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婚約破棄から始まる物語~真実の愛と言う茶番で、私の至福のティータイムを邪魔しないでください  作者: をち。


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3/10

3、いらぬ恥をかかずにすんで良かったですわね、殿下。

 あの舞台のように卒業パーティーで婚約破棄を叫ばなかったことだけは、褒めて差し上げます。物語ならまだしも、そのようなことを現実で行えば、みなさんのせっかくのパーティーを台無ししてしまいますもの。だって……ねえ?この婚約が王命なのはみなさまご存じなのです。それを一方的に破棄などと……ねえ?

 この店にも多くの目はございますが、ーティーよりもマシでございましょう?いらぬ恥をかかずにすんで良かったですわね、殿下。




 最後に、一応確認しておきましょう。答えは分かり切っておりますけれども、単なる様式美として。


「ところで殿下。陛下にはもうご了承いただいたのでしょうか?婚約をやめたいという殿下のお気持ちに変わりはございませんね?」


 私の言葉にサアッと青ざめ、顔を強張らせるお二人。

 でしょうね。陛下が自らの首を絞めるようなことをお認めになるとは思えませんもの。

 だからこそお二人はわざと人前で婚約破棄を叫び、陛下に事後承諾させるおつもりなのでしょう。

 でもこちらといたしましてもこれは願ってもない機会。馬鹿なお二人に感謝です。後から取り消しなどさせませんわよ?

 この確認は、質問の形をとった念押しの意味での確認作業なのです。


「一度口から出た言葉は戻せません。あなたが婚約破棄だとおっしゃり、私はそれを受け入れました。もう覆すことはできません。それはもちろんご承知の上で仰ったのですよね?そのうえであえて確認のためにお聞きしたのです」


 「婚約破棄を覆されるわけではなさそうだ」と思ったのか、俄然勢いを取り戻す殿下。


「あ、ああ。父上の了承は《《まだ》》とっていない。だが俺が話をすれば認めてくださる《《はず》》だ。私がお前のように冷たい女と婚姻を結ぶことなど、あり得ぬ!ゆえにこの婚約は破棄するしかない。お前がいくら渋ろうと、覆すわけがないだろう!私が共に生きたいと願うのはエリーだけなのだから」

「ああ、アレックス様!うれしいっ!」


 あら、またしても茶番?誰が何を渋りました?「受け入れた」と申しましたよね?

 なんというか……ここまでおバカな方だったとは。でも私には好都合ですわ。

 こほん、と小さく咳払いをして、盛り上がっているお二人の注意を引きます。


「陛下にご了承いただいていないのであれば、ご連絡せねばなりませんね。アレックス様、婚約破棄の理由はどうお伝えになるのですか?この婚約は王命による政略婚ですのよ?破棄なさるにはそれなりの理由がなければ」


 


 そもそも、この迷惑な婚約の発端は、側妃様。

 先ほど申しましたとおり、アホック……失礼、アレックス殿下をお産みになったのは、正妃様ではなく側妃様なのです。


 側妃のアイラ様は、もともとは男爵家のお生まれ。

 アイラ様は学生時代、当時公爵令嬢であらせられた現正妃のミリア様から、婚約者であったサイオン陛下を寝取……こほん、陛下と密やかに愛を育まれ、お腹の御子を盾に無理やり側妃として王宮に入ったお方なのです。

 当然ながら男爵家ではたいした後ろ盾とはなりえません。

 

 さて、高位貴族が下位貴族を娶る場合には「形だけでもどこかの高位貴族の養子にしてから娶る」という段階を踏むのが通常です。

 しかし、婚約者のいる、しかも《《王太子を寝取る》》という貴族の令嬢にあるまじき行為をされたアイラ様は、ミリア様のご実家である筆頭公爵家はもちろん、それに連なる高位貴族たちから反感を買いまくっております。他の貴族たちも同様です。わざわざ正妃になる方の怒りを買ってまで後ろ盾となろうという方などいようはずもございません。

 ご本人に品格や知性があればまだ検討の余地もあったのでしょうが……もとより取り柄と言えばその儚げな容姿と男に取り入る才能のみ。ろくな教養もなく成績は底辺。気取らないという言い方もありますが、要するに異性に対する距離が近いだけの女性なのですもの。

 陛下はそれを「無邪気」「飾らない性格」と思っていらっしゃるようですが……側妃様の貴族としての資質は、側妃となった今ですら周りの者がみな眉をひそめるレベルなのです。男爵家のご令嬢だった当時は……お判りでしょう?

 最低限の礼儀も知らぬようなトラブルメーカーを、誰が養子にしたいと思うでしょうか?まともな貴族であれば、王家と縁続きになる利点よりも、家名を汚されることの方を重要視いたしますものね。

 結局「いったん後ろ盾となってくれる高位貴族の養女となり、そこから改めて王家に召される」ということすらできぬまま、アイラ様はそのまま「男爵家のご令嬢」として側妃となられたのでした。

 ご本人は「陛下に寵愛を受けながら、家格のせいで正妃になれなかった悲劇の側妃」のおつもりのようですが、実際には「第一王子を産み、陛下の寵愛を得ているからなんとか王宮に居ることを許されている」、そういったお方なのです。



 こうして「下位貴族が色仕掛けで正妃様から陛下を寝取り」、いわゆる「できちゃった婚」により第一王子としてお生まれになったのがアレックス様。いかに危ういお立場なのか、分かりますよね?

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