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転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど!?  作者: 水月華
第3章

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わたくしが原因なのは認めます


 メアリー様の手を取って、にっこり笑う。けれどまだ戸惑いが強いのだろう。視線を彷徨わせている。

 ここは一旦別方向から攻めてみようかしら。


「それでも気になるのでしたら、わたくしにだけ見せるのもアリではありません?」

「ヘンリエッタ様だけに……」

「ええ、見ての通りメアリー様のことを知ってもこうして、一緒にいるではありませんか。わたくしはこの程度で離れていきませんわ」

「ヘンリエッタ様ぁ……ありがとうございますぅ」


 メアリー様を抱きしめる。ピンクのストレート髪をそっと撫でた。

 きっと前世で、何かあったのでしょうね。本人が話さないのであれば、聞きませんわ。

 だって今の彼女は、メアリー・キャンベルなのですから。

 そして皆のところへ戻る。


「戻りましたわ。そろそろ再開いたしますか?」

「そうだね。メアリー嬢、出来そうかい?」

「はい! 先ほど参加できなかった分、頑張ります!」


 殿下の言葉に、力強く返事をするメアリー様。元気になって良かった。


「途中からはヘンリエッタ様が原因ですので、仕方ありませんわ。この後ヘンリエッタ様が魅せてくれることでしょう」


 パトリシア様が若干ジト目で、こちらに圧をかけてくる。

 事実なので反抗はしない。


「そうですわね。魅せられるかは置いといて、最大限努力させていただきますわ。……なのでダニエル様、そんなに警戒しないでくださいまし」

「……無理です」


 ダニエル様に完全に警戒されてしまった。そんなところも猫。

 そんなダニエル様に、トミーが声をかけている。


「早く慣れた方が身のためですよ。姉上は予測不可能なことばかりするので、逃げようとしても無駄です」

「……弟として、なんとか止めてくれないだろうか」

「それができるのなら、そもそもとっくに僕のものにしてますから」


 トミー、それわたくしに対して失礼でしてよ。でも前向きに考えるのなら、それでトミーに捕まらなくて済んでいるのか。

 なんかごめん、トミー。

 ……そういえば、トミーの軟派な男設定はどこに行ったのだろう。もはや見る影もない。

 根が真面目だから、難しそうね。どちらかというとシスコンでもう確立しているし。

 練習が再開され、その後は何事もなく終わった。


◇◇◇


「それでは、今日はここまでにしよう。メアリー嬢、よく集中できていたね」

「あリがとうございます。殿下の教え方がすごくお上手で、分かりやすかったです。部屋でも復習します」

「いい心がけだ。けれど無理はしないように」


 この時間で、殿下とメアリー様は大分壁が薄くなったようだ。

 それより殿下の声かけが完全にできる上司のそれだ。何度もいうけれど、15歳でこれって……。将来は安泰ですな。


「それでは明日もよろしくお願いします。皆さんは馬車ですよね。私は寮なのでここで失礼します」


 メアリー様、お1人で帰るつもりでしょうか。少し暗くなり始めていますし、よくありませんわ


「そろそろ暗くなっているし、送っていこう。学園は安全とはいえ、ご令嬢が1人で歩くのは良くない」


 殿下、さすがですわ。紳士です。


「そんな……私は大丈夫です。お手を煩わせるわけには」

「メアリー様、こういう風に言うのも申し訳ありませんが、生徒も全員味方ではありませんわ。ここは素直に送られた方がよろしいと思います」

「ヘンリエッタ様……」


 ついこの間まで、虐められていたメアリー様。わたくしが何を言いたいのか理解したようだ。

 今は主にわたくしとパトリシア様が、壁となっているので明確なものは鳴りを潜めている。

 けれど殿下が送っていくとなると、もう一つ問題がある。


「しかし、殿下が1人のご令嬢と2人きりとなれば、そちらも良くない噂が立ちますわね。ここはダニエル様にも付き添っていただいては?」

「無理です! それこそ変な噂になります」


 パトリシア様の提案に、メアリー様はブンブンと首を振る。

 確かに、それもあるか。ならば。


「では皆で行きましょう。それなら良いでしょう?」


 その言葉に異を唱えるものはいなかった。

 

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