表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/31

1-3

少女を紙に書かれた住所に送り届けるまでの道中、彪榮は彼女について様々なことを知るに至った。

 口下手ではないが共通の話題もない初対面の者と気軽に話すことができるタチではなかった。それでも異国に対する興味から必然的に少女に対する質問ばかりになってしまったのだ。少女は尋ねれば素直に答え、彪榮の質問も尽きなかったため、沈黙して困るようなことはなくて済んだ。

 少女は名をリテンダ。歳は18。3日ほどまえにアゼリア国から外交官として陽朱国にやってきて、今日は世話になっている人に街を案内してもらっていたところ、はぐれてしまったらしい。

(随分若い外交官だな)

 何か特別な事情があるのか。しかし初対面の相手にそこまで聞くのは気が引けた。

 そうして当たり障りのない質問を続けているうちに目的地に着いた。

 政府庁舎に近いこの区域は政府に勤める役人の住居が立ち並ぶところで立派な屋敷ばかりだが、その中でも目の前の屋敷は一際立派なものだった。

 表札を確認して合点がいく。

 (ばく) 秋謹(しゅうきん)

 外交をつかさどる礼部の長官。礼部尚書の屋敷だ。しかも尚書の任について長いと聞く。

「どうもありがとうございました」

 門を背にしてリテンダが彪榮に頭を下げた。

 それでは、とリテンダは彪榮に背を向けて歩き出し、彪榮がその場を立ち去る間もなくすぐに足を止めて振り返った。

「あの、名前を教えていただけますか」

「名前…?」

 そこで彪榮は自分のことは一切リテンダに話していないことに気付いた。

 行きがかり上の偶然の出会いで、この先再び会うとも分からないとはいえ、相手の名前を聞いた以上は名乗るのが礼儀というものだ。

「彪榮…。() 彪榮(ひょうえい)だ」

「彪榮…」

 リテンダはその名を呟くと「ありがとうございました」ともう一度頭を下げて礼を述べると、今度こそ振り返らずに屋敷へと小走りで向っていった。

 その背を一瞥してから彪榮ばその場を後にした。

ちょっとずつの亀更新ですが、どうぞよろしく。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ