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 閑話4

 ようやく情報が届いたか、と〈彼〉はため息をついた。



 手際が悪すぎる。



どのような目くらましをされたのかはわからないが、ターゲットの位置を把握するのに時間がかかりすぎだ。

 後で情報収集役を洗い出そうと思いつつ、〈彼〉はローブを纏う。

 灰色の衣は、〈彼〉の容姿を完全に隠した。唯一見える口元は、無表情に引き結ばれている。

 手元の剣の刃を、もう一度確認する。刃こぼれ一つないそれは、微かな光にも充分反射してきらりと輝いた。

 それに満足そうにうなずき、ついで興味深い女を思い出す。



 あの細い身体のどこから、あんな力が出てくるのか。あれだけのスピードを保ちつつ、かつ剣技で駒達に劣ることもない。空色の髪が印象的だったと、刃に反射する己を見つつ思い出す。



──おもしろい。



 このくだらない戯曲の中で、唯一楽しめそうな相手。

 台風の目のような、そこにいるだけでこちらの描いた展開を覆す存在。



久々に退屈せずにいられそうだ。



くつり、と喉を鳴らし、〈彼〉は廊下へ一歩踏み出した。

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