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商業区一番の喫茶店…(2)

青騎士さんて、当て馬ヒロインですよね!


「ど、どう?食べれそうかい?」


話掛けても、止まったまま。

目は虚空の一点を見詰めていらっしゃる。


あれ?なんか瞳孔開いてない?


「お、おーい。ライデンシャフト・ヴァルカーン・オッパイホーゼ三世」

「…ヒヒッ……ヒヒヒッ…ヒヒヒヒヒヒヒヒ」

「お、おおおおぉ」


急に笑い始めたぞ…

だけどまだ目はイッてる。やっぱりダメなヤツだったんだ!!


「瞳子さん、お先に頂きますね?」

「マスター、頂きます!」


リーラちゃんとミルクたんが、青騎士と同じようにナイフで切って食べた。

ちなみに、ミルクたんはリーラちゃんに切り取ってもらったのを、小さい口で食べてる。


「美味しいです!」

「マスター、甘いですよ!」


満面の笑顔で食べてる。

いやぁ、そう言ってもねぇ、まだ青騎士笑ってるもんなぁ…

ヤバいなぁ。

と言うか、なんでこの二人は大丈夫なの?


「瞳子さん、あーん」


そんな事で食べる私…では……

な、なん…だと?今なんと仰った?

あーん?伝説のあーんですか?

これは食べずにはいられないでしょ!

フォークもペロペロしないといけないしね!

フヒヒヒヒッ…


「私は、そんなモノよりリーラちゃんが食べたいぉ…」


ハッ!?心の声が!


「瞳子さんったら!えっちなんですから!!もうっ」

「むぐっ!?」


口にソーセージを突き刺したフォークを突っ込まれた。

冷たいブニブニした食感が…こ、これを噛んでしまったら人に戻れなくなる気がするぅ!?


「も、もごご!むぐ、もろごごむぎぐ!」

「瞳子さん、何言ってるかわかりませんよ?」


は、吐き出したい…

うぅ、ブニブニしてるぅ!

冷たいぃぃぃ、生臭いぃぃぃ、デロデロして食感が死んでるぅぅぅぅ!!


「ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒブヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒフヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒイヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒゲヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒイヒヒヒヒヒヒヒヒヒイヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ…クヒッ」


青騎士の様子がおかしい…いや、おかしさが増してる…

なんかずっと笑い始めた!!

よ、よく見ると、他のお客も様子がおかしい…向こうに座っているオッサンなんて、白目剥きながら泡吹いて痙攣してるぅ!!


「ほら、瞳子さん?次ですよ、あ~ん」

「ゴクリ…あ~ん……あっ」


し、しまった!!青騎士に気を取られて飲み込んでしまったーっ!


「こ、この青騎士ぃ…うっ」


い、胃袋が焼ける様だ!?

な、なんと言う邪悪なエネルギー…

大魔王である、この私をどうするつもりだっ!!

ぐををををををををををっっ!?





瞳子さんの顔色が、だんだん青くなってきちゃた。

昨日の喫茶店程では無いけど、顔色が悪くなっていってる…


「瞳子さん!大丈夫ですか?」

「Hahahahahahahahahaha!問題ないさ!私はいたって健康そのものさ!」


あれ?瞳子さんって、こんなキャラしてましたっけ?もしかして、やっぱり昨日の原因不明な、意識不明と何か関係があるのかな…


「も、もう一口食べますか?」

「もちろんさ!私の愛しいレディが頼んでくれた物を残す訳にはいかないからね!」


と、瞳子さんじゃない!

だって、普通はこんな事を言うはずが無いもの!


「Hahahahahahahahahahaha!実に美味しい食べ物だね!私の好物にしたい位だよ!」


瞳子さんが、両目を血走らせながらフォークに突き刺した腸詰めをたべてる。


「さ、愛しのレディ?次は君が食べたまえ」


あれー?凄く瞳子さんじゃ無い。

一体どうなっているんだろう。

青い人は、未だに変な顔で笑っているし、瞳子さんも変になってるし…


こうなったら!最終手段を使います!


「ごめんなさい瞳子さん!スパークボルト!」

「Habababababababababababababa!!」


感電しながらも、凄く爽やかな笑顔を向けてきてる。

ヤダッ!こんな瞳子さんなんて見たくない!

一体何が原因なの!?


「良い電撃だね!肩の凝りがほぐれたよ、マイハニー!」

「瞳子さん!元に戻って下さい!!」

「何を言っているんだい?マイハニー。これが私の正しい姿さ!」


そんなはず無い!えっちでスケベな瞳子さんじゃないとイヤッ!!


「マスター!!元に戻って下さい!!」

「そうです!!」


ミルクさんが、泣きそうになってる…

早く元に戻さないと…


「やぁ、ミルクちゃん!おかしな事を言うね!これは私の真の姿だよ?」

「違います!!マスターはエッチな変態さんです!!」

「Hahahahahahahahahahahahahahahahaha!!私はもう変態ではないさ!至って紳士だよ!」


こうなったら、私の覚えている最高位の雷属性魔法で…ごめんなさい、瞳子さん!!


「ミルクさん!離れて下さい!!」

「は、はい!」

「天高く雨雲の中にいましたもう雷撃の神の御力を奉り……」

「…リーラさん!それはエルフの上級魔法です!!」

「…インペリオ・テンペスト!!」


自分の身体から、スッと魔力が抜けて行き、突如店内に、猛嵐が巻き起こる。

凄まじい風と、殴り付ける様な雨、そして行き交う雷撃。

一瞬で、店内は滅茶苦茶に…

店内を飛び交う雷撃は、すべて瞳子さんの身体を突き抜けて行く。


「な、なななな何をするるんだいいい!?マイイイイイハニイイイイイイ!?!?」


瞳子さんが、ビクビクしながら立ち竦む。


一発の雷撃が、青い人の後頭部に直撃したけれど、多分死んではいないはず。


「瞳子さん!治って下さい!!」

「ぐわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!?!!」


私の言葉に応えるように、一斉に電撃が瞳子さんの身体に突き刺さった。

白目を剥いて、立ったまま痙攣し始めた。

私だって、こんな事瞳子さんにしたくないのに!!


体内の魔力が切れて、嵐が止んだ。

ドッと疲れが出てくる。

瞳子さんは、全身から湯気と黒煙を立ち上らせて、倒れてしまった。

これできっと治ったはず…


「み、ミルクさんは……青い、人を運んで…下さい。わたしは、瞳子さん…を、運びます…」

「わ、分かりました!」


早く…小鹿亭に戻らなきゃ…

早く…早く…

綺麗な瞳子さん…キモイィィ!!そしてウザいいいぃぃぃ!!コッチ来ないでぇぇぇ!!

なんで、瞳子さんがおかしくなってしまったかが、分かって無いリーラちゃんて…

ちなみに、何故ヒロインの攻撃が通るのかと言うと、そりゃ勿論シティーハンター理論ですよね!


…そういえば、お店は?しかも無銭飲食では?

………まっ、いっか!

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