人里までの道のり(1)
文章を一部追加(2013/06/13)
「……と言う訳なんだけど」
「ふむふむ、成る程…で気付いたらここで寝ていたと言う訳ですね」
「ところで、その弓を下ろしては貰えませんか?」
理由を説明しようとにじり寄ったら、弓矢で威嚇されて、土下座させられた。
何が問題だったのか、私には理解出来ない。
エロフ…じゃなかった、エルフの少女を改めて眺める。
う~ん、やっぱり瞳の色は碧なのか。
髪型はゆる三つ編みかぁ、化〇物語の翼ちゃんヘヤースタイルと言えば分るかな?
武装は短弓に片手剣…凄い尖ってるよ…防具はあまり装備していないみたい。
緑色が好きなのか、緑を基調としたピッチリしたズボンにYシャツ?の上に、鉄色をした胸当てと右手に籠手、そして脛当てといった、超軽装備…アクセサリーは一切身に着けていないようだ。
ウホッ…いいお尻…ズボンがピッチリしてるからかなぁ、眼福眼福。
「……分かりました。それで、あなたはこれからどうするんですか?」
やっと弓を下ろしてくれた。
鏃が尖ってて、刺さったら血がぴゅーって飛び出すんだろうなぁ、痛いんだろうなぁ、ってずっと考えてた。
実際刺さったら、途轍もなく痛いんだろう。
んでもって、問題はこれからどうするか。
ゲームデータをコンバートした筈なのに、今の私の格好は、トイレに入った時と同じ、Tシャツの下にブラジャー、だぼだぼな寝間着のズボンにトイレのスリッパ、そして丸眼鏡だ。
だが、この廃(人一歩手前)ゲーマーである私の手に掛かれば、普通の異世界では最早足りない!
けど、知らない世界で自活して行く自信がありません。
「ふぅはっはっはっ!!」
「うわぁっ!……この人大丈夫かなぁ」
また弓矢で脅された。
ちょっと弓矢恐怖症になりそう。
この大魔王に弓矢を向けるとは…少し調教する必要がありそうだ…ぐふふ、エルフと二人で調教とかwwこれは凄い!
「スゴすぐる!!」
もう驚かれなくなった。
「そう言えば、エルフの美少女さんの名前を聞いてないぉ」
「そうでしたね」
と言う私も、今まで名乗るの忘れてた。
「私の名前は、リーラって言います」
ペコリとお辞儀する姿は、何かそそる物を感じる…
「これはどうもご丁寧に…拙者の名前は『暗黒院艶子』ダークの暗黒に、院。艶やかな子で、艶子だっ!…すいません、弓を向けるの止めてください。黒森瞳子です」
決して、フェニックスの鳳凰に院、そして凶悪なる真実の自称狂気のマッドサイエンティストではないので注意するように。
「は、はぁ…で、瞳子さんはどうするんですか?」
「取り敢えず、リーラちゃんの脛をかじらせて貰おうと…」
「却下します」
速攻で断られた!?
速い、通常の三倍の反応速度だ!
あとはこの娘の持ち物を赤く塗れば完璧だ!
今日から、赤い森人のリーラと名乗れば、なおグッド。
「じゃ、じゃあリーラちゃんの家に一旦行ってから…」
「うーん…それは、物理的に無理ですね。私冒険者なんで、家なんて持ってません」
ですよねぇ…モンハソみたいに、自分の家持ってる冒険者なんてそう居ませんよねぇ…
なんとまぁ、しかし冒険者かぁ…
なんか面白そうだなぁ
私もやってみようかなぁ…駄目だ、闇の大魔王である私は太陽の光に弱い。
でもダンジョンなら…
「ねぇ、ダンジョンってある?」
「ダンジョンですか?在りますよ。私達冒険者は、大体ダンジョンに潜ってますね」
ほら来た。在りましたよダンジョン。
異世界に来て無かったら、そこは異世界じゃ無いんだよきっと。(キリッ!)
「じゃあ、私も冒険者になろうかな」
「止めはしませんけど、その…大丈夫ですか?」
リーラの視線は、私の細いライトアームに注がれていた。いやん、そんな見ないでぇ。
こんなんでも、高〇名人と同じくらい連打できるのだぜぇ。
そう言えば、現在の装備こそこんなのだが、ゲームデータをコンバートしたのだから、きっとステータス画面が表示されるコマンドがあるはずだ。
ちなみにそのオンラインゲームは結構創り込んでいて、天候なんてのはもちろんの事、職業だけで100種類、その職業の派生系まで含めると軽く1000を超え、その職業毎の固有スキルや、戦闘用・生産用・汎用スキルや魔法の数は更に多い。
しかもそれだけでは飽き足らず、ポーション屋さんや雑貨屋さんの市場価格の変動なんてものが実装されていたり、天災の疫病やら津波に竜巻、地震雷火事おやじと、まぁ突発的な価格上昇を引き起こすイベントなんてもの有ったもんで…いやぁ、転売した時はおいしい思いをさせて貰いましたけどね…グフフ。
でも、それだけ自由度が高いくせして、プレイヤーが選べる種族は何故か人間だけって言う、運営の考えがよく分からないゲームだった。
そんなゲームを完全にコンプリートしてる訳ですよ!
「ま、まぁ腕は見ないでね。…あとちょっと待ってて」
「は、はぁ」
うーん、どうやったら開くかな…
確か、コンバートしたゲームは左手で指パッチンすれば開いたはず。試してみよう。
パッチンすると、目の前にステータス画面が浮き出た。
リーラが唖然としている。やっと私の偉大さに気付いたようだな。
ステータス画面には、自分の名前とカンストしたパロメーター、体重や身長、そしてBWHが表示されていた。
それらの隣に項目があり、所持金とかアイテムとか、職業とか装備とか書いてあった。
どうやらタッチパネルのようにして使うみたいだ。
「ふむ、筋力値がカンストしてるということは、えい」
隣にあった樹の幹を素手で殴ってみた。
ドーン!バキバキメキメキバリバリバリ…ドスーン!!
大木が弾けて、周りの樹を巻き込みながら倒れた。
リーラはまだ唖然としている。
一方殴った方の手は、皮膚が磨り切れて、皮がベローンで血がぴゅーっと飛び出している。
「ち、ちちち、血がぁぁぁぁぁ!?皮がァァァァァァァァッッ!!!?」
痛い!超痛い!!冗談じゃ無い位痛いよ!?
しかもぴゅーって、ぴゅーって血が!血がぁ!?
さらに樹を殴った時に、ゴリっていった!
「あわわわわわわ」
慌ていたら、ショックから回復したリーラちゃんが、手を掴んできた。
「ヒール!」
リーラちゃんの手のひらが緑色に発光して、出血が引いていく。
こ、これは…魔法ですね。そうです、そうに違いありません!
我が世の春が来たぁぁぁぁぁぁ!!!!
魔法が使えるなら、いや、使えなくても最強ですよ。
コンバートしたゲームでの私の立ち位置は、魔法剣士。この意味が諸君は分かるかな?
「まったく、素手で樹を殴る人なんて普通いませんよ…」
既に完全に、傷が無くなっている。
魔法スゲーよ。
またステータス画面を開いて、装備をタッチする。
自分の全体像が表示されて、着ている服が名前と共に表示されていた。
頭装備 【喪女の眼鏡】
胴体装備 【喪女のTシャツ】【喪女のブラジャー】
腰装備 【喪女のパンツ】【喪女の寝間着(下)】
足装備 【厠のスリッパ】
クソ!みんなして私を喪女なんて言いやがって!!
そんな世界修正してやるーっ!!
私だって好きで喪女やってんだ!喪女舐めんな!?
文句言うヤツは出てこい!!…私だよ。
しかも、説明文が酷すぎる。
なんだよ、喪女による喪女の喪女の為の眼鏡って…地味にスキルが強いのが腹立つわぁ。
全状態異常無効、即死無効、呪い無効…【喪女の眼鏡】つえぇ~…防御力は1だけど。
と言うか、眼鏡に即死無効って、どう言うスキル配置だよ。
関連性が、全く読めない件について。
一回【喪女の眼鏡】を顔から外して手に持ってみる。
効果は外れるが、眼鏡は手に持っていている。
アイテムボックスには移動しない。
その状態で、ステータス画面の中の自分の頭をタッチすると、所持している頭装備の一覧が出てきた。
その中で、軽そうな【疾風のサークレット】をタッチすると、頭に【疾風のサークレット】が転送されて填まった。
その状態で、【喪女の眼鏡】を掛ける。
装備は解除されず、ステータス画面には二つ装備している事になっている。
スキルも【喪女の眼鏡】のスキルが、【疾風のサークレット】のスキルの後ろに表示されていた。
やはり、カンが当たったようだ。
ふぅはっはっはっ!!
「ふぅはっはっはっ!!」
「この人が冒険者になったら大変そう…」
リーラちゃんが溜め息を吐いた。
ぐふふ、そんなリーラちゃんをペロペロしたいぉ~…別にミルクたんから浮気した訳じゃ無いよ。
「ねぇ、マスター」
どこから、そんな声がした。
発生源である手を見て、時が止まった気がした。
いや、止まった。
手に握っていたミルクたんのフィギュアは、なんと素晴らしい変貌を遂げていた。
そう。小さなミルクたんが喋っていたのだ!
温かく、人間の様に柔らかく、そして甘い!!
「ま、マスター!?そんなとこ舐めちゃダメだよ!んんっ!」
「良いではないか、良いではないか…グヘヘへっ、美味いぞぉ…ペロペロペロペロジュルジュルレロレロ」
こりゃもうまたらん!もう死んでもいい。
嫌がるミルクたん萌ぇ~
「ちょ、瞳子さん!ピクシーになにやってるんですか!!」
取り敢えず、ミルクたんを舐め回すの止めて、リーラちゃんに従う事にした。
自分の唾液で、ぬらぬらになって、恍惚な表情を浮かべたミルクたんを、Tシャツの胸ポケットに入れた。
「まったく、妖精にそんな卑猥な事しちゃダメですよ!」
「ほほぅ、森の妖精さんですか」
「森は関係無いですけどね」
いや、こっちもお断りだけどね。
あんなガチムチなアニキとミルクたんを一緒にしないでほしい。
どうやら、リーラちゃんの言う事にはミルクたんは妖精のピクシーらしく、妖精の中でも特にピクシーは珍しいらしい。
元はフィギュアだったはずなのだが、どう言う訳かこうなったみたいだ。
これについては、私得なので置いといて、あとは所持金が問題だ。
所持金の項目から、サレン金貨を一枚転送する。
「ねぇ、この金貨使える?」
「これは!」
急にリーラちゃんが詰め寄ってきた。
ペロペロして欲しいのかな。
「ど、どこで手に入れたんですか!?」
なんだ、金貨の方ですか。
「docomoなにも……最初からだよ」
「これの価値が分かっていないようですね…」
いや、分かんないから。
ゲームの時は、サレン金貨一枚でノエル銀貨二百枚分の価値だったはず…更にその下にはイリヤ銅貨とレナス鉄貨がきて、どちらも十枚で上の一枚になるんだっけ。
少し前でも言ったけど、かなり凝った作りのゲームで、モンハンみたいに全てゼニーの様なひと纏まりで片付けるのではなく、ポーション一つで銀貨二枚と銅貨三枚、と言ったように値段が決まっていて、相場変動や売る店でも値段が違うようなゲームだった。
「ねぇ、その金貨の価値ってどうなってるの?」
ここは恥を忍んで聞いてみるのが得策と思われ。
「これは、既に失われてしまった国の金貨です。金の含有量はとても高く、精巧で芸術的価値も高いです。たまにダンジョン等で、宝箱から見付かったりしますね。これ一つで、公用金貨二十枚もします」
いやぁ、だからそれがどれくらいか知りたいのよさ、私は。第一、公用金貨ってなんぞや。…なんて言える筈がありません。
でも、既に失われた~の触りは、良く聞くパターンですなぁ。
「公用金貨の下に公用銀貨があり、銀貨三十枚で金貨一枚です。銀貨の下には銅貨があり、銅貨五十枚で銀貨一枚となります。そうですね、ポーション一つで大体銀貨一枚です」
「成る程、じゃあ私の所持金すべてで、軽い城が建つのかな」
「どれだけ持っているんですか……」
いっぱい、いっぱいだよリーラちゃん…
ぐふふ、これだけあれば……
「ハーレムを作るのだって夢じゃない!!」
「何言ってるんですかっ!?」
うをぉぉぉぉ燃えてきたぜぇぇぇ!!!!
こうなったら、やってやるしか無いな!
いつか、美少女でハーレム作って、毎日ペロペロレロレロチュパチュパしてやるんだからな!!キリッ!!
グヘヘへ、その中にはリーラちゃんもいるのだぜぃ。
今回も炸裂させてみました