第12話 神の監視者、降臨――終わりの序章
ゼノとの死闘が終わる……はずだった。
だが、それは現れた。
「ハハ……まさか、本当に”超えてくる”とはな」
空間が裂け、そこから”人のようで、人でないもの”が降臨した。
全身は白金の鎧に包まれ、背には浮遊する魔法陣が8枚。
顔は仮面で覆われていて表情はない。
だが、その存在感だけで空気が変わった。
「……あれは……人間じゃない」
隣のゼノが、声を震わせてつぶやく。
(間違いない……俺も、心臓が潰されそうなほど圧倒されてる)
俺が今まで戦ったすべての相手とは、根本的に格が違う。
そして仮面の存在は、俺に向かってこう言った。
「お前が、“死を超えた異物”か」
お前はこの世界の”構造”に背いた」
「命の循環、死の絶対性、神の定めた経験値の法則——」
「そのすべてを”錬金”してねじ曲げた」
「……だから、俺を消しに来たってわけか?」
仮面の男は小さく首を横に振る。
「いいや、まだ”観察”の段階だ」
「だがこの先——お前が更に”神域”に踏み込むならば、我らは動く」
「我ら……?」
「我は”監視者アズ=ラグ”。創造主の直下にある”七柱の審問者”の一人」
「お前のような”世界の異物”が生まれる可能性は、過去0.00003%。」
「だが、現れた」
仮面の目が、光を帯びる。
「我らの次なる来訪は——“最終審判”である」
そして、アズ=ラグは空間の裂け目へと戻ろうとする。
その背中に、俺は問う。
「……なあ、それでも俺が進み続けたら、どうなる?
仮面は立ち止まり、振り向かずに答える。
「お前が歩く先にあるのは、神々の殺意と世界の崩壊だ」
「だが、その全てを錬金できるなら——」
「我らも一度くらい、期待してやってもいい」
そして、アズ=ラグは消えた。
「……やっと、消えたな」
隣でゼノが深く息をついた。
戦闘時の殺気はもうない。
「お前の勝ちだ。俺はもう、戦う理由を見失った」
「じゃあ、もう俺を討伐しに来るなよ?」
ゼノはうなずき、ふっと笑った。
「……けどな。もし、今後お前が”本当に神を超えた”その時は——」
「今度は俺の方から、仲間にしてくれ」
俺も、笑った。
「その時は、よろしくな。元・ギルド最強」
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