実家のお風呂。
実家のお風呂に入った時の話です。
8/2 文章編集しました。
とある夏の夜の話。
久々に実家に帰ってきた。
仕事終わりという事もあり、汗だくだ。
早速お風呂に入る事になった。
実家のお風呂は昔ながらのバランス釜を備えた、レトロ感丸出しのスタイルである。
タイルの床に、ゆっくりと降り立つ。
「冷たい……。けれども気持ち良い。」
冬にはドキッとするが、夏場はヒンヤリと心地よい。
まずは剥き出しのガス管のツマミを回す。
と同時に、留め具のネジの錆びつき具合が目に入ってきた。
「そうだよね。お互いに歳をとったね。」
と、思わず心の中で呟いた。
ふぅ……とため息を付きつつ、口火を灯す。
(チチチチチチッ)
懐かしい音が耳に届く。
今は毎晩のように晩酌をして、肴をツマんでいるわけだが、昔は毎日このツマミを回していたのか。
としばらくの間、感傷に浸っていた。
湯船は昔ながらのステンレス浴槽。
体育座りをしながら浸かっていて、
ふと思った。
「足は伸ばせないけど、心の羽は全開で伸ばせるな~。」
やはり実家は落ち着く。
機械的な快適性と精神的な快適性の違いを身に染みて感じた夜であった。 tomocha928