27/57
閑話5
──守りたいものがあった。
何をおいても、守りたいものが。
〈彼〉の親友は心優しすぎた。
この組織にいるのは、彼にとって望ましくない状態だ。たとえ本人が自覚していないとしても。
〈彼〉は親友を逃がそうと、何度も何度も計画を練っては試みてきた。しかし、それはいつもすんでのところで失敗に終わる。
どんな犠牲を払っても構わない。
一刻も早く、彼を逃がしたい。
そう思い続けて何年経っただろう、最高の機会が訪れた。もう半分以上狂っているガッドイールは、きっとこの計画には気づかないだろう。
──さあ、劇の開演だ。
ローブの奥の目が細く弓なりになる。
口元がつり上がるのを自覚していたが、〈彼〉は気にも留めなかった。