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戦闘開始一歩手前(2)

やべぇ、魔力量を入れすぎた…

確か、この魔法って、注いだ魔力量で、オーラの大きさが変わるんだよね…

十分の一くらいも注いじゃった。テヘッ★


私の体から噴き上がった漆黒のオーラは、雲に届く一歩手前の高さにまで上がり、横は三百メートル先の敵兵のところまで広がった。

漆黒のオーラに舐められた軍勢正面の兵士達は、怯んで前進を止めてしまった。

グフフ、計画通り…

今の内に屈伸して、足の裏よしよししてっと。

おぉ、痛い痛いぃぃ…

ジンジンするぉ。

やっぱり慣れない事するもんじゃないね。


生まれたての小鹿みたいに、ぷるぷるしてるフェルちゃんを地面におろした。

小刻みに震え過ぎて、【ジャスティス・ザ・ホワイトロード】が擦れてカチカチいってら。

まぁ、元々気が弱いから仕方無いよね。

ちょっと悪いことしちゃったかなぁ。

あ、そんな事より、武器を渡さなきゃ。


「フェルちゃん」

「ななななななんですかぁぁぁぁ?」


ちょっ、面白いじゃん。

震えすぎだぉw


「武器なんだけど、何がいい?…ぶふっ」

「ふぇぇぇ、酷いですぅぅ!あ、大剣があればそれが良いです~」


切り替え早っ!?

武器もちゃっかり言ってるしね…

これってあれかな?

追及したらいけない類いのやつ?


あぁ、もう少しでオーラの効果時間が終了しちゃう。早くフェルちゃんに剣を渡して、戦闘準備を整えなきゃ。


ちなみにこのオーラ、素晴らしいご都合主義で、外からは真っ黒で見えないけど、内側からは少し薄暗いだけ。

マジックミラーだと思ってもらえば近いかなぁ。

オーラに舐められても、所詮エフェクトだから、威力は無いけど、舐められると背筋に悪寒が走るらしい。使った事はあるけど、やられた事は無いから、正確には分からないんだよねぇ。

取り敢えず、アイテムボックスから大剣を探してっと…

何か良さげなものは…

騎士甲冑と色を揃えてみようかなぁ。

純白に光ってるやつとかにさ。

うーん、ごそごそ。


【ロト・レプリカ】


光って無いし、なんかダサいし、そもそも片手剣だから却下。


【ペガサス流星剣】


ちょっと待って、今どう突っ込もうか迷ってる…

これはそもそも光り物?

斬るの?これで?

飛翔しながら斬るの?

セイヤ呼んで来い!却下だ却下!


【名状し難い大剣のようなもの】


大剣なのか大剣じゃ無いのか…

名状し難いがある時点で、私は考えるのを止めた。


【ビームサーベル】


いや、確かにピンク色で光ってるよ?

でもサーベルって言ってる時点で大剣じゃ無いけど、何でも切り裂けそうな気がする。

よし、今回はフェルちゃんに私のフランベルジュを使ってもらう事にして、なんか面白そうだから君に決めた!


私の手の上に、白い25cm位の筒が召喚された。

持ち手と思われる真ん中を持って、上下に円形の突起が付いていて、振ってもすっぽ抜けないようになっていて、筒の一番下に、小さい摘みが付いている。

どう見ても、機動戦士のそれにしか見えない。

うーん、ロマンが激しくそそられるけど、運営は一体何を考えていたんだろうか…【ロト・レプリカ】も然り。


うーん、どうやってブレードを形成すれば良いのかなぁ。

摘みを回したら…違うなぁ。

魔力を流してみても…お、正解!


筒の先端から、緑色の細い棒状の光が形成された。

ちょっと短めの40cmくらいかなぁ。

直径は2cmくらい。


あれ?ピンクじゃ無いの?

じゃあ、ジ○ン系のかなぁ。


ふむ、そして摘みは一体なんの為にあるんだろう。

もう一度回して…


「えい」


めい一杯右に回してみた。



バシュゥバチバチバチ!!


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁあぁぁ!?!!」



か、かかかすった…!?

シュッて、シュッて言ったぉ!!

あぁ、ヘレムが欠けてる…


摘みを最大まで捻った途端、細かったビームが一気に15cm程も太くなり、長さが160cmくらい程まで伸びた。

お陰で、顔面をカスってしまった訳で…

ヘルムが無ければ即死だった…

アダマン鋼の耐久力に感謝!


改めてブレードを見ると、なんか蝋燭の火を、過激にしたみたいな形をしていて、電弧を纏っていらっしゃる。


どっかで見たことが…

確か小さい時に見たような気がしないでも無いぃぃ。はっ!分かった、サイ○リスのだ。


なんでそんな物が?

私ガン○ム系のゲームやった事無いんだけど。

まぁ良いや、これなら、敵さんを鎧袖一触だよね。


「ふぇぇぇぇ、瞳子さん早く武器を…」

「ごめんごめん」


毎度お馴染みのフランベルジュをフェルちゃんに渡す。

なんだかとても重たそうに持ってる。

あれそんなに重かったっけ?


「それくらいしかマシなのパッと見無かったんだけど、大丈夫そう?」

「ふぅぅん、大丈夫ですぅぅぅ」


まぁ、本人が大丈夫って言ってるからいっか。

もうかなりオーラが収まってきちゃった。

あと少しで消えちゃう。


「行くぉ」

「はぃぃ」


スーッと漆黒のオーラが消えた。

私は片手でしっかりとビームサーベルを握り直し、名乗りを上げた。


「やぁやぁ我こそは!…じゃなかった。諸王国連合の全将兵に告げる!王都を攻め入る事はこの大魔王様が許さん帰れ!」


魔法を使って拡張した声は、大音量で響き渡った。


「ふぇぇ、瞳子さん、名前を聞かれたら、アレ本当にやるんですかぁぁ?」

「やりまふ」


何をやるかって?

そんなの決まってるじゃないですか、あの有名なトリオの名乗りですよ。


シーンと静まり返って、敵兵達も身動ぎすらしない。

やべぇ、なんか滑った気がするぉ…

は、反応が無い、ただの屍だったようだ。


「あ、あのぉ、なんか反応を下さいお願いします」


なんの反応も無いとか、辛すぐる…

と言うか、大魔王であるこの私の名乗り?を無視するなんて、許さないわ!?

ん?大魔王?

…良いことを思い付いたぞ。

みんなこの私が、大魔王って言っても受け流すけど、ここは戦場。

敵を殺めながら名乗ってたら、それが広がるはずだよねぇ。

それで行こう!


今頃、気を取り戻したおバカさん達の指揮官は、何か大声で怒鳴り散らして、その声にハッとした兵士達は、慌ただしく戦列を建て直してる。


仕方無いから、少し待ってやる。

その間、フェルちゃんを見てみると、何かスイッチが入っちゃったのか、なんか重たそうに持っていたフランベルジュをブンブン振り回してる。

なんか演舞見てるみたいで凄い。


やっと戦列を整えたのか、太鼓と銅鑼が鳴り響き、それに合わせて威圧する為の鬨の声(ときのこえ)が上がる。


何万人いるか分からないけど、地鳴りがする程足を踏み鳴らし、空気が割れるくらいの大合唱が戦場音楽の開始を告げるファンファーレとなる。

素晴らしい。


「フェルちゃんは、まだ【ストーンランク】だから」

「ほぇ?」

「適当に部隊長とかの首級を上げて、サクッとランクアップしてね。あ、首は切り取って、捨てないように」

「ふぇぇぇぇん!くくく、首を取るんですかぁぁ!?」

「当たり前でしょ、そうやって個人を特定するんだからさ」

「うぅぅぅ…」


さて、敵さんも侵略目的で戦争仕掛けて来たんだ。

しかも宣戦布告なしにさぁ。

ここで殺されても文句は無いよねぇ。

ま、せいぜいランクアップの踏み台として、足掻(あが)いてちょ。


「私は闇の十二使徒を従えし大魔王なり!いざ、参る!!」

「ふぇぇぇぇ、待って下さいよぉぉ!?」


こちらが走り始めたのを皮切れに、一斉に中級魔法やら初級広域魔法やらが飛んでくる。

はっきり言って、直撃しようが効果もひったくれも無い。


「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!何をやっても無駄なんだよ!!ジョジ…じゃなかった。雑魚ども!!」

「ひぃっ、なんだかキャラが変わってますぅぅ!?」


さすがに、直撃しても効果が無いとは言え、鬱陶しい事には変わり無い訳で…

夏場の夜に、蚊帳の中に入って寝てるから、蚊自体には刺されないとは言え、ブンブン外で飛び回っててうるさい感じと言えば分かるかなぁ。


えぇい!小癪な!

こうなったら、魔法使いジョブのスキルを幾つかを発動させるしか無いな。

まずはステータス画面から、職業を開いて、<魔法反射フィールド>を解放オン!ポチッとな。


見た目は何とも無いけど、確かに何かプァワァーが滲み出てるのが分かる。


ちょうど一発の魔法が、直撃コースで飛んできた。

私に当たる直前約10cmのところで、七色に輝く壁に阻まれ、飛んできた方向に弾き返した。

弾き返してすぐに、また見えなくなる。

フッフッフッ、これが私のA.Tフィール…いや、あの、すいません。


敵の前列で、数人が宙を舞った。

どうやら弾き返した魔法が、広域魔法だったみたい。


今更魔法が効果無しと見たか、突撃準備をし始めた。

三メートル程の槍を、横一列にズラーッと構えて、一斉に雄叫びを上げる。

さながら、マスケット銃無しの戦列歩兵だ。

なんか、ローマ帝国を主題とした映画を見てる感じがする。

そろそろ第一陣が来そうな予感。


『我らが槍で貫けぬ物など無い!!第一陣突撃!!』


割れ金の様なガラガラ声が聞こえてきて、それに続いて一斉に突撃が開始された。


「私が穴を開けるから、そこから飛び込んで、魔法なり武器なりで攻撃してね」

「わ、分かりましたぁぁ~!!」


さて、【ビームサーベル】の威力を試す時が来た。


「私の力を思い知るが良いさ!」


穂先を並べた槍が当たる直前で、地面をステータス任せでおもいっきり踏みつける。


いくら後方職の魔法使いとは言え、さすがはカンスト魔法使い。

身体能力も半端じゃない訳です。


地面が陥没しながら、激震が稲妻のように地表をひた走る。


第一陣の兵士達が、マンガかコメディードラマみたく、全員スッ転んだ。

なんか嘘みたいに、華麗なるひっくり返りを見せてくれた。


…あとは転けている間に、サックリ殺っちゃいましょう。



『何それ漢字豆知識クイズー!パチパチパチ

このコーナーでは、普通使わない単語やトリビアな漢字の読み方とかを出題します!

正解しても何も無いけどね。

それでは行きます!


『大曲』


これはなんと読むのでしょうか!

出来ればパソコンで調べるのはやめましょう。

そして、前回の答えの発表です!


『麹塵』と書きまして、『きくじん』と読みます。

決して、「こうじちり」ではありませんのでご注意を。

ですが、漢字の由来はそのまま、コウジカビの緑の菌糸から来ているそうです。

色自体はとても高貴で、天皇のみが着用出来た色です。今は関係ありませんが…』

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