第5話 経験値錬金の反撃! 監査官の想定外
俺は地面に倒れ込んだまま、歯を食いしばった。
ユリウスのスキル 《影縛》 によって、体の自由を奪われている。
(……くそっ、どうする!?)
ユリウスは冷徹な視線を向けたまま、俺を見下ろしている。
「終わりだ、レオン・グリード」
剣が振り下ろされる——!
だが、その瞬間。
「経験値錬金——発動!」
俺は全身に宿る”経験値”を操作し、一気に変換した。
——ピキィン!!
俺の体が黄金色の輝きに包まれる。
【スキル取得:《影耐性》】
【スキル取得:《影縛・解除》】
「……なにっ!?」
ユリウスの表情が初めてわずかに揺らぐ。
(……“影を操る”なら、“影への耐性”を持てばいい)
俺のスキル【経験値錬金】の力は、“経験値を自在に変換できる”こと。
つまり、戦いながら即座に “必要なスキルを生み出す” ことができる!
「——影縛、解除!!」
ビキンッ!!
俺の影を縛っていた黒い鎖が砕け散る。
「……ほう」
ユリウスは興味深そうに目を細めたが、すぐに剣を構え直す。
「なるほど……やはり、“規格外”だな」
「言っただろ? 俺は経験値を”好きな力”に変えられるんだよ!」
俺は笑いながら、ユリウスへ向けて一歩踏み込む。
「今度はこっちから行くぜ」
一方、その頃。
ギルド本部では、ある一人の男が報告を受けていた。
「……レオン・グリードが、監査官ユリウスと戦闘?」
ギルマスは眉をひそめる。
「信じがたい話ですが、ユリウスが押されている様子もあるとか……」
「……ふん」
ギルマスは不敵に笑った。
「ならば、“次の一手”を打たねばなるまい」
彼は机の上に置かれた 一枚の書類 に目を落とす。
そこには、こう記されていた。
——「追放者 レオン・グリード 処分計画」
「さて……“影の組織”の連中が出張ってくる前に、始末しておくか」
読んでいただきありがとうごさいます!
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