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11 ディラックの素朴な疑問

「あ、ディラックさん! キリエさんの容態は──」



 エリシアの部屋に戻ると、真っ先にフリードリヒが小走りに近寄ってきた。そんな彼を、エリシアが不機嫌な面持ちで見つめている。

 フリードリヒの頭の中は、キリエのことで占められているらしい。内心苦笑しながら、安心させるようにうなずいた。



「大丈夫だ、今は治療を終えて寝てる。一週間ほどで治るだろ」

「そ……う、ですか……」



 あからさまにほっとした様子のフリードリヒに小さく笑うと、ディラックは再び口を開く。



「契約が更新された。王都にいる間も護衛することになったぞ」

「本当ですか!?」



 満面の笑みを浮かべる彼にうなずいて、ディラックはただしと言い足す。



「俺達が完治するまで、このままこの館に留まることを勧めといた。エリシア様には大変申し訳ありませんが、現在の状況で移動するのは危険ですので」

「構いませんわ。怪我をなさっているのでしょう? 貴方もどうぞゆっくりとお休みくださいな」



 にっこりと微笑んで、エリシアは彼に椅子を勧めた。ありがたく申し出を受けたディラックが他愛のない話をしていると、使用人が一人、フリードリヒを呼びにくる。



「バスーキン様がおいでになるように、と」

「僕に?」

「はい」

「何の用だろう……?」



 首を傾げたフリードリヒは、しかしすぐにわかったと返事をする。上着を整えつつ部屋を出た彼は、さほど時間が経たないうちに戻ってきた。



「なんだったんだ?」



 時計をちらりと見ながらディラックが訊くと、フリードリヒは相変わらず真意の見えない笑顔でかぶりを振る。さほど興味がなかったディラックは、とりあえず流しておいた。



「悪りぃ、俺ちょっとキリエのところに行ってくる」

「あ──僕も」



 ディラックに続いて立ち上がろうとしたフリードリヒに渋い顔をして、彼はかぶりを振りながら目でエリシアを示した。



「エリシア様の傍にいろ。何かあったら、お前が守るんだ」

「はい」



 渋々黙りこんだフリードリヒに、エリシアが険のある視線を向ける。それに気づかないほどキリエに夢中な彼に、ディラックは内心で首を傾げた。





 何故、フリードリヒはこんなにもキリエに固執する?

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