ゴブリンロード(1)
短いです。
「じょ、冗談はこのくらいにして…先に進もう!」
い、今は堪えるんだ!
ご褒美はもうそこまで来ているんだぉ!!
ウヘへ…
「まったく、瞳子さんったら」
「あー、まぁ、瞳子だからな」
「マスターですから」
あれー、何だろうなぁ。
このアウェイ感は一体何処から来たんだろうか。
まぁ、所詮コイツですから?…みたいな。
畜生!早く何とかしないと、手遅れになってしまう!いや、まだ事を起こすのはムフフの後で充分なはずぅ…
「じゃあ、一回部屋を出てから、穴開けるぉ」
扉を開け、開けて、開かな、開かない…っと。
開けよ!?
何で開かんの?
「どうしたんですか?」
「いやぁ、なんか扉が開かなくて…」
「なぁ、ダンジョンの扉は内開きだぜ?」
「…………」
な、なん、だと…?
内開きだぁ?
…………そ、そんなバナナ。
大魔王であるこの私が、ダンジョンの扉ごときにぃぃぃ!?
「べ、別に知ってたんだからねっ!!全然恥ずかしくなんかないんだかんね!!」
「うわぁ…居るよな、こう言うヤツ」
「瞳子さん…」
「マスター…」
墓穴を掘った…
なんか反射的に言わなきゃいけない気がして、言っちゃった…
みんなの眼がぁっ!眼がぁぁぁっ!?
……ちょっと濡れて来たぉ?
「さ、先に行ってるぉ!!」
「あっ!瞳子さん!?」
とにかく地面をぶち抜いて、ぶち抜いて、連続でぶち抜ぬく。
あ、あれ?何か眼から汗が…
きっと、埃が入ったに違いないぉ…
「マ、マスター!!」
「え?」
三枚目の地面をぶち抜いた瞬間に、浮遊感が身体を襲う。
どうやら、無意識に十五階層の天井をぶち抜いてしまったらしい。
やっちまった…
「わぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!!」
「マスターっ!!」
おおお!!
地面が迫ってるぅぅ!?
浮遊魔法はもう間に合わないぉ!!
ドゴーンッ!!
ゴキャメキョグシャッ
「ふぶべれぇっ!!」
が、顔面…メキョッて、メキョッて…
超痛い…
アホみたいに痛い…
ヘルム被ってるから、中で顔面が暴れて、何度もぶつけたぉ…
それに間違えてボス部屋に、顔面から直行とか…ホント勘弁して下さい。
痛む顔を上げると、見慣れては無いけど、何時もの苔むした部屋が見えた。
だが、部屋は薄暗く、遠くの方は全然見えない。
幸い立った状態から、足元を確認する位の明かるさはある。
「いたたたた…み、ミルクたん。大丈夫?」
「な、何とか大丈夫です…マスターのお陰で助かりましたぁ」
ん?私何かしたっけ?
したと言えば、顔面着地位だけど。
もう落下は勘弁して…
もぞもぞと、甲冑の胸甲の隙間から、ミルクたんが出てきて私の手のひらに移る。
「マスター、ここはボスの部屋ですよね?」
「そだぉ。そうなんだけど、肝心のボスが見当たらないんだよね」
今日はお休みかなぁ。
てか、そもそも魔物にお休みなんてあるん?
右を見ても左を見ても、ただ薄暗いだけで、ボスは見当たらない。
試しに上を見ると、天井がブニュブニュ蠢きながら、天井に開けた穴が塞がっていく最中だった。
うへぇ、別な意味でグロいなぁ。
出来れば死ぬまで見たく無かったぉ。
「マスター、居ませんね…」
「居ないねぇ。スト起こしてるのかなぁ。ダンジョンの雇用制度に」
それか、ダンジョン内の政府に不安を抱いて、メーデーとか起こして、【ゴブリンシャーマン】とかがゲバ棒振り回してるとか。
ちょ、ちょっと想像出来てしまう私がいる…
でも、以外にありそうだから恐いよね。
私の手のひらでキョロキョロしていたミルクたんが、急にビクッてビクついて、恐る恐ると言った感じに私の顔を見上げて、小さく悲鳴をあげた。
え?私の顔に何かついてるん?
と言うか、少し傷付いたぉ。
まぁ、ヘルム被ってるけどね。
「マ、マスターぁ……う、後ろですっ…」
「後ろ?」
まさか、これはゾンビ映画でよくあるパターンでは?え?私死ぬんかぃ。
恐る恐る振り向くと、先ずは脚甲に包まれた足が見えて、視線をジョジョに上げて行くと、草摺のある鉄製の胴丸。そして、ハルバートを振り上げているヘルムを被った、リーラちゃんと同じ位の身長のヤツが、立っていた!
「あんぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!!?」
シュゥンッ!←ハルバートを振り下ろす音
ガンッ!←刃がヘルムにぶつかった音
「痛っ!?」←痛かった
ヘ、ヘルムが無ければ即死…になるかは分からないけど、だったぁぁ…
あ、おしっこチビっちゃいそう。
全身ガチガチの騎士甲冑は、弾かれたハルバートと、私のヘルムを交互に見比べて、再びハルバートを振り上げる。
ガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガン!!
「ぁ痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!」
【ゴブリンロード】と思われる騎士甲冑は、連続でハルバート振り下ろし始めた。
しかも、ちゃんとヘルムを狙って。
振り下ろされている方は、堪ったもんじゃ無い。
「や、止めぃ!!ちょっ!?をぃ!!」
ガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガンガン!!
「止めぃと言っとるだろうがっ!!」
闇の大魔王であるこの私の、灰色の脳細胞がつまった頭を叩き続けるとは許せん!!
「とうっ」
「ぬぅっ!?」
『何それ漢字豆知識クイズー!パチパチパチ
このコーナーでは、普通使わない単語やトリビアな漢字の読み方とかを出題します!
正解しても何も無いけどね。
それでは行きます!
『戯』
これはなんと読むのでしょうか!
出来ればパソコンで調べるのはやめましょう。
そして、前回の答えの発表です!
『万年青』と書きまして、『おもと』と読みます。
おもととは、ユリ科の常緑多年草で、葉間から緑黄色の花が咲き、赤い実をつけます。観葉植物がお好きな方は、お分かりになったかもしれませんね』




