?
「なんで私が怒っているか分かる?」
「……な、なんででしょうか」
「なら、教えてあげるわ…」
すごーく、コメカミがピクピクしてるぅ…
これはヤバいぞ、相当怒ってるぉ!
なんとかして、この荒神を鎮めなくては…
「まずは、私達を置いて先に行っちゃた事。次に、二人だけであの軍隊に挑んだ事。そしてあの黒いオーラは何?凄い心配したのよ!?もしなにかあったら、私はリーラになんて顔してそれを言えば良いの!?」
なんだか、ノンナさんが泣きそうな顔をしてる。
どどどどうしよう!?
「おお落ち着いて!」
やっぱり、先に行ったのは悪手だったかっ!
どうすれば…
「いやっ!」
いやぁ、可愛らしくいやっ!って言われても困っちゃうぉ…
でも、なんかノンナさんがデレてる。
グヘフヘ…
むっ…!
なんか首筋がピリッと来た。
左を見てみると、アナスタシアさんとレイラさんが、仲良くこちらへ吹っ飛んで来ていた。
慌て結界を消して、二人を受け止める。
二人とも口から吐血して、今にも危険な状態になっていた。
咳き込みと同時に血を吐き続け、呼吸は浅く速い。
その呼吸音にも、コヒューコヒューと異音が混じり、額に玉汗を掻いている。
多分内臓にダメージがあるはず。
肋骨の2~3本は、折れていてもおかしくない。
「グレイト・ヒール!」
ハイ・ヒールの上位に位置する回復魔法をかける。
ちなみに上級魔法だ。
何時もより強めで、色彩の鮮やかな翡翠色の光が、二人を包む。
喀血が止み、自分の足で立てるまで一気に回復した。
「大丈夫ですか!?」
「た、助かったわ…一体なんなのよアレ…!!」
アナスタシアさんが、自分が飛ばされて来た方向に、もうもうと立ち上る土煙を睨む。
「アナスタシア!何があったの!?」
「あの土煙の中に、とんでもない化け物がいるわ」
「私と、アナスタシアちゃんが二人がかりで挑んでも、まったく歯が立たなかったよ…」
【ゴールドランク】二人に挟撃されても、まったく動じないヤツって、何者だろう?
まぁ、私程じゃあ無いだろうけどねぇ。
でも、私同様に異世界人かも知れないなぁ。
可能性はあまり高くない、と思う。
勝負は、土煙が晴れてからだね。
「もう大丈夫よ。助かったわ」
アナスタシアさんが、もう何事も無かったかの様に拳を握り締めた。
いやいや、まさか武器を落としたからって徒手空拳で戦うおつもりですか!?
なんと言う闘争本能…
巨大サルに変身出来る、戦闘民族ですか。
じゃあ私海王様やる。
「来るわ!」
えっ、来るの?
来ちゃうの?
何かを察知したのか、アナスタシアさんとレイラさんの傷付いた姿を見て、動揺していたノンナさんが、鋭く土煙を睨む。
二人を傷付けられて、相当に頭に来ているようだ。
ふむ。
なんか威圧感か何かで察知してるのかなぁ。
まったく感じられないから、本当にいるのか謎い。
まぁ、居たところで、倒す事には変わり無いんだけどね。
ズシッズシッっと、体重が有って大柄そうな足音が聞こえて来た。
だんだんこちらに近付いて来るにつれて、土煙にシルエットが浮かび上がってくる。
なんだか、食玩のシークレットの形を見てる様な感じだ。
おぉ、かなり図体のデカイ敵さんですな!
きっと美味い相手に違いない!
首だけ置いていって貰おうかぁ。
いや、むしろ置いてけ。
私が昇格するのに使わせて貰いますよっと。
遂に、敵さんが土煙の中から姿を現した。
その姿は正に偉丈夫。
身長は200cmくらいで、盗賊も逃げ出す程の傷だらけの凶相に、同じように傷だらけの鈍く光る胴鎧。
私の身の丈程も有りそうな黒光りする大剣を持つ、子供の胴回り位の太さがある両腕。
髭の豊かな口許を歪め、不敵に笑っている。
なんか、いかにもな敵さんキター!
持ってる得物も曰く付きっぽいし、なんだか久々に楽しめそうな相手だぉ。
「お前が…俺の軍を滅茶苦茶にしたヤツか?」
『何それ漢字豆知識クイズー!パチパチパチ
このコーナーでは、普通使わない単語やトリビアな漢字の読み方とかを出題します!
正解しても何も無いけどね。
それでは行きます!
『羚羊』
これはなんと読むのでしょうか!
出来ればパソコンで調べるのはやめましょう。
そして、前回の答えの発表です!
『大蒜』と書きまして、『にんにく』と読みます。
皆さん大好きにんにくです。ドラキュラが嫌いなニンニクです。
ちなみに、クサスギカズラ目ヒガンバナ科ネギ亜科ネギ属の植物で、歴史は古く紀元前3200年頃には古代エジプトなどで栽培・利用されていそうです。
困難を耐え忍ぶという意味の仏教用語の「忍辱」が語源だそうです。』




