ゴブリン・シャーマンを倒そう!
少し短いです。
前回、不定期更新になると申し上げましたが、投稿のペースが二日連続で投稿致しまして、一日休みだとか、三日連続投稿致しまして一日休みという、形にして行きたいと思います。
読者様から、コメントが寄せられまして、この度はこの場を借りて、謝罪させて頂きます。
私の説明が足りず、申し訳ありませんでした。
「とうっ!」
最後の一匹の魔物を両断する。
辺りには同じ様に真っ二つになった魔物が、沢山折り重なって死屍累々を築き上げていた。
地面には血の海が出来ていて、黄緑色や紫色、青色や赤色の血溜まりになっていたり、それ全部が混ざりあって説明のしようが無い色をしていた。
空気には噎せ変える様な濃密な血の臭いが漂い、誰もが口許を覆わないとその場に居られない様な事になっていた。
うわぁ、ちょっと殺りすぎた…どうしようかな…アイテムボックスに入ってくれるかねぇ…
「……マジかよ…凄すぎる…」
名前だけかっこいい青騎士が、呟いた。
やっと私の素晴らしさに気付いたようだな!ふぅっはっはっはっはっはっはっはぁ!!
いや、今回は口に出したりはしてないよ!?
私だって脳みそあるもんねっ!!
「とりあえず、全部収納して…出来たぉ」
死体をもったいないから、かったっぱしに収納していく。
これで、勝手にアイテムボックスが分解してくれる。実に便利便利。
いちいち、『剥ぎ取り』なんてSAN値の激減する事をやらなくてもいいもんね!
「マスターはスゴいんです!悪者なんかよりも全然強いんですよ!」
「お、応。そうだな…婆さんの言う通りだったな…」
なんか一人で納得してるよ…
さ、さすが大魔王補正!
やっぱり大魔王に限るよね!?
そんな私…かっこいい。
「フッ…」
「瞳子さん、行きますよ?」
「うわっ!待ってよリーラちゃん!?」
決めポーズも取らせてくれないなんて…
さっきので、大抵の敵を殲滅してしまったのか、かなり離れた所にある階段まで、敵に遭遇しなかった。
いやぁ、やり過ぎた気がしなくも無いぉ…
ま、まぁ、敵に遭わずに階段まで行けたから結果オーライだよねっ!?
そう思いたい…
階段を降りると、十階層になる。
十階層は五階層と、造りはまったく同じで、壁は苔むして明かりは松明だけ。
そして、あの黒い扉。
もしかしたら、ボス部屋は全部同じ造りなのかも知れない。
うーん、なんという統一感…
い、いやぁ、もしかしたら二十階層位で変わるかもわかんないなぁ。
「瞳子さん、扉にはまた何て書いてあるんですか?」
リーラちゃんが、期待した眼で見てくる。
フフフ、もっと期待してくれたまえよっ!!
扉に近寄って、真ん中に書かれた文字を読む。
「どれどれ?『汝、幻に魅せられる事無かれ。汝の敵は常に一つなり』だって」
うーん、幻影魔法でも使って来るのかな?
「へぇ、神聖文字も読めるのかよ…スゲーな!」
いやぁ、それ程でもあるよ。
照れるなぁ。
「えっと、瞳子さん。【ゴブリン・シャーマン】は、先程瞳子さんが読んだ文字の通りに、幻の敵をたくさん放って、隠れながら魔法で攻撃して来ます」
「成る程、理解理解」
やっぱり、思った通りみたいだね。
さて、どうやって見分けようかなぁ。
まぁ、今考えても仕方ないことかな?
「とにかく、ボス部屋の中に入ろうか」
前回とは違って、扉を軽く押したらすんなり開いた。
中に入ると、インディアンみたいな格好をして、先端にドクロが付いた杖を持った緑色のゴブリンが、部屋の真ん中で胡座をかいて座っていた。
しかも、膝の上に新聞広げて読みながらパン食べてる。
何ともまぁオッサンみたいな魔物だこと…
いや、オッサンでしょ。
こっち見て、目を丸くしながら、まだパン食べてるし。
「えっと、パン食べ終わるまで待ってあげる?」
「そ、そうしましょう」
「ゴブリンさんがパンなんて食べるんですね!マスター」
「魔物って、案外知恵あるのな…何処から新聞なんて持って来たんだ?」
確かに、パンとか新聞とか何処から持ってきたんだろう。
第一、文字読めるん?
焦りながら急いで食べ終わった【ゴブリン・シャーマン】は、パン屑を払って立ち上がり、杖を構えた。
どうやら、これからが本番みたいだ。
空気が変わる。
【ゴブリン・シャーマン】が何やら詠唱して、辺りがさっき囲まれた魔物の群れみたく、たくさんの魔物で溢れる。
うわぁ、でもこれ幻なんだよね?
凄いリアル…3Dだってこうはいかないよ。
リーラちゃん達なんて、剣は抜いてるけど力は入れてないみたいだしなぁ。
気を抜いていたら、どっからかダミ声が聞こえてきて、一斉に魔物が襲って来た。
ひぃぃっ!これはこれで超恐いぃ!!
またオシッコチビっちゃうぅ!!
ほらっ!キラービーの針がっ!刺さる刺さる………ぅ?
キラービーが、スカッと身体を通り抜けてしまった。良かったぁ…幻だからすり抜けたぁ…分かってても恐いモノは恐いもん!!
幻だって分かってても、猛スピードで目の前に迫るダンプカーの前に立たされたら、恐いでしょ…
青騎士が平然としながら、幻の中から飛んできた本物の火球を避けた。
あれ?アイツ実は強かったり?
リーラちゃんは、火球の飛んできた方向へと走り出した。
私も何かしないと…
うーん、そうだ!
幻影を散らす魔法があったはず。
かなり魔力を食う魔法だったけど、今の私に出来ない事は無いのだっ!!
ふぅっはっはっはっはっはっはっはぁ!!
「そらっ!ミラージュデリーィィト!!」
足元に紫色の魔法陣が展開する。
放射状に、空気の揺らぎみたいのが放たれ、その揺らぎに当たった幻影達は、片っ端から消え去る。
揺らぎが部屋の壁に当たる頃には、幻影が一つもいなくなり、一人ポツンと【ゴブリン・シャーマン】が突っ立っていた。
あんぐり口を開けて呆然と立っている。
直ぐに我を取戻し、火球やら水球やらを杖の先端から飛ばして来た。
青騎士は笑いながらヒョイヒョイ避けてる。
突っ立ちながら必死に魔法を飛ばしている所に、ゆっくりと後ろから近付いて来たリーラちゃんが、手を伸ばして背後から首をナイフでかっ切った。
えぇ…メタル、ギア?
スネーク?スネークなの?
リラダス・スネークなの?
リーラちゃん、やっぱりダンジョン潜ると人格が変わってない!?
超血が飛び散って…何処の18禁ゲームだよ…
ぴゅーっと血が噴き出して、喉に手を当てて口をぱくぱくしていた【ゴブリン・シャーマン】が、遂に白目を剥いてドサリと崩れ落ちた。
うわぁ…残酷すぐる…人型になると、ここまで残酷さが増し増しになるとは…
「はい瞳子さん、証拠になる杖ですね」
笑顔でリーラちゃんが、【ゴブリン・シャーマン】から剥ぎ取って来た杖を渡して来た。
うをぅ…血にまみれてるぅ…何と言うカオス…
「あ、ありがとう。じゃ、じゃあ取り敢えず地上に…」
「分かりました」
「了解したー」
首刈りされた【ゴブリン・シャーマン】に両手を合わせて、部屋の隅にある魔法陣に移動する。
全員で魔方陣の上に立って、地上に転移した。
次の瞬間には、何時も立ってる衛兵さんの隣に出る。
うーん、この感覚は慣れないなぁ…
至近距離に衛兵さんの顔が現れるとか…
とにかく、目的は達成した訳で、さてこれからどうしようか…昨日今日でギルドに行くのも不味いしなぁ…またどっかの喫茶店にでも入るかなぁ。
「まぁとにかく、今日も喫茶店行く?…昨日のお店以外で」
リーラちゃんとミルクたんが、早速昨日のお店の名前を言おうとするから、素早く継ぎ足す。
危ない…危うく昨日の二の舞にぃ…悪夢じゃぁ…
あんなカオスすぎるデザートなんて二度と食べたいと思わないぉ…出来れば死ぬまで知りたくなかった。
「そんじゃあ、オレもお言葉に甘えて」
「え?変態さんも来るの?」
「行くよ!?てか変態じゃねぇーよ!!」
もうそのネタ飽きたぉ…って言わない大人な私がいる。
まぁ、ついてくるなら仕方ないかぁ。
どうせ長い付き合いになりそうな予感…
うわぁ、暑苦しいヤツと一緒なんてなぁ…
松岡シュ〇ゾウと一緒にいるみたいで嫌だなぁ。
考えたらアツくなってきた!!
「み、みんな行こーう」
まだお昼の高い太陽に向かって…じゃなくて喫茶店のスイーツ(笑)に向けて私達は歩き出した。
また悪夢を見そうなのは気のせいだよね?
ご感想やご指摘とお待ちしております。




