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カップル限定デスゲーム  作者: 絶対完結させるマン


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32/38

奇妙な場所

 「もう30分は経ったかな……」


 スマホは起動しないし、時計も持っていないので、銀次は体感で時間を測るしかなかった。


 「海ちゃん、今どの辺にいるんだろう……」


 繋いだ手から、都の緊張が伝わってきた。


 「なんかここ怖いし……いかにもお化け出そう。早く帰りたいよ……」


 都の言うとおり、ここは不気味な雰囲気漂う場所だった。


 駅を観察してみたが、駅には時刻表がなく駅名標に他の駅名も見られない。もちろん人などいるはずもなく、銀次たちは駅の外に出た。


 駅周辺には人家などは何もなく、タクシーなども見当たらない。銀次は空を仰ぎ、目が眩んだ。


 分厚い雲に覆われて、一条の光も射さなそうな曇天だった。辺り一面に漂う霧のせいで視界が悪く、目を凝らした先に駅舎の赤い屋根が見えた。


 都と二人、地面を踏みしめて当てもなく歩いていく。遠ざかる駅舎を見失わないように、時折目で確認しながら。


 一応逃げなければ、鬼ごっこにならないので、銀次たちはこうやって駅から離れているのだった。


 「あのお姉さんが死んだから、海ちゃんはこれ以上捕まえなくてもいいんだよね」

 「うん」

 「なのになんであの人たちはお姉さんが死んだ時、一目散に駆け出したの?」


 裕也とキアラが逃げ出したのを見て、都は怪訝に思ったのだ。


 「あれは……先輩がそんなことする人じゃないってわかってても、なんとなく怖かったんじゃないかな。俺たちを除いたら、残るカップルはあの一組だけだから」

 「銀くん。……何か私に隠してることあるんでしょ」


 都が拗ねるような眼差しで見上げてくる。

 銀次はその眼差しにあっさり陥落して、本心を吐露する。


 「先輩は、あのカップルのどちらかを捕まえるつもりだ。捕まえて——殺すつもりなんだ」


 綾子がタッチされた瞬間、目の前に広がった惨劇を思い返して、銀次は陰鬱な気分になる。


 「そっか……」


 都は難しい顔をして黙り込んでしまう。


 「キアラちゃんたち、見つからないね……逃げ切れるかな」


 こうやって駅から遠ざかる道すがら、二人に出会えるかもと思っていたが、そんなことはなかった。


 「どこかに隠れてるのかもしれない」

 「その方が安全だもんね。でもこの辺に隠れられそうな場所あるのかな」


 銀次は改めて周辺を見渡す。


 草木も見当たらぬ、完全なる殺風景。見える建物といえば、数十分前にいたあの駅舎のみ。


 まるで大草原にいるみたいだ。霧のせいでどんな風景かはよくわからないが……。


 「なんかあの世みたい」


 自分で言って怖くなったのか、都が腕に上半身ごとしがみついてくる。


 「あの世じゃないよ。あの世に"最も近い場所"だって主催者が言ってただろ。大丈夫だ。もう少しで元いた世界に帰れるよ」

 「うん……銀くん、絶対最後まで離れないでね」

 「当たり前だ」


 銀次は言葉以上の思いを伝えるために、都の頭にポンッと手を置き、都の表情が和らぐまで撫で続ける。


 「私、頭撫でられるの好き」

 「知ってる」


 狙い通り都が安心した顔になったので、銀次は心の底から安堵した。

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