クラス発表です
馬車で学園に移動し、学年の違うお兄様と別れる。
トミーとパトリシア様のところへ向かった。
「ごきげんよう、パトリシア様。制服がとてもお似合いですわ」
「姉上、それ僕のセリフ……。パトリシア嬢は今日も麗しいですね」
「あら、ごめんなさいトミー。わたくしったらつい」
あまりの美しさに言葉が出てしまった。トミーのお株を奪ってしまうとは。
そんなわたくしたちを見て、パトリシア様は呆れたような視線を送ってきた。
「ごきげんよう、ヘンリエッタ様、トミー様。トミー様におきましては、学園で初の飛び級入学おめでとうございます」
「ありがとうございます」
「パトリシア様はクラス分けはご覧になりましたの?」
「いいえ、これからですわ」
「では一緒に行きましょう」
並んで歩き始める。クラス分けの書かれたボードの前には人だかりが出来ていたが、わたくしたちの姿を認めると人並みが割れた。
うん、これがナトゥーラ王国の高位貴族筆頭、スタンホープ家とディグビー家の力か。スタンホープ家だけならまだしも、公爵家であるディグビー家の息女がいたらみんな避けるよねぇ。
「あら皆様ありがとうございます。ではヘンリエッタ様、トミー様、行きましょう」
「はい、姉上、お手をどうぞ」
「まあ、トミーったら。流石のわたくしでもこのくらい歩けるわ」
トミーの手を避けて、ボードの前へ向かう。
Aクラス
フレディ・イル・ナトゥーラ
ダニエル・バーナード
パトリシア・ディグビー
ヘンリエッタ・スタンホープ……
Bクラス
……
トミー・スタンホープ……
あ、やばい。横から禍々しいオーラを感じる。怖い。そっち向きたくない。
後、なんだかAクラスに高貴な方々が集まりすぎやしませんかね。一応、AクラスとBクラスが特進クラスなのでそこで大きな差はないはずなのに、なんだろう、この感じ。
パトリシア様と同じクラスであることを喜びたいのに、禍々しいオーラがだんだん濃くなってきて何も言えない。
ちらとパトリシア様を見ると、行けと言わんばかりにジェスチャーしている。
わかる、わかるけども。こんなオーラ感じたことないのでビビってます。多分治められるのわたくしだけだけど、ハードル高すぎない?
ああ、でも他の生徒も怯えているわ。なんと言うことでしょう。2歳年下のオーラに皆気圧されています。
「と、トミー? 顔が怖いわよ?」
「……何故、姉上とクラスが分かれるんですか。なんのために頑張ったのかわかりません」
「く、クラスが違っても登下校は一緒になるし、邸でも一緒よ?」
ね? 落ち着いてと声をかける。やばい、目が虚なんですけど。ちょっと誰か助けて。
「やあ、パトリシア嬢にヘンリエッタ嬢、トミー。お揃いだね」
聞こえた声に振り向くと、殿下がいた。なんだろう、わたくしたちの時より人垣が大きく割れている。
トミーの禍々しいオーラに気がついているだろうけど、一切動揺せず話しかけてくるとは。さすが王子。
「ところで、トミーはどうしたんだい? そのオーラから魔物が生み出せそうだけれど」
いや、それは言い過ぎ……でもないか。本当にそんな気がする。
「ああ、もしかしてヘンリエッタ嬢とクラスが別れたことかな。残念だけれどこれは暗黙のルールでね、双子や義理の兄弟とかで学年が同じになるとクラスを分けるそうだよ」
「!!」
トミーはショックを隠しきれないようだ。うん、わたくしとしては色んな意味でありがたいけども。
流石に可哀想。どうにかして気分を上げて上げたいんだけどなあ。
殿下はトミーに近づき、何か耳打ちをしている。そのうちにトミーの瞳が鋭くなった。トミーは割とタレ目なのにそんなに険しい顔ができるのか。
見当違いな感想を抱いていると、トミーはこちらにやってくる。
発せられた言葉にわたくしは頭を抱えることになった。




