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いよいよ入学です


 あの後お母様と筋トレをしてみたけれど、お母様はギブアップしてしまった。頑張って喰らい付いていたけれど、もう無理と涙目になっていたお母様は可愛かった。

 そうして入学試験や準備時間を経て、いよいよ魔術学園に入学する日がやってきた。

 学園なのでもちろん制服だ。紺のワンピースタイプの制服だ。中にブラウスを着て、襟元に小さいネクタイが付いている。えり、袖、スカートにゴールドの線が2本ずつ入っていて、とても素敵だ。

 鏡で全身を確認しながら、くるりと回る。うん、我ながらとても似合っている。

 思わずニヤニヤしていると、扉がノックされる。返事をすると、1人の侍女が入ってきた。


「おはようございます。ヘンリエッタ様」

「おはよう、エマ」


 彼女はエマ。最近わたくしの専属侍女となった子だ。年齢は19歳。栗色の髪に瞳。チャームポイントはそばかすだ。

 もうすぐ学園に入学するし、その間は侍女は一緒に居られないので断ったのだが、大体この時期に専属侍女を持つことが多いそうだ。

 多分将来、どこかに嫁ぐことになった時とかの練習かな。


「お一人で着替えられたのですか?」

「ええ、楽しみで思わずきてしまったの。エマが遅くてとかではないから安心して」

「いいえ、大丈夫です。それならばお髪を整えましょう」

「お願いするわ」


 エマは慣れた手つきで髪を整える。簡単そうで複雑な、上品なハーフアップにしてくれた。


「いかがでしょうか」

「とても素敵よ。ありがとう」

「恐れ入ります。それでは食堂に行きましょう」

「ええ」


 食堂に行く途中でお兄様、トミーと鉢合わせたので一緒に向かう。食堂に入り、少し待つとお父様とお母様がやってきた。


「おはよう。へティとトミーは今日から学園だね。昨日はよく眠れたかい?」

「おはようございます。問題ありません」

「おはようございます。わたくしは逆に楽しみで早く起きてしまいましたわ」

「そうか。緊張はしていないようで何よりだ」


 お父様は微笑み、挨拶をして食事を頂く。


「改めて、トミー。学園で史上初の飛び級入学おめでとう。素晴らしい功績だ。私も父親として鼻が高いよ」

「ありがとうございます」


 お父様の言葉に、照れ臭そうに笑うトミー。そう、さまざまな課題と入学試験の結果から、トミーは狭き門の飛び級入学の権利を見事もぎ取ってきたのだ。本当に頑張ったと思う。試験結果自体はまだ発表されてはいないが、入学許可が降りたのでおそらく特進クラスは決定だろう。

 ちなみに結果はクラス発表と同時だ。まあ、特進クラスがあるからそうなるのだろう。


「本当によく頑張ったな」

「兄上にも勉強を教えてもらいましたし、当然です」


 お兄様もお母様も誇らしげだ。お母様は感極まったのか、泣きそうなのを堪えているみたいだ。多分、トミーは気がついていない。お父様はそっと手を握っている。


「本当に、兄妹3人で通えるだなんて夢のようだわ。わたくしもトミーに負けないように頑張らなくてはね」

「僕も兄上、姉上と通えるなんて嬉しいです。願わくば姉上と同じクラスがいいのですが」

「それはどうなのかしらね。もしかしたらトミーが特進クラスで、わたくしが一般クラスの可能性も……」

「それはあり得ません。姉上は努力の人なのですから、特進クラスに入れないわけがありません」

「けれど、努力しているからといって必ずしも報われるわけではないわ」

「家庭教師の評判だって良いのですから、絶対にあり得ません」

「ふふ、どうもありがとう」


 必死に言ってくるトミーが可愛らしくて思わず笑ってしまう。


「相変わらず仲がいいことだ。ただし2人とも、あまり距離感を近づけすぎないようにな」

「はい」


 わたくしまで注意を受けてしまった。いまだに興奮するとついつい引っ付いてしまうので仕方ないことだとは思う。大体、淑女はやたらに殿方につかないし。

 そもそも前世でもスキンシップが少なかったと思うのになぜ今世ではくっついてしまうのだろう。

 お父様の言う通り、気をつけなければ。

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