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転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど!?  作者: 水月華
第3章

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魔術の実践です


 入学式から約1ヶ月。慣れない環境ということもあり、怒涛のように過ぎて行った。

 今までは座学で、魔術の基礎を習っていた。しかし今日からいよいよ魔術を使っていく実践の段階になる。

 貴族は入学前に家庭教師を雇って、コントロールは身につけるが実際に使うのは学園に入学した後なのだ。

 ワクワクと、緊張が入り混じった複雑な空気が教室に充満していて、皆も同じ気持なんだとわかる。

 パトリシア様もソワソワしているようだ。例外はいるけれど。


「2人とも緊張しているのかい?」


 話しかけてきたのは殿下だ。流石に同じクラスだと、交流を避けることはできなくてこうして世間話をする仲になってしまっている。

 後バーナード様もいるのが違和感だ。どうやら殿下に引っ張って連れられているけれど、抵抗しているところを見たところがない。もしかして断れないタイプ? と思ったが、冷静になれば殿下の誘いを断れないか。殿下の性格的に怒りそうもないけれど(わたくしは怒られたことないし)、将来の従うべき相手に悪印象を植え付けるのは得策ではない。


「はい、実践というのは初めてですので緊張してしまいますわ。危険なことで時々怪我人が出るというお話も聞きますし」


 パトリシア様はそう言いながらも、背筋をピンと伸ばしている。その様子を見た殿下も笑顔だ。


「そうか、確かに魔術は使えるようになるまでが鬼門だからね。しかし恐れていてはいつまでも使えないままだから頑張ってほしい」

「はい、もちろんでございます」

「ヘンリエッタ嬢はどうだい?」


 それで会話が終わってほしいと願っていたが、当然そんな訳はない。ええ、こういうのは平等にですからね。

 仮にも婚約者候補2人ですから両方に声かけないといけないとは存じておりますとも。わたくしは嬉しくないですけれども。

 笑顔の仮面を貼り付けて言う。


「わたくしは幼い頃からお兄様とトミーが訓練しているのを間近で見てきましたので、そこまで緊張はしておりませんわ」

「ああ、そういえばアルフィーもトミーも早めに訓練を始めていたのだね。私の耳にも2人の有脳ぶりは届いているからね」

「もったいないお言葉ですわ。わたくしにとっては自慢の家族です」


 そんな会話をしているうちに移動する時間になった。場所は園庭だ。

 空には雲一つない青空が広がっている。優しく吹く風が心地よい。


「はい、皆様集まってください。授業を始めます」


 教師がやってきて、授業が始まる。

 まず初めは手に魔力をこめて、玉を作るらしい。これは属性に関係なくできることなので教える方も教えやすいということだろう。

 皆教えられたことを振り返りながら作ろうとしているが、やはり実践となるとなかなか難しい。

 そこらで色々な属性の光ができているので、とてもカラフルだ。

 わたくしも作ってみる。意識を自分の魔力に集中して、球体をイメージする。が。

 

「むむ……綺麗にならない」


 わたくしが使えるのは水属性だ。手のひらの上にあるものは当然、水。しかし玉ではなく、なんだろう。確か……まっくろくろすけ? みたいな名前の生物が前世にいた気がするけれど、そんな感じになってしまっている。色は水色だけれど、もやもやしてる。


「あっ」


 隣の声に驚いてそちらをみると、パトリシア様は風が霧散して髪が巻き上げられていた。パトリシア様の属性は風。同じように中々苦戦しているらしい。

 気を取られたのが良くなかった。玉が制御を失い、落ちて手が濡れてしまった。


「冷たい……魔法で作られた水って冷たいのね」

「ヘンリエッタ様、それはいいから拭きなさいな」


 そう言いながらパトリシア様がハンカチを差し出してくれる。わたくしももちろんハンカチは持っているが、ご厚意に甘えて貸してもらった。


「ありがとうございます」

「いいえ」


 その時、周りから歓声が上がる。

 見ると、殿下が綺麗な玉を作っていた。手のひらに包み込んでしまうほど小さく、けれど火属性の赤い光が眩しい。


「流石殿下ですね。あんなに小さくできるなんて、繊細な制御ですわ」

「ええ、わたくしたちも頑張りましょう、パトリシア様」


 再び集中する。イメージをしっかり描きながら、魔力をこめた。

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