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原初の魔人  作者: 彼岸花
第1章 転生と魔王
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01.転生と現状把握

今まで趣味で小説を書いていたのですが、初めての投稿です、温かい目で見守っていてください。

 転生した。

 唐突過ぎると言われるだろうが…記憶が変なことになっているのだ。

 私には日本人男性として、24年間生き、死んだ記憶がある…なのに、私は思い出そうとすれば知らないはずの記憶を思い出せる。

 それは他人の記憶や思い、それを何故か私は自由に想起できる。


 なんでそんなことになったのかは分からない…が、予想は立てられる。

 私が想起出来るものは人が見聞きし、思ったことばかり、動植物の記憶や思い、人が見たことのない目視での宇宙の果ても想起は出来ない。

 このことから、私は全人類の記憶が保管されている場所…集合記憶とでもいうべきものと接続しているのではないか、と仮説を立てた。


 こんな荒唐無稽な仮説を立てたのは…この世界に魔法があるからだ。

 人々は魔力を保有し、火を、水を、土を、風を、あらゆるものを操ることが出来る。

 そんな世界に来たなら、人間の集合記憶への接続も可能なのではないか、と思ったのだ。

 まあ私の場合は異世界の人間の集合記憶なわけだが。


 私が転生したのは貴族の双子の片割れ。

 リコリス・フォン・インサニティ、それが私の名、生後1か月と5日の男児である。

 赤い髪に金色の瞳を持つ。


 もう一人、私の片割れはアイリス・フォン・インサニティ、女児である。

 こちらは白い髪に青い瞳を持つ。

 双子で性別と容姿が違うことから私とアイリスは二卵性双生児だ。


 母はニーナ・フォン・インサニティ、白い髪に金色の瞳を持つ。

 父はアンドリュー・フォン・インサニティ、赤い髪に青い瞳を持つ。


 生後一か月で、生まれてからどれぐらい経ったかや、異世界の言語が理解できるのか? というのは、インサニティ家と私個人の特性が関わっていると思われる。

 インサニティ、これは狂気を意味する言葉で、その名を冠するインサニティ家は代々精神系魔術を得意とする。


 そして、私は異世界の集合記憶へアクセスしている…これが合わさった結果か、私は自分含め周囲の人間の記憶や思いを読み見ることが出来る。

 それも本人が忘れていたような記憶すらも読み取ることが出来る…つまり、私は自分の記憶を見れば物事を忘れることはない、ということだ。


 この力を利用しこの世界の言語、知識を早々に習得した。

 のだが…


「・・・」


 暇だ。

 いやまあ魔力操作とかそういう魔法の練習は赤ん坊の体でも出来るんだが…


 あ、ちなみに本来人間…というか生物は魔力を感じ取れても空気中の魔力…マナを操ることは出来ない、手で触れずにモノを動かすようなものだからな。

 逆に言えば体内の魔力…オドを操ることは出来る、これを使用して生き物は魔法を行使する…のだが、どういう訳か私はオドはもちろん、マナも、果てには他人のオドまで操れる。

 それの影響か私は普通の人よりもはるかに高性能な魔力感知が出来る。


 それと、他人のオドを見た時知ったのだが、どうやら私の魔力量は並外れている…どころか、数千倍はありそうだった。

 逆に私の妹…アイリスはオドが屋敷の中で一番少なかった。

 普通は年齢と共にオドの量は上昇していくのだが、それにしても少なすぎるようだ。


 これは双子で極稀にある事例で、私たちの場合は片方が身体能力が弱い代わりに魔法関係に優れ、もう片方が魔法関係が弱い代わりに優れた身体能力を有するようだ。

 そして私とアイリスの魔力量を考えるに…私は立てず、空のコップすら持てるか否か、五感も視覚で言えば常にすりガラスを通しているかのような状態になるというレベル、だから《身体強化》の習得必須、逆に魔法関係は現時点で妖精種の中で下から3番目、上から2番目の聖霊並みのオド量、魔法関係の才覚を得る。

 アイリスは魔法が一切使えず、魔力感知も出来ないだろう、逆に身体能力に優れた獅子の獣人が《身体強化》をした時並みの身体能力と、各分野に優れた獣人…ダチョウの獣人の視力と、ウサギの獣人の聴覚など、それらを《身体強化》した時並みの五感を持つ。


 話を戻して…マナと他人のオドを操れる…【マナ操作】と呼んでいる力の原因に関しては、皆目見当もつかない、記憶を見た感じ少なくとも屋敷内の人間は聞いたこともないようだ。

 だが、生き物には稀に異能と呼ばれる特異体質を持った存在が生まれることがある、私の【マナ操作】もその類ではないかと思われる。

 異能は、例えば上空から見下ろす俯瞰視点が通常の視界と別に見える【鷹の眼】や、魔力の中に含まれる、大いなる魔素と呼ばれる物の一つ、強化の魔素が特別多く見た目以上の力を有する【強化体質】など、様々なものがある。

 持って生まれる確率は10万分の1と非常に珍しいが。


 大いなる魔素とは、魔力に含まれる特定の効果を持った成分の様な物。

 現在四つ確認されており、それぞれ、耐性のないものを魔力へ還元する風化の魔素、魔物の発生原因となっている魔物の魔素、身体能力や剣の切れ味や強度など様々なものを強化できる強化の魔素、細胞の活動などを活発化させる活性化の魔素がある。

 例えば魔法の一種である《身体強化》はオドに含まれる強化の魔素の影響を表出させる、または活性化の魔素で活発にさせる、などして身体能力を強化する魔法だ。


 以上が、私が持つ転生特典の様な物だ。

 並外れた魔法の才能とマナと他人のオドの操作、そして前世の過去、死んだまでの生きとし生ける人類の記憶と認識した人の記憶の閲覧。

 魔法がある世界に転生した以上、魔法使ってみたいからな、魔法の才能はうれしい…【マナ操作】はまだどう使うか分からないけど。


 さて、話を戻そう。

 オドと部屋のマナをかき混ぜながらベビーベッドの上でぼーっとする。

 あ、ちなみに屋敷の人間はもう私の【マナ操作】については知ってる、今も多分各々私が部屋のマナをかき混ぜてるのを魔力感知で知ってるはずだ。


 そんなことをしていると、部屋の前で母親と初見の魔力反応が止まった。

 誰だろ…取り敢えずわかるのは、桁外れな実力を持つ魔法使いである、ということだな。

 オドの流れがきれい過ぎるし、周囲にいつ使うんだってレベルの防御魔法が張られている、多分空間や時間、因果に関する攻撃も防御されるような代物だ。


「ここよ~」


 入ってきた…が、赤ん坊の目では当然見えない。

 そのため母親の記憶を通して見る。

 一瞬でも経過すればそれは記憶となり、私が見ることが出来る。


 さて、いるのは…エルフ! それも母親の記憶にたびたび登場した始まりのエルフの一人じゃん!

 この世界には人間以外にもエルフやドワーフ、獣人と言った種族も存在していて、そういった人間以外の知性ある種族はこの世界を創造した神が人間を基に作り上げた。

 その神が直接作り上げた種族は大体種族名にアークが付く…エルフならアークエルフだな。


 この世界に存在する知性ある種族は8種。

 人類、エルフ、ドワーフ、獣人、小人、巨人、淫魔、妖精。

 淫魔は女性がサキュバス、男性がインキュバスと呼ばれる。

 妖精は妖精や精霊、聖霊が一緒になった生物学的分類の妖精族から来ていて、アーク種は聖霊王である。


 神話によれば人間は最初に自然発生し、その次に世界の管理のために聖霊王が生まれ、最後に人間をモデルにエルフ、ドワーフ、獣人、小人、巨人、淫魔が生まれた。

 人間は多分地球と同じ形式、聖霊王はこの星に満ちる生物と自然、魔力の管理のため。


 つまり、母親と来たエルフは正確にはアークエルフである。

 アークエルフは他のアーク種と同時期、約150万年前に6人が神によって作られ、現在は2人が生存している。

 その2人のアークエルフには二つ名がついており、『天眼』『万能』と呼ばれる。

 そして今この部屋にいるのは『万能』、ほぼ全ての分野において他のアークエルフと比べると劣るとはいえ、一般標準を遥かに凌駕する性能を持つ。


「…確かに、マナを直接操ってる」


 ちなみに、普通の生き物でもマナを動かすだけなら可能だ。

 体からオドを噴出させることで風にあおられる粉末の様に動かすことが可能…と言っても水風船に穴をあけて水を出すような状態のため数秒しか持たないし自由度もないが。

 対して私の周囲ではそれでは明らかに不可能なマナの挙動をしているからな、だからマナを直接操ってる、と言ったのだろう。


「それと、記憶に干渉されてる」


 え、まだ私見ようとしてないんだが…あ、いや…私は認識していればタイムラグなしで自由に記憶を見れる、それはつまり対象との記憶領域が何時でも閲覧できるように何らかの形で接続されているということ…それが反応してるのか?


「あら、そうなの?」

「ん、【マナ操作】以外に記憶に関連した異能を持っているとみる」


 記憶関連の異能か…私が知ってる…つまり屋敷にいる人たちと私が生まれてからの一か月間で来た人たちの記憶にある限りでは、自身を他者の記憶に残りずらくする【記録希薄】、逆に印象強くしたりする【君臨する者】、記憶を創作する【記憶捏造】、記憶を消し去る【忘却】、忘れたり記憶喪失とかで思い出せなくなった記憶を復元する【記憶想起】、接触者の記憶を見る【記憶閲覧】がある。

 ちなみに、【記録希薄】と【君臨する者】は常時発動タイプで、【記憶捏造】と【忘却】、【記憶想起】、【記憶閲覧】が意図して発動する必要があるタイプ。

 【記憶閲覧】は【記憶捏造】と【忘却】、【記憶想起】に似たような力があるが、【記憶閲覧】単体の方が精度が高い。


「複合系…強い【記憶閲覧】と【記憶想起】に近い力、対象の忘れた記憶も見ることが可能」


 そこまでわかるんか…今影響下にあるからか?

 あ、それじゃあオドを操ろうとすれば…あれ、普通に出来た…いやまあ普通他人のオドなんて操れないし、そういう防御魔法を組むこともないのか…?

 ただ…


「ん…」


 気付きはしたようだ。

 というか…オドの量すっげ、私が水たまりなら海ぐらいあるぞ…これが魔法に優れた種族のアーク種か…一番魔法に優れた種族は妖精種だがな。

 妖精種は体が魔力で出来ているため魔法関係の才覚はずば抜けている…逆に物理的に干渉するには魔法を使わなければならないが。


「…オドの制御権に割り込みがかけられた、恐らく…【魔力支配】の力」


 【魔力支配】…うん、そっちの方がしっくりくるな、私も今後はそう呼ぼう。

 オドも操れるのに【マナ操作】ってのも違和感があったからな。

 ちなみに今はまだオドを操っていない、言うなればただ手に触れただけで力を入れていない状態だ。


 アークエルフの『万能』は今日はそれで帰っていった。

 それ以降ちょくちょく見に来たが…大方前代未聞である【魔力支配】と、【記憶管理】と名付けられたこの力が気になるのだろう。


 それと、生後6か月ぐらいで喋れるようになった、どうやらこの世界では活性化の魔素の影響で全体的に成長が早いようで、赤ん坊は早くて8か月、遅くて1年で喋れるようになる。

 これは魔力量、つまり保有している活性化の魔素の量によって時期が前後し、人並外れたオドを持つ私は早かったのだ。

 逆に1年で喋れるようになるのは、アイリスの様に魔力をほとんど持たず、マナと極僅かなオドの活性化の魔素の影響しか受けなかった者達だ。


 ちなみに、歩くのはやはり《身体強化》しないと不可能だし、私の魔力量だとかなり初期からできたため参考にはならない。

 喋り始めるのと同じ理由でこの世界では元の世界より早く、7か8か月前後で歩けるようになる。


 そして、アークエルフの訪問から11か月、つまり私が1歳になった頃…

次回は一週間後の夜中ぐらいを予定しています。


上記訂正、書き溜めがあるのでしばらくは毎日投稿が出来ると思います。

次回は今日(2/29)の12時に投稿予定です。

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