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序章
幼馴染からの連絡が途絶えた。
あたしに、存在価値なんてあるんだろうか。
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──おねえちゃん、いかないで!
ああ、あの子が泣いている。反射的に駆け寄って抱きしめたくなるのをぐっとこらえて、あたしはそこから走って逃げた。
父さんも母さんもが死んだ今、あたし達だけじゃ、とても生きていけないから。このままじゃ、みんな死んじゃうから。
──おねえちゃん!!
ばいばい。
ヒルト、あんたはこれからそこで育ててもらうの。待っててなんて言えないから。あたしはもう、あんた達に会えるようなまっとうな人間じゃいられないから。
どうか、どうか、幸せになって。
恨んでいいから。憎んでいいから。あんた達は日の当たるところで生きていて。
ばいばい。元気でね。