04.最初の開発・前編
生後2年。
複合属性魔法をすべて覚え、今は魔道具に手を付けている。
今回も考えているものを2つ…見方によっては7つ作る。
まず魔力で動くパソコン、これは前世のパソコンをそのまま魔道具にするだけだから楽だった。
次に、そのパソコンで魔法を作れるソフトとかを作り、その魔法を刻める魔法メモリー、ソフトの方はまだいいが、魔法メモリーの方はこの世界の知識しか使えなかったため若干四苦八苦しながら作成。
次にその魔法メモリーに刻まれた魔法を発動できる銃型のデバイスとソフトで作った魔法を魔法メモリーに書き込む装置を作成、こっちは魔法メモリーよりは楽だった。
最後にマガジン型の魔力電池と魔力充填装置作成、こっちはこの世界に最初から魔力電池と充填装置があるため一番楽だった。
それらを創造魔法で材料を作った後、結構前…彼岸桜作成よりも前に気付いていた、【魔力支配】で物体のオドを操るとその形に物体が変形する、という性質を利用して形状を整え、魔道具化した。
魔法作成ソフトはまず属性を基本の六属性から選択、その次に発動形態を射出、地点選択、対象選択から選択、そこから具体的な内容を決める感じだ。
魔法デバイスは取り敢えず5個、魔法メモリーは25個、マガジンも25個作成した。
早速魔法を作成する。
属性は水、形態は射出、形状は球状、サイズは10cm、形状維持は最低の1、術式強度1、重力影響はデフォルト…通常通りの10、スピードはボールを投げるぐらいの5、回転とかはなしの、分かりやすくて安全な内容の魔法を作成、マガジンに魔力を充填しながら魔法メモリーに書き込み開始。
書き込みが終わったら魔法メモリーをデバイスに装填、マガジンも充填量を確認し装填。
外見は…真っ白な拳銃っぽい何か。
動くかさえ確認できればいいプロトタイプなため飾りもほとんどないし、物体ではなく魔法を発動して打ち出すため銃口の穴もない。
魔法メモリーは本来なら銃口がある面を除いた銃身からハンマーがある場所までで、グリップがある方向から差し込む形だ。
マガジンは本来の銃と同じ装填方法と形状、まあ白いけど。
では、早速庭に行って試し打ちに行く。
パソコンと魔法メモリーに書き込む装置、マガジン充填装置、残りの魔法デバイスと魔法メモリー、マガジンを空間魔法で収納、デバイス一式を1セット持って庭に出たら適当にそこそこ遠くの地面にデバイスを向けて、トリガーを引く。
「お」
よし、ちゃんと予想通りに水が、球状で、発射され、ボールを投げたぐらいの速度で、放物線を描き、銃弾のように回転もせず、地面に触れたら形が崩れたな。
今度はちょっと上に向けて撃つと…よし、大体予想通りの距離で魔力に戻ったな。
「おにぃ~?」
「お?」
続けて何度か試し打ちしていると、後ろからアイリスの声が聞こえる。
「なにしてるの~?」
「新しい魔道具の試射…実験だよ」
「まどーぐ?」
ふむ…そうだ。
「アイリス、パパとママ、エリサをここに呼んでくれる?」
「わかった!」
その間に、創造魔法で机を作成、その上に空間魔法に収納したパソコンと魔法デバイス関係一式を置く。
追加でいくつか安全な魔法を作って書き込んでいると、集まったようだ。
「来たぞー…それは?」
では、まずパソコンの説明から。
魔法作成ソフトと同時に作っていたソフトを使いながら説明する。
ただこの世界にあるパソコンはこれ一台なのでネットワークとかは存在しないし、カメラもないため画像編集とかもできない。
そのためあるのソフトは、Excelみたいな表計算ソフトとこの世界にあるボードゲームをいくつか、ぐらいだ。
まあそれでも有用性には気づいてくれたみたいだが。
という訳でこの後両親に一台ずつ作って渡すことになった。
「で、こっちが…」
次に魔法デバイスの説明。
これの利点はまあ何より魔法が使えない人でも使えることと、魔法が自由に設定できることだろうな。
という訳で、早速アイリスと、アイリスと同じく魔法が使えない母さんに使ってもらう。
「おー!」
「まあ…これが魔法なのね~」
うん、実際使えると感動するよな。
「あと、今のは安全に考慮して威力を最小限に抑えてるけど、最大だと…」
安全を考慮せず、今の魔法メモリーの容量限界の魔法を込めた魔法メモリーを装填、その状態でトリガーを引くと、銃口…穴はないが、魔法発動の基準点となる面から魔法を発動すると出現する魔法陣が出現、色は今回使う属性魔力の色である赤でサイズは直径約43cm。
そこから直径約30cmの火球が出現、それが結構な…弓矢ぐらいの速度で飛んでいき、重力の影響をほとんど受けず飛んでいき、着弾点に炎をまき散らす。
うん、爆発とかはしない
爆発させるには灼熱…つまり複合属性が必要で、それを魔法メモリーに刻むには容量が足りない。
これを解決させるには…魔法メモリーの容量拡張、もしくは刻む内容を圧縮する必要があるだろう。
正直防犯目的で相手を麻痺させられる雷属性ぐらいは刻めるようにしたいんだがな…
「とまあ、現状はこんな感じ、容量の問題で六属性以外は無理だね」
そう言いながら炎の周りに風魔法を発動、真空状態にして消化して解除したら念のためしけった土を創造魔法で作り掛けておく。
真空状態で窒息消火、水分で熱を奪う冷却消火、土で再度窒息消火、これで大丈夫だろ。
「取り敢えず、みんな使ってみて感想をお願い」
机から魔法デバイス一式をそれぞれに渡す。
「あと、魔法作成するやつは今は安全のためいくつか制限掛けてあるから」
解除するにはパスワードを入力する必要がある。
こういう時は【記憶支配】がめっちゃありがたい、パスワード忘れることがないし。
ちなみに、制限の内容は火と土の選択不可、魔法生成物の大きさの制限、速度の制限、形状維持の制限である。
これなら燃えたり頭打ったり、水でおぼれたりぶつけられたり、ウォーターカッターはまだスペック的に無理にしても、ダメージを受けることはないだろう。
という訳で私も試射しながら家族とエリサに撃ってもらう。
母さんとアイリスは普段使えない魔法にテンションが上がっている。
父さんは六属性全部…どころか、複合属性の魔法も空間と創造、消滅以外は使えるため普通に試射している。
エリサは…
「もしかして、昔にも似たようなのあった?」
ここでいう昔とは、未曾有の大災害、天災の前にあった文明たちである。
天災は今まで計3回あり、そのたびに地上は死の大地と化した。
それ以前の文明の情報については文献もほとんど消滅し、アーク種の様な生き証人から得るしかない。
「ん、幻精歴に、あの板はなかったし再設定もできなかった」
「ほっほぅ」
天災で区切られた文明は古いものから順に、生命の季節、神聖歴、幻精歴、人界歴となっている。
生命の季節は約80万年、神聖歴は約30万年、幻精歴は約40万年続き、今は人界歴1023年である。
生命の季節と神聖歴はまだ神がこの世界に存在し、全てが魔力に満ちた世界であったそうだが、二度目の天災で神はこの世界から去り、魔力が減少…結果魔法を使える者が減り、その結果この銃の様な魔法が使えない者が魔法を使うための物が誕生したのだろう。
「ただ、威力限界はもっと高かった」
「それは、まあ…今後に期待ということで」
この辺は複合属性魔法と同じだな。
容量の増加か内容の圧縮、そのどれかでも出来れば威力は増すはずだ。
ちなみに、答えは聞かない。
魔道具の設計を考えるのって結構楽しいからな…まあゲームみたいに【記憶管理】で必要な知識を引っ張って来て、それを組み合わせる方式だからかもしれないが。
というか、前提としてアーク種は現行文明の発明に大きく口を出さない、と表明している。
これは前世で言うところの核技術などと同じく、使い方を誤れば危険際なりないものが広まらないようにというのと、現行種繁栄の原則という考えに基づいている。
現行種繁栄の原則とは、簡単に言えば時代はその時を生きる生物によって栄えるべきである、というものだ。
ただまあ治療薬とかそういう人命救助に必要な技術はアーク種から伝授される、回復魔法とかないからな…魔術はあるけど。
魔法は一定以上のオド量があれば誰でも使えるが、魔術は魔法の練度が一定以上じゃないと使えない。
使えるようになるには人間であれば大体60~70年の研鑽が必要、私…は人間だが、聖霊だと3~5年で使えるようになる。
…うん、改めて理不尽な差だな。
魔法関係のスペックで知性ある種族はそれぞれ、妖精>エルフ>淫魔>魔法に適性のある種類の獣人>小人≧人類>ドワーフ>魔法に適性のない種類の獣人≧巨人、の順になっている。
ついでに身体能力は、巨人>力の強い種類の獣人>ドワーフ>力が弱い種類の獣人>人類>淫魔>エルフ>小人>妖精、となる。
私は魔法が妖精種の聖霊並、身体能力が小人並みになっている。
妖精の身体能力は、魔法か魔術を使わなければ物理的に干渉できないため、そもそも身体能力で物理的スペックを図るのが間違っているが。
と、大体終わったかな。
進むペース早すぎるかなぁ…
誤字修正
2024/03/08
魔法関係能スペックで知性ある種族はそれぞれ、妖精>エルフ>淫魔>魔法に適性のある種類の獣人>小人≧人類>ドワーフ>魔法に適性のない種類の獣人≧巨人、の順になっている。
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魔法関係のスペックで知性ある種族はそれぞれ、妖精>エルフ>淫魔>魔法に適性のある種類の獣人>小人≧人類>ドワーフ>魔法に適性のない種類の獣人≧巨人、の順になっている。