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魔性の女予備軍だそうです


 あの後、お母様にキチンと報告した。お母様は黙って聞いた後に。


「……へティは将来、とんでもない魔性の女になりそうだわ」


 少し、頭が痛そうに手で押さえながら呟いた。

 魔性の女というより、ハニートラップが得意な女になれそう。もちろん実行する気はさらさらないけれど。わたくしだって、誰彼構わず触れたいと思わない。


「大丈夫ですわ。わたくしだって相手は選びますもの」

「当たり前です」


 ピシャリと言われ、肩をすくめる。お兄様の行動は褒められたものではないけれど、わたくしも淑女としてあるまじき行動をとったことは自覚している。


「……でもアレキサンダーには言ってもいいかもしれないわね。娘がそういう行動に移すとわかったら、大人しくなるではないかしら」

「流石にお父様がかわいそうですわ。灰のように崩れてしまうかもしれません」

「貴女は優しい様で容赦がないのに、その逆もあるのね。一体誰に似たのかしら?」

「もちろん敬愛するお母様ですわ」

「わたくしより大物になるわね」


 お母様より大物になれるのだろうか?

 それは何だか別の方向に行きそうで怖いのだけれど。


「お母様、わたくしが暴走してもしっかり止めてくださいませね?」

「そうね、貴女を止められるのはわたくしか、もっと上の人ね。その人が現れるまでは手綱はしっかり握って差し上げますわ」


 親子の会話とは思えないが、これで安心だ。いや、自分から暴走しようという気はないけれど、さっきの件もあるしね。保険は作っといた方がいい。


「それにしても、アルはよく鼻血を出さなかったわね?」

「真面目が服を着ているからでは? それに下心があれば出るかもしれませんが、わたくしへの下心はありませんもの」

「そうかもしれないわね。そうじゃなくちゃそもそも姉弟の恋愛に首を突っ込まないでしょうし」

「いえ、もしかしたらわたくしはまだまだ魅力がないのかもしれませんわ」

「そんな事ないわ。わたくしから見ても、その体型は素晴らしいもの。それこそ、学園に入学したら大変なことになるわよ?」

「お母様に褒めていただいて嬉しいですが、パトリシア様の方が素晴らしいですもの。わたくしは見劣りしますわ」


 わたくしは前世の知識を思い出しながら、主に自重での筋トレをしている。本当は何か器具も使いたいけれど、まだ体が成熟しきっていない時に負荷をかけすぎると、怪我のリスクも上がるから控えている。

 それでもキツイものもあるので、大変だ。

 それに対してパトリシア様は筋トレみたいな事は一切していないらしい。それなのにわたくしよりもナイスバディなのだから正直羨ましい。本人はまたドレスが窮屈になってきたと文句を言っていたが。

 口には出さないが、すごく羨ましい。本当に綺麗なんだもの。

 そう言う事はしていなくとも、淑女として要求されるものは筋肉がないと出来ないものも多いので、必要な筋肉はついているのだろう。


「ヘティは頑張っているわねぇ。体型なんて遺伝かと思っていたけれど、違うものなのね。憧れるけれどわたくしは今からではねぇ」

「お母様、こういうのはいつからやっても大丈夫なのですよ。今日が一番若いのですから、チャレンジしないのは勿体無いですわ」


 お母様もお父様も38歳であるが、まだ20代と言っても良いくらいに見た目が若々しい。加えて、お母様はスレンダー美人だ。将来年齢不詳の美魔女と呼ばれるに違いない。

 わたくしはメリハリのあるボディを目指しているが、お母様の様なすらっとした体型も好きだ。マーメイドラインのドレスや、スリットの入ったドレスも気品を漂わせて着ることが出来る。メリハリボディだとどうしてもセクシーさが前に出るからね。どっちも素敵だ。


「あら、そうかしら? 今からでも良いのかしら」

「もし良かったら一緒にやってみませんか? お母様ならある程度出来るはずです」

「そうね……試しにやってみようかしら」


 お母様の返事に、わたくしは笑って頷いた。

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