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2-2

 その数日後、いつものように長屋から彪栄に送り届けられたリテンダが屋敷に入ると、その屋敷の主である秋瑾が帰宅していた。

「秋瑾さま!!」

「あぁ、リテンダ様。ただいま戻りました。長く屋敷を空けていて申し訳ありませんでした。まだ慣れぬ土地だというのに…」

「いいえ、大丈夫です」

 秋瑾は屋敷の者に茶の用意をさせるとリテンダと卓を囲む。すぐに運ばれてきたお茶に秋瑾は一度口をつけるとリテンダに尋ねた。

「屋敷の者から毎日のように市街に赴かれていると聞きましたが…」

「はい。あそこは色々な出店もあって面白いですし…。市街への道ももう覚えました」

 得意げに答えるリテンダだが、その実は怪しいものだ。何せ今日も今日とて送迎付きなのだから。

「お一人で、ですか?」

「あ、いえ。それは」

「彪榮殿が?」

「はい」

 知らぬ土地での一人歩きは危ういことはリテンダも重々承知。その上で市街に出るとなれば、異国の地で頼れるものが少ないリテンダの助けとなるのは秋瑾を除くと彪榮しかいない。

「とても良くしてくださいます。秋瑾さまがいなかった間、この国に慣れ親しむことが出来たのもあの方のおかげです」

 この国での新たな出会いと楽しい日々を意図せずとはいえ与えてくれた。

リテンダの話とその表情から秋瑾は満足そうに微笑んだ。

「それはなにより。あの場で返事を聞くことはできませんでしたが、護衛の件は彼に頼んで正解のようですな」

 その言葉にリテンダはハッとする。

 忘れていたわけではないが、彪栄の話を聞いて以来その話題を出せずにいた。

彪榮が護衛の件で悩んでいるのはリテンダにも分かっていた。時折、ふと考えにふける彪栄を幾度となく見ている。長屋でも帰りの道中も。

リテンダが秋瑾にどう切り出すか悩んでいると、秋瑾が先に話を切り出した。

「今回はリテンダ様に他国行きの話を持ってまいりました」

「えっ?」

 秋瑾の言葉にリテンダは驚きに声を上げる。

 リテンダは、兼ねてから他国に赴くことを望んでいたのだ。

「我らが陽朱国が長年懇意にしている隣国、華櫻国の外交官が亡くなり、新しい外交官が就任しましたのでその挨拶に出向くことになりました」

 もともと老年であった華櫻国の外交官が急逝し、秋瑾はその弔いに一足先に出向いたという。

「ご同行なされますか?」

「は、はい!!」

  まさかこんなに早く機会に恵まれるとは思っていなかったリテンダは二つ返事で了承した。嬉しさで顔がほころぶ。

「わかりました。それではこの話を彪榮殿にもしなければなりませんな」

 だが秋瑾のこの言葉に、リテンダは笑みを消して考え込む。

「…どうかしましたかな?」

 不思議に思った秋瑾がリテンダの顔を窺う。

 しばらくして、リテンダは顔を上げると秋瑾の顔をまっすぐ見据えると口を開いた。

「秋瑾さま。そのことでお話があります」


学校と部活の方が忙しいので更新は停滞気味になります~

藍華と緑華の絵を描いたので次話を投稿した時に載せます。


最近、この話に登場するキャラたちの未来妄想に余念がありません(^p^)

私的にあの人とあの人をくっつけたいな~とか色々考えてます///

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