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転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど!?  作者: 水月華
第3章

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逃げます


 お昼休み。殿下に話しかけられる前にパトリシア様を急かして食堂へ逃げた。

 本当に、今は対面したくない。怖い。


「ヘンリエッタ様、今日はトミー様を待たなくてよろしいんですの?」

「後で謝りますわ。いつも同じ席に座っていますし、合流はできますもの」


 食堂は多くの生徒で賑わっている。基本は食堂で食事を摂る生徒が多い。席は十分あるが窓辺など人気席もあるので、争奪戦が起きたりしている。

 わたくしたちは端の方の目立たないところを占領している。単純にわたくしたちは割と目立つので人目を避けた結果だ。

 ちなみに昼食のメンバーはわたくし、パトリシア様、トミー、お兄様だ。お兄様は生徒会の仕事があったりすると来ないこともあるけれど。

 昔からのメンバーなので安心感がある。たまにトミーが爆弾を投げ込んでくるのがいただけないけれど、それすらも今なら安心材料になりそう。

 ただ、これは外れて欲しいけれど近々殿下がメンバーに加わりそうな気がしてしまう。

 そしてそれに引っ張られてバーナード様も来そう。なんて高貴な空間。壁となってみるのなら眼福だけれど、当事者になるのはごめん被りたい。

 とにかく、今は美味しいご飯食べて現実逃避しよう。

 パトリシア様と食事を頼むために列へ並ぶ。

 食事は3種類から選ぶことになっている。この3種類はメインが違う。

 お肉、魚、その他だ。お肉、お魚は日によって種類や部位が違う。

 その他というのは、いろいろな料理が出てくる。グラタンだったり、パイだったり。

 日替わりなので飽きることがなく、多くの生徒が貴族ということもあってとても美味しい。

 わたくしは白身魚のムニエル。パトリシア様は子羊のテリーヌにした。もう、匂いだけで美味しい。

 食事をもらい、席についたところでお兄様とトミーが入ってくるのが見えた。

 2人も食事をもらって、席にやってきた。


「姉上、今日はどうして先に行ってしまったのですか? Aクラスに行ったらもういないと聞いて驚きましたよ」

「ごめんなさい、トミー。お腹が空いてしまって我慢できなかったのよ」


 本当の理由なんて話せないので、適当な言い訳を使う。

 トミーは納得できないのか、少し眉が寄っている。


「今日はへティのクラスは魔術の実践だったのだろう? それならお腹が空いてしまっても仕方がない。トミー許してやれ」

「むう……。仕方ないですね」


 お兄様、グッジョブ! ありがとう。

 4人で食事を始める。楽しく、殿下とのやりとりを忘れることができた。



◇◇◇


 放課後。パトリシア様と勉強をしようという話になり、図書室に向かうことにした。

 トミーも誘ったが、クラスメイトとの約束があるらしい。一瞬こちらを優先しようとしたので、丁重にお断りした。

 血涙を流していたが、必殺の上目遣いでお願いしたら諦めた。ちなみにクラスメイトに肩を叩かれていたので、関係は良好らしい。

 姉としては嬉しい限りだ。……シスコンがクラスに浸透していることは喜ぶべきなのだろうか。

 ええ、だからパトリシア様、そんな顔で見ないでください。

 と思っていたら、パトリシア様が立ち止まった。窓の外を見ている。

 わたくしも釣られて見ると、ピンクの頭が見えた。ボブということはもしかして。

 そしてその周りにいるのは最近、悪い意味で目立ち始めている令嬢たちだ。

 そこから導き出される答えに冷や汗をかく。近くには見事な噴水。嫌な予感しかしない。

 パトリシア様と顔を見合わせて、同時に頷く。

 この時ばかりは淑女らしさをかなぐり捨てて、走った。どうか、間に合ってほしいと願いながら。

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