ここはどこ?ここは悪夢じゃぁ
今回はシリアス?(の履き違えかもしれないけど…)な回です。
あと短いです。
前回のお話なのですが、もうお気付きの方もいらっしゃるはず。
そう。13話 予兆そして始動の最後に出て来た若者ですね。
まぁ、そんな事はさておき、彼女の履いていらした白パンツは、決してあれの為に投票したのでは御座いませんのであしからず。少なくとも、影響は受けております。
何で椅子に縛り付けられてるんだろうか…
て言うか、なんで何にもなーんにも無い所に独りぼっち?
真っ白で真っ平らな地面にポツンと拘束具が付いた椅子に縛り付けられてる訳で…
上を見ても右左を見ても果てしなく空の色。
雲一つ浮かんじゃいない。
地平線もひったくれも無く空色。
「おーい、誰か居ないの?」
後ろには、もしかしたら誰かいるんじゃ無かろうかと儚い希望を抱いて叫んでみる。
「後ろに誰かいないのかいなぁ?」
何の反応もない。
ウンともスンとも言わない。
完全に無音。一切合切音がしない。
ある音があるとすれば体を揺すって椅子を鳴らす音だけ。
「この大魔王である私を拘束するとは…クククッ…良い度胸ではないか!さては天界の使者だな!?」
シーン…
あの、何か言ってもらえません?
「ふぅっはっはっはっはっはっはっはぁ!!残念だったなっ!!私はこんな拘束具で押さえつけられる程、ひ弱ではないわっ!!」
こんな椅子ごときあっという間にバラバラにしてくれるわっ!!
「ふぅっはっはっはっはっはっはっはぁ!!ぬをぉぉぉぉっ…うぎぎぎぎ……ふんぬぅぅぅぅ…脱肛するぅ」
力み過ぎて、危うく脱肛するところだった…
あれ治るまで地味に痛いんだよね。
しかし、全然外れないなぁ。一体全体どうなってるんだろ。
「うぉーい。ホントに誰も居ないの?……困ったなぁ」
どんくらい時間が経ったんだろうか。
一分?それとも一時間?はたまた一日位もしかしたら経ってるかも知れない。
一向に日が沈む気配すらしない。
と言うか、太陽が登っているのかも分かんない。
影すら見えない。
と言うか、首を動かせる範囲でしか見えないから、背もたれが高い椅子に縛り付けられている今は、後ろが見えない。
「つまんねぇぇぇぇ~…何もやる事無いって、ちょーつまんねぇ。まさかここまでとは思わなかった」
なんかしようにも、椅子に縛り付けられてちゃなんも出来ない。
口笛吹いても途中で何の曲吹いてたか忘れる。
アニソンや懐かしのメドレー歌ってみても、あっという間に全曲消化。
後はひたすら寝る。
寝たフリをする。
死んだフリもしてみる。
般若心経を唱えてみたけど景色は変わらない。
ガタン
「は?」
ここになって、急に音がした。
な、何ぞ!?
今、後ろから音がしなかった?
聞き間違い?
ガチャ
聞き間違いじゃなかった!!
ほら、何か後ろに居る!?
後ろが見えないのが、こんなにもおっかないとは…
ガッ
「え゛っ!?」
頭を誰かに掴まれたぁ!?
「だ、誰ですか!?ちょっ!?なんか頭に変な器具着けてるでしょ!?やめっ!!」
誰かに頭を鷲掴みにされた状態で、何かを頭に無理やり装着させられ、紐で顎の下を通して固定されてしまった。
「ちょっと!?顔見せろ顔!!」
私の要望を聞いてくれたのか、視界の端に、ヌーっと頭が出てきた。
ホラーでしょ…
肌はここの地面みたいに真っ白で、血管が浮き出てて気味が悪い。
髪の毛は、緑色の衛生帽を被っていて分からない。
初代猿の惑星に出て来た、地下に逃れていた方の人類みたいな頭って言えば分るだろうか。
その頭が、クルッとこっちを向いた。
「!?!?!?!!!!」
うそ、うそうそうそ。
かかかかかかかかかか顔が無いぃぃ…!!
両目と口のところだけ落ち窪んでるだけとかっ!!
オオ、オシッコ漏れちゃう!!
直ぐにヌッと引っ込んでくれた。
でも、ちょっと遅かったよ…
オシッコ漏らしちゃった…あれは怖すぐるおぉ…!
あんなのは人じゃ無い!!
引っ込んでくれたのは良いけど、まだ後ろでガチャガチャやってる!!
カラカラカラカラ
滑車を滑らせる音がする。よく、病院とかで患者さんが点滴下げているアレを、転がしてるみたいな。
そして答えは直ぐに何か分かった。
手術する時の医者みたいな格好をした、顔面が終ってる怪物が、大きめのブレーカーのレバーみたいなヤツを取り付けてある台車を押して、出てきた。
そのレバーからコードが伸びていて、椅子の脇を通って後ろの方に伸びていた。
イヤな予感しかしない…
頭に着けられた変な器具、レバーから伸びるコード、そして医者みたいな恰好をした化け物…
まさか…いやいやいや………マヂで?
怪物がレバーに手をかけた。
「いやいやいやいや、ちょっと待って、待て待て待て!!まさかこの椅子って…!!」
一瞬、ソイツが笑った気がした。
次には、レバーを倒された。
「あばばびばばばばばぶばばぱばばばばばばばばばばば!!!!!!」
脳天から雷に貫かれたかの様な電撃が身体を襲う。
拘束具のせいで、痙攣しても椅子と拘束具がガチャガチャ鳴るだけ。
脳が焼ける様に痛い…モノが考えられなくなって…きた…
「いぎぎぎぎぎぎいぎぎぎぎっ」
なんで今まで気が付かなかったんだっ…!?
これ――――電気椅子じゃん!!
ダメだ…この私でも……意識が遠く………――
「んぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!!!」
こ、ここは!?
「瞳子さん!?どうしたんですか!?」
「ふぇ…?ましゅたぁー?」
「うををぉぉぃ!?何だ!?敵襲かっ!?」
一人はどうでも良いけど、みんなの声が聞こえる。
「はぁっはぁっはぁっ…ゆ、夢かぁ…」
あんなにリアルな夢なんて、お断りだっての…
一瞬、ホントに殺されるかと思った…
「と、瞳子…さん?」
「ご、ごめん…悪い夢が…リーラちゃん?」
リーラちゃんに頭を優しく抱き締められた。
慎ましいオπが、顔に当たってる。
ウホッ、私好みの良いオπ…
ドクンドクンと、リーラちゃんの鼓動が聞こえてくる。
「瞳子さん、大丈夫ですよ。もう大丈夫です」
「ご、ごめんなさい」
「マスター大丈夫ですか?」
「うん、多分…漏らしちゃってるけど」
「うわっ、きったねぇなぁ~」
二人に慰められた後、うるさい青騎士を黙らせて、汚してしまった物をアイテムボックスに収納して綺麗にした。
まぁ、またアイテムボックスの中に、お約束な物が入ってたぞ★
もちろんステータス画面は床に叩き付けてやった。全力で。
何はともあれ、夢で良かった…
地味に痛かったのはホラー過ぐる。
あれはヤバい…もう死ぬまで見たくない光景だった。
脳ミソ焼かれて死ぬなんて最悪以外の何物でもないよ…
観音開きの雨戸?の隙間から、一筋の光が差し込んできた。
どうやら夜明けのようだ。
何はともあれ、もう起きちゃったから、ダンジョン行きますか…
今夜……眠れるかな☆
さて、いかがだったでしょうか。
時に悪夢は、本物の感覚を伴ってやって来る時があります。
私の場合は、ゾンビの群れに追われて、行き止まりに追い詰められ、貪り喰われると言う夢を見た事があります。
腸を引きずり出されていたので、起きてから暫く腹痛に悩まされたのをよく覚えています。
そんなこんなで、瞳子さんにも同じ目に遭って頂きましたw
ああ、あと、変態パピヨン青騎士さんは、ヒロインの一人なので、皆様の頭の中で可愛がってあげて下さい☆
前回と今回の感想をどうかお願いします。




