一方的な戦争(1)
早速、部隊長だと思われるオッサンに、フェルちゃんが肉薄攻撃を仕掛ける。
ひっくり返ってるオッサンに為す術は無い。
意図も簡単に組み伏せられて、フランベルジュの刃で首を押し切られた。
なんとまぁ、まな板の上の野菜みたいに斬られちゃって。
斬った本人は、頭をひっ掴んで返り血を受ける前に、離脱してる。
じゃあ、私も【ビームサーベル】の試し切りをしようかな。
「えいっ」
一列に倒れている敵さんに近付いて、横薙ぎ一閃をする。
まぁ、切れる切れる。
熱したナイフでバター切る感じに、サクサク人体を切断出来ちゃう。
まぁ、ブレード部分がビームだから、手応えはない。
もちろん超高温だから、出血なんてしない。
スタ○ウォーズのライトセイバーみたいだね。
六人くらいを一気に撫で斬りにして、まだ唖然としている第二陣とそれ以降に割り込み、まだ斬らないで走り回って陣形を掻き回す。
あたふたと走り回る姿の滑稽な事、滑稽な事。
いやぁ、やっぱり兵士も人の子だよねぇ。
私がこうして引っ掻き回している間にも、フェルちゃんが敵将?の首級をあげてる。
私も首級をあげなきゃね。
味方が近すぎる為に、槍はもちろんの事、剣まで制限されて攻撃出来ない敵さん達に対して、回転切りをお見舞いする。
緑色の閃光が円形に迸り、その閃光に当たった敵さんは、上半身と下半身がおさらばしてしまった。
これだけ斬り殺されているのに、血飛沫が飛び散らないと言う、少し謎な風景が広がっていた。
まぁ、酷いって言えば酷いよねぇ。
傷が一瞬で焼き付いちゃうから、出血しないせいで、ショック死出来なかった奴とか、上半身だけになっても、もがき苦しんでるもん。
下手に突き殺したりすると、引っこ抜く前に発火しちゃったりもする。
士気を下げるには、持ってこいかも知れんが…
『あ、ああ悪魔だぁっ!!』
『悪魔じゃない!!大魔王様だ!!』
一人の兵士が間違った事を口ずさんだのを、すかさず訂正したら、武器を投げ棄てて逃走し始めた。
我が野望の為に、数人は生かして置く事にした。
野望、即ち大魔王の名を広める事、どすえ!!
「ふぅっはっはっはっはっはっはっはっはっはぁ!!」
『畜生!化け物めっ!!』
『だから、大魔王って言ってるでしょ!!』
あぁん?聞き分けの無い脳は、この脳かぁ?この脳かぁ!?
…なんてしないぉ?
さすがにそれは、外道でっせ。
手っ取り早い方法は、数人捕まえてブレインウォッシュすれば、一番なんだけどなぁ。
まぁ、敵が大魔王だったって言う事実を植え付けるだけの、なんとも良心的なブレインウォッシュだけどね。
『我こそは、栄光ある諸王国連合フンメル軍!百人隊長のフランメル…ぐわぁぁぁっ!!!?』
うわぁ、びっくりしたぁ。急に飛び出して来たから、反射的に攻撃しちゃったぉ。
ごめんね、フランメル某。
あ、百人隊長って言ってたから、首は貰っておこっと。
ちゃんと、鶏冠付きの兜も一緒にして取るのがコツだぉ。
「あとは、アイテムボックスに詰めれば…兜と頭に分けられないかなぁ。どれ、試してガッテン」
結果
【フランメル某の兜付き生首】
に、なりました。
「…よしっ」
「ほぇ?何が、よし何ですか?」
後ろからフェルちゃんの声がしたから、振り向くと、腰から大量の生首を下げた、猟奇的な騎士甲冑が…
「ぎゃぁぁぁぁぁぁっ!?とか言うとでも思っているのかぁぁ!!」
「ひゃぅっ!?瞳子さんが、虐めます虐めますぅぅ~!きっと人間じゃないから虐めるんでず…グスッ…しかも、言ってるのに言うとでも思っているのかぁぁ!!とか矛盾してるのにぃぃぃ~…ふぇぇぇん」
「泣きながら正論を言ってくるキャラ、ktkrーー!!…いや、あの、はい…なんかすいません出来ればフランベルジュを降ろして下さい」
泣きながら、片手でフランベルジュを振りかぶって来るんだから、末恐ろしい娘…
君子危うきに近寄らず、とは言ったもんだね。
さすがに、この私でも【吸魂のフランベルジュ】はヤバい。
しっかし、結構なかずの敵将首を上げたみたいだなぁ。
もしかしたら、第一陣の上級から中級の将校の首が有るんでない?
その代わり、私は兵卒を殺しまくってるんだけど、やっぱり将校の首には及ばないかなぁ。
まぁ、昔から狙うは大将首一つって、言うからね、焦らない焦らない。
「でも大将は、どこにいるんだろう…やっぱりボスみたいに、ある程度ザコを倒さないとダメなのかなぁ」
周りを見回すと、半径10メートル程の円形に死体が倒れており、それよりも遠巻きに敵兵が、私達を取り囲んでいる。
何がしたいんだかわからないけど、槍を投げて来たり魔法を撃って来たりしてる。
さっきから、意味無いって事を教えてたのに、何見てたんだろう。
しょうがないので、火属性の上級魔法を目の前の敵に放ってみる事にしました。
「バーストボール!」
とてもファイアーボールとは言い難い、大きさも色も違う火球が頭上に出来上がる。
普通のファイアーボールは、色が赤で大きさもハンドボールに使うボールくらいなのに対して、こちらはアクアマリンの様な水色に、新大阪駅に置いてあった機関車の車輪(デカイ方)くらいの大きさになった。
例えが悪いけど、ファイアーボールはスーパーマ○オのアレみたいな感じ。
まぁ、こちらのは跳ねないで真っ直ぐ飛ぶけどね。
「ふぇぇぇ!?恐いですぅぅ!!それをボクに向かって撃つんですか撃つんですね!?」
「撃たないぉ!?」
なんか、何時もは私がボケ役なんだけど、この娘がいると良く逆転するなぁ。
なんか調子狂うぉ。
そして、何だか敵の様子がおかしい。
なんかさっきから騒がしい。
『く、くそっ!!アイツ訳の分からない剣を使うだけの剣士だと思ってたのに、魔法が使えるなんて聞いて無いぞ!!』
訳の分からないとは失礼な。
『見た目で判断するなやぃ!』
『くそっ!』
取り敢えず、目標にしている兵士が毒づいた。
まぁ、何とでも言うが良いさ。
「ほぇぇぇ、瞳子さん。さっき敵と何の話をしてたんですかぁ?瞳子さんの使った言葉が分からなかったんですぅぅ」
ん?おかしな事を言うもんだなぁ。
「何って、日本語…じゃなくて神聖大陸語だけど」
「ほぇ?それは無いですよぉ、だって分からなかったんですもん」
なにそれ怖い。
無意識の内に、言葉使い分けてるって事かいな。
通訳の仕事したら、結構儲かりそう。
まぁ、何度も言うけど、お金には困って無いから問題無いんだよねぇ。
でも、何でだろ。
これも大魔王補正?
どうでも良っか。
「それでは気を取り直して、行けバーニングボール!!」
ガスバーナーの中心みたいな水色をした火球が、お口の汚い敵兵に向かって飛んで行く。
アバヨ、君の事は忘れない。…たぶん。
キュガッ…ドドーン!!
ちょっと目標物が近すぎたかなぁ…フハハハ…
かなりの高温と思われる水色の火球が、約20メートル先にいた敵兵に直撃して、インパクトの瞬間に眩しいくらいの閃光を放ち、凄まじい熱量を辺りに撒き散らしながら、かなりの熱量を内包した爆風を放射状にぶちまけた。
咄嗟に結界を張って無ければ、フェルちゃんを巻き込んでしまうところだった…危ない危ない。
私はまぁ、巻き込まれてもダメージ受けないから、大丈夫だ問題無い。
『何それ漢字豆知識クイズー!パチパチパチ
このコーナーでは、普通使わない単語やトリビアな漢字の読み方とかを出題します!
正解しても何も無いけどね。
それでは行きます!
『既満』
これはなんと読むのでしょうか!
出来ればパソコンで調べるのはやめましょう。
そして、前回の答えの発表です!
『大曲』と書きまして、『おおわだ』と読みます。
おおわだとは、川や湖などの岸が大きく湾曲して、陸地に入り込んでいる場所のことです。』