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#3討伐からの腹蹴り

何これ何これ!!

私の目はたった今出てきた自分の分身的な何かに釘付けになっていた。しかも、今、我が手には愛用のコントローラーが確かにある。

試しに少し動かしてみれば、私の分身は思った通りの動きをする。

「うわぁお!なるほど、私は【ゲームにする魔法】ってわけね!!」

蜘蛛はビビっているようで、数歩後ろに下がった。ごめんよ、蜘蛛。お前が人に手を出さないなら逃がしてやってもいいんだが、そうゆう訳にはいかないんだろう?

「よっし。いっちょやったりますか。騎士っぽい人、剣借りんね!」

騎士っぽい人の一人が抵抗しようとして、あっさり剣を引き抜かれる。

その勢いのまま、分身は大きく飛び上がり、蜘蛛の足の一本を切り落とす。


大抵こういう多足系のボスは、足をちょん切ってちょん切って、ちょん切りまくって最後に顔面にとどめ、がセオリーだよなぁ!


私はその直感を信じて、蜘蛛の足をちょん切っていく。硬そうな殻の部分をスルーして関節部を狙う。案外簡単なクエストのようで安心だ。私本体の身体能力じゃなくて良かった。もしそうだったら、ソッコーでやられてた。


「これでクリアかなっ!」


最後に脳天を一突きしてとどめをさす。

辺りに散らばる紫色の血はこちらにまで飛んでくる。返り血に染まった私はさながら悪役の魔女のようだ。ふふふ、厨二病患者の私としては、それも悪くない、というところ。

コントローラーから手を離せば、分身もコントローラーも消えた。これってやっぱり魔法なんだろうか。異世界来てまでゲームとは、、救いようのないヲタクとは私のような生き物のことを言うのだろう。

「もう大丈夫っす。怪我とかの手当て、した方がいいと思います」

くるりと振り返って騎士っぽい人たちの方を向くと、なぜか彼らは固まって、私に目線を集中させている。何か不味いことをしただろうか?もしかして、この蜘蛛、大事な存在だったりしたのだろうか???だとしたらかなりやばいことを…。

「あ、すんません。何かやばいことをやって_」


「@○☆*#%$>^々$#「「*€×¥゜!!!!」


「ぇ?」

騎士団長っぽい人の号令で、騎士っぽい人たちが一斉にこちらに飛びかかってきた。ものの数秒で私は後ろ手で拘束かつ謎の首輪を嵌められた。

え?やっぱ不味いことしたんだろうか。やっちまった…。これ投獄か?異世界来て早々投獄ルートか?!

視界の端で、一緒に洞窟にいた騎士っぽい人たちがあわあわしているのが見えた。

「☆○〆〒$#^・?」

「はい?すんません、ほんとに何言ってんのか、理解できないんすけど…!」

「☆€+##+$#○→・+$☆!!!」

騎士団長っぽい人は、私に大声で怒鳴って、腹を結構強めに蹴ってきた。

「あぐっ…!!!」

絶対に内臓破れたとか思いつつ、私の意識は真っ暗に沈んでいった。


一一一一一一一一一一一一一一


これで、良かったのだろうか。

私はそうとは思えない。

デス・スパイダーの討伐依頼を受け、森へ向かった私たち王国騎士団を助けてくれた少女。

彼女は魔族の疑いをかけられて投獄されてしまった。確かに、彼女の髪は黒だったし、すごく邪魔そうな長い前髪から覗く目つきは最悪だったし、私たちの言語は通じていない様子だった。

魔王の一族は黒髪で、魔族は人間の言葉を理解出来ない。

その条件に、彼女は当てはまっていたが………こちらに害意があるようには到底思えない。そもそも魔族ならばデス・スパイダーをわざわざ倒したりしないはずだ。このままいけば、彼女は投獄の後拷問にかけられて、用済みになれば処刑になる。


まだ礼も言っていない。

彼女は無事でいてほしいものだ。

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