第6話 監査官の本気! “影の王”の一撃
「ははっ……なるほどな」
影縛を解除した俺を見て、ユリウスは不敵に笑った。
「まさか戦闘中にスキルを生み出すとはな。……ますます興味が湧いたぞ」
その言葉と同時に、ユリウスの影が大きく揺らめいた。
——ゴゴゴゴゴ……!
(……っ!? なんだ、この圧力は!?)
影が蠢き、彼の足元から黒いオーラが立ち上る。
「貴様が”経験値錬金”を使うように……俺にも”奥の手”がある」
彼はゆっくりと手を掲げ、静かに告げた。
「——《影の王》、解放」
——ドォォォォン!!!
瞬間、森全体が闇に包まれた。
(……視界が……奪われる!?)
まるで”影そのもの”が意志を持ったかのように、俺の周囲を塗りつぶしていく。
「“影”とは”存在の概念”そのもの。俺の影に取り込まれれば、お前はこの世界から消える」
……まさか、ユリウスのスキルは “相手の存在を消す” のか!?
(クソッ……どうする……!)
だが——
俺には、まだ”奥の手”がある。
「悪いけど……俺も”ルール”を破らせてもらうぜ」
俺は“経験値”を全て放出し、一つのスキルを創り出した。
——【スキル取得:《光の領域》】
ユリウスの影を覆うように、俺の体が黄金に輝く。
「……なに!?」
「影が”概念”なら……光も”概念”だろ?」
——バシュウウウウ!!!
光が影を裂き、俺はユリウスの足元へと一気に踏み込んだ。
「終わりだ、ユリウス!!」
俺は拳を握り、全力で彼の顎をぶち抜いた——!
——ズガァァァァン!!!
「……ユリウスが敗れた、だと?」
ギルド本部の執務室。
報告を受けたギルマスは、驚いたように目を細めた。
「“影の監査官”が、経験値錬金の力に敗れた……?」
「ギルマス、このままでは……」
「……いいや。むしろ、これで”動かしやすく”なった」
彼は机の上の書類を手に取る。
——“追放者 レオン・グリード 処分計画”
「この男を、ギルドの敵として指名手配する」
「な……!?」
「世界が”経験値錬金”の力を知れば、秩序が崩れる。ならば、その力ごと”消す”しかない」
ギルマスはゆっくりと立ち上がり、言い放った。
「——最強の暗殺者を送り込め。レオン・グリードを始末しろ」
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