第2話 レベル1追放者、最強モンスターを狩る
「……腹減った」
俺は今、ギルドのある街を離れ、森の奥の廃墟で野宿している。
当然、宿屋に泊まる金なんてない。
食料を手に入れるには、狩りをするしかなかった。
「まあ、これも試しにやってみるか」
経験値錬金——これがどこまで通用するのか、実験する必要がある。
ちょうどいい。
目の前には、茂みの中からこっちを狙う魔物の赤い瞳が見えた。
【魔物:ブラッドウルフ】(Lv.12)
HP:450
攻撃力:68
スキル:《出血牙》《群れの統率》
「レベル12の狼か……」
普通に考えれば、レベル1の俺が勝てる相手じゃない。
だが、俺には【経験値錬金】がある。
「試しに、これで狩るか——」
俺はさっき進化させた 『闇狼の魔剣』 を握りしめた。
ブラッドウルフが飛びかかってくる!
「——遅い」
俺は横にステップし、華麗に回避。
振り下ろした魔剣が、狼の肩口を切り裂いた。
ズバァッ!
〈ブラッドウルフに45ダメージ!〉
「おおっ、結構削れるな……」
とはいえ、相手のHPは450。まだまだ倒すには足りない。
——だが、問題ない。
「ここでスキル発動だ」
俺は脳内で、経験値の使い道を選択する。
〈経験値錬金〉
所持経験値:100
変換対象:『攻撃力アップ』
〈経験値100ポイントを消費し、攻撃力+50〉
「よし……!」
ステータスを確認すると、俺の攻撃力が "68 → 118" になっていた。
「試しに、もう一撃——」
——ズバァン!!!
〈クリティカル! ブラッドウルフに150ダメージ!〉
「おおお!?」
たった一撃で、狼のHPの半分以上を削った!?
ブラッドウルフが怯んでいる。
俺は迷わず、最後の一撃を叩き込んだ。
〈討伐完了! 経験値+200〉
「……勝った!」
普通なら、レベル1の俺がレベル12の魔物に勝つなんてありえない。
だが、【経験値錬金】のおかげで "リアルタイムで強化" できる。
「これ、やばいスキルじゃないか……?」
手応えを感じた俺は、さらに奥へと進んでいった。
森の奥へ進むほど、魔物のレベルも上がっていく。
俺は経験値を使ってどんどん強化し、既に 「攻撃力180」 まで上がっていた。
だが——
「……な、なんだ?」
足元が震えた。
いや、それは地響きだ。
ズズ……ズズン……!
遠くの茂みが揺れ、大きな影が姿を現した。
【魔物:オーガロード】(Lv.35)
HP:3000
攻撃力:250
スキル:《怪力》《自己再生》
「うわぁ、レベル35のオーガ!? こんなの普通に戦えるわけ——」
——ドゴォォォォン!!!!
次の瞬間、地面が爆ぜた。
オーガが拳を叩きつけた場所が、大穴になっている。
「は!? ちょ、速くないか!?」
回避が間に合わず、俺は拳の余波を受けて吹き飛ばされた。
〈ダメージ:120〉
「ぐっ……!!」
たったの一撃で、HPの半分以上が削られた。
——ヤバい。こいつ、ガチで格が違う。
普通なら、ここで"詰み"だった。
だが——
「なら……"経験値"を、全部使う!」
俺はこれまで倒した魔物の経験値を、すべて 『防御力アップ』 に変換した!
〈経験値2000ポイントを消費し、防御力+400〉
オーガが再び拳を振り上げる。
「……来いよ」
ドゴォォォォン!!!!
——ガキィィィン!!!!
「っ……!?」
拳が直撃したのに、ほとんどダメージがない!?
「ははっ……マジかよ、俺……」
——経験値さえあれば、どんな強敵でも対応できる。
オーガが戸惑っている隙に、俺は魔剣を振りかぶった。
「これで……終わりだ!!!」
——ズバァァァァン!!!!
〈クリティカル! オーガロードを討伐!〉
〈経験値+5000〉
オーガの巨体が、地響きを立てながら倒れる。
「……勝った」
俺はその場に座り込んだ。
"レベル1のまま"なのに、レベル35のオーガを倒した。
こんなの、普通はありえない。
でも、俺にはできた。
「……はは、これ、やべぇスキルだな」
俺の心の中で、確信に変わった。
——このスキルがあれば、"神"すら超えられる。
そして、この時 俺はまだ知らなかった。
"オーガロード討伐"の知らせが、ギルド中を震撼させることを——!
読んでいただきありがとうごさいます!
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