21.武器と銀のカギ
さて、王族に献上する魔法デバイスは出来上がった。
後は登城許可が下りるのを待つだけだ。
とは言っても、この世界にはテレポートの魔道具があるし、問題が発生しなければ時間は掛からないはずだ。
その間に、処理しておきたいことがある。
魔法デバイスの外装用に採ったボーンドラゴンの骨、魔物が大きかったこともあり、それらがまだ大量に余っているのだ。
それを使用し、武器を作成しようと思う。
私は先天性能力偏向症のせいで、武器を自分の腕で筋肉を使い振ろうとすると、空ぶったりしてろくに使えない。
そのため、武器の使用手順に魔力を絡める必要がある。
そこで最初に思い付いたのが蛇腹剣、ワイヤー部分をオド操作で操作すれば使える…と思ったが、ワイヤーの伸縮機構をどうするか、で断念。
土魔法で作ったものをワイヤーにして、伸びるときは魔法で、縮むときは風化の魔素で、とか考えたが、そもそも今回は骨だけで作りたいと考えているため、却下。
そこまで考えて思った。
「別に形なくてもいいんじゃ…」
それで完成したのが、目の前の鉄粉の山だ。
今回は試作品ってことで創造魔法で作った物で試す。
その鉄粉だけをオド操作で剣の形に集める。
ただその範囲だけを支配して集めるのでは、間にある空気も集めてしまう、そのため鉄粉だけを…
「…粉にする必要ある?」
変幻自在、てことで粉を採用したが…今考えれば、【高次エネルギー支配】を持つ私にとって、どんな状態であろうが、基本変幻自在だ。
先ほども言ったように、粉にすると間にある空気を考慮しなければならない。
ならば、私にとって最適な形は…
「こうか」
携帯可能なただの塊にすること。
余った白い骨と黒い骨全てを使用し、バングル二個とアンクレット二個を作成した。
アンクレット…足首にも着けたのは、もし蹴り技を使用する状況になった場合、素早く刃物に整形して相手を刺せるようにだ。
ちなみに、余った骨を全て使用しているため、一つの重さが普通の人が《身体強化》してやっと、持ち上げられる重さになっている。
さすがに落としたら床が抜ける、なんていうことはないが、床板が歪まないよう、普段は空間魔法で重量を軽減している。
「さて…どうしよ」
武器が完成したところで、私は部屋の隅に目を向ける。
そこには試作品が二つ転がっている。
一つ、最初に思い付いた土魔法と風化の魔素を利用した私にしか使えない蛇腹剣。
二つ、変幻自在の武器を作ろうとした鉄粉の山。
蛇腹剣は…たまに使うサブ武器にするか。
空間魔法で収納。
「さて…」
鉄粉は…いっそ溶かして別の何かにするか。
【高次エネルギー支配】では物と物の融合が出来ないんだよな…地味に面倒だ。
灼熱の魔法で溶かしたら【高次エネルギー支配】でインゴット五個に整形する。
「さて…」
何にしよう…いいや、空間魔法にしまっておこう。
んじゃ、やること終わったし…
コンコン
「ん? はい」
部屋がノックされたのでオド操作でドアを開く。
入ってきたのは…
「エリサ、どうした?」
魔力から分かっていたが、エリサだ。
エリサは基本私の部屋には入ってこない。
基本自室にいて、ご飯や私との模擬戦とか用事がない限りは出てこない。
「…あげる物がある」
「あげる物?」
エリサは私が付けてるバングルとアンクレットを一瞥してから、何かを取り出した。
それは…大きめの銀色のカギだ。
鍵としては両側にギザギザが付いているタイプ、ディスクタンブラー錠とかロータリーディスクタンブラー錠みたいなやつ。
「それは?」
「鍵」
いやそれは見ればわかる。
鍵を受け取り、魔力で正体を調べる。
「! なるほど…いや、ありがとう、助かる」
これは確かに、鍵だ。
これは私が以前行った…というか、実質的な主になっている…魔界へと通じる門を開くカギだ。
世界間移動は空間魔法でも可能なのだが、今の私の魔力感知範囲と魔力量では不可能、そのため魔界に行きたいのならエリサや『天眼』など、それが可能な者に頼むしかなかったのだが…これがあれば単独で行ける。
あそこなら周囲の影響を気にせず、大規模な魔法とかも試せる。
既にいくつか想定される威力が大きすぎて試せない魔法いくつかあるからな…自分の手札は確認しておくべきだ。
「…使い方は、分かる?」
「ああ」
魔力を流しながら剣ほどはありそうな鍵を空間に差し込み、捻る。
そうするとバリバリと音を立てながら空間が横に裂けて、魔界と繋がる。
「ん…それはリコリスに上げる」
「ありがとう」
これからは魔法の試運転は魔界で、だな。




