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その翌々日。仕事に政府庁舎に赴いた彪榮は自らが所属する兵部の官舎に向う途中で、少し先を歩く見知った男の姿を見つけて声をかけた。
「伯楽」
彪榮が声をかけるとその男…伯楽はおもむろに振り返り、彪榮の姿を認めると「よぉ」と返答をした。
「これから兵部へ向うのか?あんたにしちゃ早すぎる出勤じゃないか。明日は雪が降るかな」
伯楽に追いつき、肩を並べて歩き出すや否や彪榮は率直な感想を口にした。
「おいおい、なんだその言い草は。仮にも上司にむかって。それじゃ俺がまるで遅刻常習犯じゃないか」
「実際そうだろう。大体あんたはちっとも上司らしくない」
歯に衣着せぬ物言いに「参ったな」と伯楽は苦笑いを浮かべた。
「それで、何かあったのか?」
先ほどとは打って変わって真剣みを帯びた声音で彪榮は尋ねた。
するどいな。と伯楽は苦笑いのまま呟いた。
「見ればわかる。正装なんて上からお呼びがかかる時くらいにしか着ないだろ。それもこんな朝早くから」
伯楽は彪榮が属する兵部の尚書であった。だが些細な仕事は「俺はお前たちを信頼してるからな」と全て部下に丸投げし、社長出勤が常であった。その一番の被害者は彪榮だ。
それでも有事の際には見事な采配で兵部を統率するというカリスマ性を持ち合わせており、部下から慕われている。
そんな男が早朝からそれも正装で現れたのだから、何かあったと考えるのが妥当だ。伯楽が社長出勤しているうちは平穏な証拠でもあった。
「たいしたことじゃない。要人の護衛を頼まれただけだ」
「要人…?皇族か?」
「皇族…まぁそうとも言えるような言えないような…」
「なんだ、ハッキリしてくれ」
伯楽はしばらく考え込んでから口を開いた。
「アゼリア国と同盟が成り立ったことは言ったな」
「あぁ」
「その盟約の証に我らが陽朱国の第三皇子とアゼリア国第五皇女の婚約が決まった」
「そんな話初めて聞いたぞ」
同盟の成立は国中が知っている。それに伴う皇子の婚約ともなれば大事になってしかるべきだ。
「俺もつい今しがた知ったんだ。何やら複雑な事情があるらしくてな。この婚約はしばらく公にはしないそうだ。知っているのは各部署の尚書と…」
伯楽は彪榮に視線を向ける。
「俺、というわけか。いいのか?そんな機密を俺にしゃべって…」
「構わないさ」と伯楽は笑った。
「護衛役にお前を推薦しておいたからな」
「…は?」
「夕方に会うことになってるから、そのつもりでな」
伯楽は突然のことに唖然とする彪榮にいたずらっぽい笑みをくれると、さっさと自分の執務室に入って扉を閉めてしまう。ご丁寧に鍵をかけて。
「ちょっ、聞いてないぞ伯楽!!」
扉の外で叫ぶ彪榮の声には聞こえないフリをして伯楽は机の上の書類にむかった。
登場人物が増えましたね。
彪榮の上司の伯楽です。
彪栄の5つ年上です。まだ若いけど兵部尚書です。
デスクワークが嫌でいかに上手くサボるかに日々頭を悩ませています(笑)
まぁ、基本的に部下に丸投げ///
しかし武術に関しては相当のてだれです。
いつか彪榮と伯楽の話も番外編とかで書いてみたいなぁ~




