ボスを倒そう(1)
うぅん、投票件数2件……も、もう少し待ちますね!?
どうぞこぞってご参加下さい!
三階層も、風景は変わらない。人も多いし、魔物も少ない。
一言で言うなら、
「つまらん!何で魔物と遭遇しないわけ!?スピアラビットしか遇って無いよ!?」
「仕方無いですよ。若い階層では人が多すぎるんです」
うむむむ、何階層までこんなのが続くんだ?
と言うか、まだ朝が早いのに何故?
もういっそのこと地面をぶち抜いて、五階層まで行っちゃう?
「五階層を過ぎれば、人は少なくなりますよ」
じゃあ、さっさと下に行きましょう。
はい、『瞳子の三分で五階層まで行きましょう』のお時間です。
まずはぁ、ステータス画面を開いて、職業のタブをタッチしましょう。
出来ましたかぁ?
次に、職業を魔法使いにしましょう。
はい、あとは簡単。
右手を地面に向けて魔法をぶっ放してあげれば、ほら簡単。
下の階層が丸見えになりましたぁ。
「じゃあ、リーラちゃん。降りようか」
「は、はい…」
かっこよく言ってみたは良いけど、下まで約240cm位…ど、どうやって降りようかなぁ…
こえぇ…
ゆっくりとぶら下がって、手を離せば良いかなあ…
「…よし、やるしかない…」
そっと、そぉっと…とうっ!
ゴキッ
あ、足が…足を…ぐねった…
ちょ、超痛い!!
「り、リーラちゃんも…早く…」
「は、はい!」
何の躊躇いも無く、ヒラリって降りて来ちゃってまあまあ…実は私ってドジっ子属性も持ち合わせてたりして…鬱だ…死のう…
「大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫だ…問題、無い…」
あれ?開けたはずの穴が消えてら…
何で?どうして?
「ねぇリーラちゃん。穴が消えてるんですけど」
「ああ、それはですね。ダンジョンは生きているって言われているんですよ。今みたいに傷付けても直ってしまったり、魔物が壁から出てきたり」
壁から!?グロっ!!
幻○鬼武者のゲームでも、ラスボスの一歩手前の回廊で、同じ様な光景があったような…
にしても、キモ過ぎるよね。
「とにかく、そう言う事です」
「成る程」
さて、とにかく次でボスのお部屋だね。
と言うことで、地面をぶち抜こうとしたら、リーラちゃんに止められた。
「ボスの部屋は天井がかなり高いので、止めた方が良いですよ」
「分かったよ」
また、頭から落ちたら堪ったもんじゃ無い。
あれは猛烈に痛かったよ。マヂで死ぬかと思った…
新聞の一面記事に、『大魔王、綱切れ落下死』みたいな残念な内容がトップに乗ってしまうデジャブが見えた。
仕方無いので、階段まで歩いて行く事になった。
落ちた所が、比較的階段に近い所だったのは有難い。も、もちろん狙って落ちたんだからね!?
ちなみに四階層も明るいので、視界が良い。
どういう機構なんだか分かんないけど、誰か一人でも新たな階層に入ると同時に、一斉に明るくなるらしい。
まぁ、ダンジョンは生きてるらしいから、突っ込んだら負けでしょ。
「リーラちゃんは、甘い物とか好き?」
「どうしたんですか?急に。まぁ、甘い物は好きですよ。たまに食べ過ぎてしまって、脇腹が気になってしまう時もありますが」
リーラちゃんが苦笑しながら、ヒラヒラと手を顔の前で振る。
「ふむふむ。じゃあ今日甘い物食・べ・な・い・か」
「凄く引っ掛かる言い方ですね…でも、良いですね!帰ったら食べましょう!」
ふはは、これで布石は完璧!
「瞳子さん!魔物です!」
「んぉ!?やっとお出ましですか」
急に目の前に現れたのは、五匹のでかい蜂。
正猫位の大きさだ。
スズメバチみたいに黒と黄色のコントラスト…
腹部から飛び出た手のひら程の長さがありそうな、凶悪感バリバリの針。
正直言って、嫌悪感でおしっこ漏らしそう!!
イヤァァァァ!触りたく無いぃぃ!!
「キラービーですね。あの針は危険ですから、気を付けて下さい」
どこの八尾使いさんですか?
でも、そんな事より凶悪な針から目が離せない…
「さ、ささ、刺されたら?」
「解毒薬があるので、すぐ使えば大丈夫ですが、もし持って無かったら大体5分で死にます」
「…………」
なんとも危ない魔物が、こんな若い階層でポップして良いんかい…
「何にせよ、倒しましょう」
そう言って、リーラちゃんは腰に下げていた片手剣を一瞬で抜き放ち、腰を落とした体勢で猛然とキラービーに襲い掛かって行った。あるれぇー、リーラちゃんってこんなキャラだっけ?
キラービーのパーティーに突っ込んだリーラちゃんは、片手剣を一閃して一匹の体と首を両断し、背後から襲い掛かって来たキラービーの攻撃を、流れる様な足捌きで回避し、カウンターの一撃をお見舞いして叩き落としてから、離脱してきた。
「瞳子さん、残りを!」
「ほ、ほいな。アイスアロー!」
自分の背後に三本の氷の矢が出来上がる。
だけど、これは矢って言って良いのか分からない大きさになってる。
むしろ槍ですな。
素晴らしい我が魔力!
ふぅっはっはっはっはっはぁ!!
「行けぃ!!」
氷のなんちゃって槍は、回転しながら三匹のキラービーに飛んで行く。
キラービーは、焦った様に回避しようとするも、そんなに生易しい速度で飛ばした覚えは御座いません。
氷のなんちゃって槍は、三匹のキラービーの頭を抉る様に吹き飛ばした。
黄緑色の体液を撒き散らしながら…
うわぁ、黄緑色の血がっ!?ちょっと足に掛かった!!
ひぃぃぃぃ!!
「さ、さすがですね。威力が尋常じゃ無いですよ」
「うひぃぃぃ!?虫とかっ!?体液とかっ!!いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「と、瞳子さん!?落ち着いて下さい!!」
「ききききききみきみ黄緑ぃぃぃぁぁぁぁぁぁ!!」
「ら、乱心!!マインドヒール!」
「血ぃぃ!血ぃぃぃぃぃ!!…はっ!?私は何を?」
確か、キラービーの体液が足にかかったまでは覚えてる…
それ以降の記憶が御座いません。
一体何が…?
「ふう……瞳子さん、先に進みましょう」
「うぅむ」
なんだかリーラちゃんが若干汗を掻いている気がする…やっぱり何が?
とりあえず、階段へと向かう。
他の階層とは違って、ちょくちょく魔物と遭遇しては戦闘になる。
「瞳子さん、援護頼みます!」
「サンダーボルト!」
雑魚には下級魔法で十分だゼ!
「瞳子さん、左から来ます!」
「ほい来た任せろぅ!!」
次々と迫り来るおバカさんな魔物達を、千切っては投げ千切っては投げ、竜巻旋風脚の如き勢いで破竹の快進撃を見せながら、階段まで歩いて行った。
「ふっ、私ってかっこいい!」
「急にどうしたんですか…ほら、階段を降りますよ」
最近リーラちゃんのノリが悪いです…
ハート様『いてぇぇぇよおおおおおお!!』
瞳子さん『血ぃぃ!血ぃぃぃぃぃ!!』
ハート様『………誰ですか?あなたは』




