戦争準備
おぉ、第二章です…
こちらは第一章に比べて、少しセクハラ少な目、グロ少し上げ上げな感じで行きたいと思います。
ダンジョンで魔物の討伐が基本でしたが、こちらは基本対人戦の不条理ゲーになります。
「しょ、諸王国連合軍が攻めて来たぞぉぉぉ!!」
顔面に真っ赤な花を咲かせながら、毛深いオッサン冒険者が【ゴブリン・シャーマン】ばりのダミ声で、報告してきた。
その報告に、あれほど静かだった会場が騒然となって、ドタドタと一斉に合戦の支度を始めた。
そんな事より、早く鼻血を出しながら報告してくれたオッサンを助けなさいよ…
一向に治してやる気配が無いので、取り敢えず未だに転けたままのオッサン冒険者を助け起こして、ヒールで鼻血を止めてやる。
「す、すまねぇ」
「大丈夫だ、問題無い」
神は言っている、ここで鼻血を出し続けるべきでは無いと…
まったく、みんな目の前しか見てないじゃん。
あ、脳筋だから無理も無いかぁ。
もう、さっさと諸王国連合軍をぶっ潰して、ランクアップしたいぉ。
こんなむさ苦しいオッサン達と群れるなんて拷問に等しいぉ……
「ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!」
どっからともなく、フェルちゃんの独特な悲鳴が聞こえてきた。
聞こえてきた方向を見ると、縦横無尽に走り回るオッサン冒険者達にもみくちゃにされて、その場でクルクル回転してた。
む、無念だ…
【ジャスティス・ザ・ホワイトロード】さえ着ていなかったら、八ヶ岳の踊り食いが見れたのに!!
これからは、何も無いときは街娘の格好をしていてもらおうかぁ。
「フェルちゃん、大丈夫かい?」
「だ、大丈夫なはず、ありませぇぇぇん!グスッ」
だよねぇ。
さて、私達もどうしようか…
小鹿亭に戻っても、この事件を知らない二人が、部屋に居るとは思えないしなぁ。
まぁ、人数と相手の強さによりけりだけど、やろうと思えば、一万二万位だったら私一人で葬り去れる訳で…
あ、もちろん魔法は使わないでだぉ。
魔法いれたら、国を纏めて二つ三つ消滅させられる自信があるもんね。
でも、そんなさっくりやったらつまらないから、様子を見つつ手加減して、戦場を掻き回そうかなぁ。
あぁ、懐かしの戦場へ、破壊と殺戮の戦場へ…
デュフフ…
「ふぅっはっはっはっはっはっはっはっ!!」
「ま、マスター?」
ミルクたんが、鎧の隙間から出てきた。
それにしても、ミルクたんって私の胸ポケット好きだよねぇ。
「どうしたの?」
「何か、何時もとは違う方向だけど、邪な事を考えてませんでした?」
「さぁて、どう思う?」
「うーん」
リーラちゃんもそうだけど、時々鋭いよねぇ。
しかも、邪な事を考えている時限定でさぁ。
まぁ?
今回はランクアップの事しか頭に無いけどね。
手っ取り早くゴールドかプラチナになるには、どれだけの首級を挙げればいいかなぁ。
どれ、早速先行しつやってみよう。
★
王国の第一王都へと続く大平原を、我が軍の将兵100万が、師団ごとに隊列を組んで前進している。
これ程の大攻勢は、二百年前のアストリア決戦以来だろう。
まさか、王国の連中はこれ程の軍勢が来るとは思ってもいないだろう。
一瞬で王都を蹴散らしてくれようぞ。
「大王陛下!申し上げます!!」
一人の伝令兵が、余の跨がっている愛馬の歩調に合わせながら、最敬礼をしてきた。
だが何故か、伝令兵の目線が泳いでいる。
一体なんだというのだ。
「……どうした」
「いえ、それが…」
更に、今度は歯切れまで悪くなりおった。
なんだか、悪い予感しかしてこなくなるのは、余だけであろうか…
「大王!俺だ!話がある!」
伝令兵が頭を抱えた。
こやつも大変よのう。
向こうから、ドスドスと巨体を揺らしながら走ってくる、2メトル程もある髭面の大男は、止めようとした余の近衛兵二人を巨体で撥ね飛ばし、余の目の前でピタリと止まった。
「貴公か、フンメル諸王。相変わらずであるな」
「ふん!あったり前よ!!それより話がある」
幾つもの古傷が残っている凶相を歪ませて、不敵に笑った。
どうせ、フンメル諸王の事だ、先陣は任せろだの突撃させろだの言うに違いない。
なんとも面倒臭い男が諸王なぞになりおって…
「申してみよ」
「へっ!!王都など俺の軍だけで落とせる!」
はぁ、なんと思考の単一な奴よ…
余の思った通りではないか。
だが、武勇にとても優れた武王であるのが、また扱い辛い。
「貴公の軍勢は、確か10万であったな」
「おうよ!」
「間諜の情報では、第一王都の守備軍の総勢は、約6万のようだ」
「はっ!たかが6万程度、数の内に入らん!」
フンメル諸王は、鼻で笑い飛ばした。
まだ分からんようだな。
王都の兵力が、守備軍だけである筈があるまい。
王都には迷宮がある。
それに潜る冒険者達が何人いる?
しかも、彼奴らの戦闘力は正規兵を余裕で上回る者が、何人もおる。
ふむ、ここいら辺で、こやつの出鼻を挫かせてみるのも悪くないな。
こやつの泣きっ面が少し見たくなってきたぞ。
「よかろう。よきに計らえ」
「ありがてぇ!恩に着るぜ!!」
単純なのを逆手に取って、こうして恩も着せられる、か。
だが、他の諸王がまたうるさくなるであろうな…
はぁ…
そんな余の考えなぞ露知らず、フンメル諸王は、来たとき同様、ドスドスと品の無い歩き方で自陣へと去っていった。
この、諸王を纏める大王と言う地位も、昔思っていた程楽ではないな…
遠目に、まるで蜃気楼の様に見える第一王都の城壁が白亜に煌めいていた。
ふん。あんな立派な城壁なぞ築きおって、王国のクセに生意気ぞ。
共和国に出し抜かれるのも癪であるな。
早くケリをつけようぞ!!
「全軍、前進!」
補足、諸王国連合軍の王達について
かれらは、一つの主国と複数の属国(小国がほとんど)によって成り立っており、主国の王が大王と呼ばれ、属国の王は諸王と呼ばれる。
諸王に序列らしい序列は無いが、毎度の戦に出す兵士の数によって発言力が変わってくる。
『何それ漢字豆知識クイズー!パチパチパチ
このコーナーでは、普通使わない単語やトリビアな漢字の読み方とかを出題します!
正解しても何も無いけどね。
それでは行きます!
『邯鄲』
これはなんと読むのでしょうか!
出来ればパソコンで調べるのはやめましょう。
そして、前回の答えの発表です!
『雨虎』と書きまして、『あめふらし』と読みます。
アメフラシは、腹足綱後鰓類の無楯類に属する軟体動物の総称です。
アメフラシが海水中で紫色の液をだすとそれが雨雲がたちこめたように広がるからという俗説から名前が来ているそうです。
地域によっては、アメフラシをウミウシとも呼ぶそうですが、正確にはウミウシとアメフラシは別物です』




