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原初の魔人  作者: 彼岸花
第2章 魔道具販売
32/40

32.エピローグ

 ちょっと短め。

 主人公以外の視点あり。

 私の発明品、パソコンとタブレット、スマホ等の情報端末。

 そして魔法デバイスの発売が開始された。


 それと同時にネットワークの構築工事もエルカールメニア王国とその友好国で開始され、僅か一週間で全域を覆った。

 土と創造の混成魔法で風化の魔素で消えない塔を建て、そこに魔道具を取り付けるだけだから早かったし、一本で大体都市の5倍の範囲を覆えるからな…数も少なく済んだようだ。


 そして、それに伴い私の存在が世間に広まった。

 パソコンや魔法デバイスの発明者、そして…魔王を救出した次の魔王、世界中の魔物の被害を減らした英雄、そして神殺しとして。

 予想通り魔王関係も合わせて公表された。


 普通ならこんな子供がそんなことをした、と言われても信じられなさそうだが…私の聖霊級の実力、二つの異能、免許と魔道具関連の実績が合わさり、多くの者に信じてもらえたようだ。

 無論、全員とはいかないが…まあ当然だよな。


 そして今の私は…直近のやることタスクが完了したため、部屋で邪神の力の解析に注力していた。

 アリスに送る歯車機構はまだ時間あるし、早くてもこれが終わった後で。

 後もうちょっとで終わりそうなんだよね…早く魔術使ってみたいし。

 そうだな…三日間ぐらいあれば終わるかな。











 ~アンドリュー・フォン・インサニティside~


「はっ、はっ…はぁっ、ぁぁぁ…」


 家の庭に張られた結界の中で、俺は痛む頭を押さえることもできずに、倒れ伏す。

 それを見ていたエリサの回復魔術を受け、気合で再び立ち上がり、魔法の研鑽を再開する。

 それを、エリサは理解できないものを見るような顔で眺めている。


「…理解、出来ないか」

「…ん、理解不能」


 だろうな。

 目を閉じ、思い出す。


 俺がエリサに魔法の師事を頼んだ時言われた言葉を。


『…アンドリューがリコリスに追いつくことは不可能…追いすがることも、また。

 差は開くのみ』


 ああ、分かっている。

 あの子は聖霊級の実力と成長速度を持っている。

 それに対し俺はただの人間、異能すら持たない。

 海と水たまりという表現すら生ぬるい、竜種が如き絶対的な差がそこに横たわっている。


 それでも…ああ、それでもだ。


「『それでも、俺はあいつの親だ、諦めることは出来ん』!」











 ~ニーナ・フォン・インサニティside~


 ズザァァ…


「はぁ、はぁ…」


 結界の張られた我が家の庭で、私は投げ飛ばされ、立ち上がろうとしている。

 それを私に指示してくれている獣人の方が、真剣な眼差しで見つめている。


 高位獣人(ハイ・ビースト)。

 獣人種の高位種、絶対的な身体能力を有し、ただの人間では武術では逆立ちしても勝てない。

 私はエリサが紹介してくれた彼女から、武術の指南を受けていた。


 私と夫に戦場に出る気はない。

 これはあの子たちのため。


 私に魔法の才能はない、リコリスは夫に任せる。

 私はアイリスのために、こうして鍛えている。


 …いえ、違うわね。

 これはただの我儘、自己満足のための行為。

 あの子は、高位獣人(ハイ・ビースト)が魔法かオーラで《身体強化》した時並みの力を持ってる。

 成長速度も常人のそれじゃない、私が追いつくことは出来ない。


 でも…ええ、それでも。


「諦めることは、出来ない…!」

 











 ~ムーンside~


 それに、最初はまともな意思などなかった。

 あるのはただ、訳の分からない同族以外への殺意のみ。

 その衝動に従い、生まれて最初に目に入った、小さく脆弱そうな生き物を殺そうとした。


 その時、自らの中に何かが入ってきた。

 それは温かく…は、さほどなかった。

 かと言って冷たくもなかった。


 まさに中間、温かさと冷たさが同居しているような何か。

 それでも、冷え切った殺意に塗れた身には興味を惹かれた。

 そして…それは、あり方を変えられた。


 同族以外への殺意を好意へ。

 自らを生み出した…母へ親愛を。


 それは分かっていた。

 自らと母を繋ぐ魔力的パスから伝わる感情を。

 母は…全てに何かを隠している、壁を作っている。

 あの強き耳が長い者(エリサ)にさえも。


 それは、母に寄り添うため、頼られるため、自らを作り替える。

 全ては親愛なる母の為に。

 かくして、それは目覚める。


 親愛なる母のため、月を冠する狼はその目を、存在を開放する。

 殺意から反転し希望に塗れ、母から月を追う狼の影響を色濃く受けた者。

 その名は…イタフ(itaH)。


 月を追う狼の名、憎しみを意味する言葉である。

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