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転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど!?  作者: 水月華
4章

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自分の気持ちと向き合いましょう


「あくまでわたくしの考えではありますが……殿下の隣に立つ者として、相応しくあろうとしていると言うのはありますわ。けれどそれだけでは、確かになんと言うか……」

「わ、私、特待生なので、元々成績は上位にならないといけないのに、集中出来なくて……」


 一瞬、パトリシア様の義妹になるのなら、特待生云々は関係なくなるのでは? と頭に掠めたが、そう言うことではないので黙る。


「これには決まった答えはないと思いますが、そうですわね……。メアリー様は集中しようとするとどのようなことを考えてしまうのですか?」


 恐らく、何か悩みがあって集中出来ないのではないかと予想する。

 メアリー様は素直に考え込む。


「……正直に言うと、こうなるとは思っていないかったというか。確かに、前世の知識ではこう言うこともあるとわかってはいたのですが、私自身はなると思っていなかったと言いますか」

「メアリー様、限界オタクですものね。わたくしより前世の記憶がある分、そこの差に戸惑ってしまうのでしょう」

「うう」


 ふむ。わたくしの時もだけれど、こう言う時は本人が自覚することが大事だもんな。


「とはいえメアリー様はダニエル様を受け入れるおつもりなのでしょう? その為にも我が家に養女になる手続きも進めているのですから」

「それはそうなんですが……。なんだか本当に受け入れているのか不安になってしまうんです」


 パトリシア様の質問に、メアリー様は声を小さくして答える。


「難しく考えすぎなのでは? と言いたいところですが、ヘンリエッタ様の前例もありますし仕方ないのかもしれませんわね」

「そうなんです。ヘンリエッタ様はどうして、殿下が好きだと自覚できたのですか? 私たちが話しても、納得してませんでしたが」


 2人の視線がこちらを捉える。

 当時のことを思い出しながら伝える。

 

「ああ、そうですわね。……嫉妬する自分に気がついたから、と言うのが一番大きいですわね」

「嫉妬ですか……」

「今思えば、ですね。当時は動揺した自分に気がついたからですわ。パトリシア様と2人きりで会うことの意味を考えた時に、とても動揺しましたわ。逆に言えば、動揺するくらいには殿下を気にしていたということですので」

「なるほど」


 ただ、それは試し行動になる可能性もあるので、ダニエル様が行動を起こすわけにはいかない。

 最悪、信頼問題にもなるからだ。

 それに荒療治でもあるので、他の方に気軽にお勧めできない。精神的にだいぶ追い詰められるのもおすすめ出来ない。


「メアリー様、貴族は愛のない結婚をすることは珍しくありませんわ。けれどそれは最初のお話ですわ。相手を思いやること、相手を知ること。それらを繰り返していくうちに、愛を育てることは出来ます。今ダニエル様に、曖昧な好意を抱いていてもいいと思いますわ。今後目の前に存在しているダニエル様に向き合えば、いつか愛情になりますもの」

「パトリシア様……」


 すごい。なんというか生粋のお嬢様は考え方が違う。

 口にすれば、わたくしもお嬢様だろうと突っ込まれるので言わないけれど。


「パトリシア様の言う通りですわ。今メアリー様が嫌でないとお思いなら、それほど難しく考える必要はないでしょう。わたくしが言うのも何ですが、こう言うのは頭では堂々巡りになりますもの。そのときの感情を大切にすれば、自ずと理解できると思いますの」

「お2人とも、ありがとうございます。話を聞いてもらって楽になりました。まだ不安がすこしありますが、自分の心に向き合ってみます」

「良かったですわ。次はパトリシア様ですわね」

「え?」

「パトリシア様も悩んでおられるのでしょう? 同じように集中出来ていませんでしたし」


 わたくしに指摘されたパトリシア様は、ほんのり顔を赤く染める。かわいいな。って今は違う。


「いえ、わたくしは……」

「わたくしに話しにくいのは仕方ありませんわ。その場合、しばらく席を外しますわ」


 本来であれば殿下の婚約者候補として、ライバルだったわたくしたち。だからこそ言えないこともあるだろう、と思ったけれど。


「いえ、ヘンリエッタ様に言えないと言うわけではありませんわ。その、まだ正式に決定しておりませんし」

「そうなのですね。それでも相手を言わなければ大丈夫ではないですか? 集中出来ないのも問題でしょう?」

「そ、そうですわね」


 そう言いつつも、頬を朱に染めてモジモジするパトリシア様。ああ、この表情は初めて見たかも。

 フレディ様に見せていた表情と違う。もちろん、フレディ様にも恋はしていた。けれど今は新しい道に進んだから、その相手に抱く思いも多少変わるのだろう。


「パトリシア様のお相手は、パトリシア様ご自身がお選びになったのですか?」

「そう、とも言えるし、違うとも言えますわ。ただ、これはわたくしの自由にしていいと言われましたの」

「まあ、そうだったのですね」


 ということは、パトリシア様が自分の心で選んだ相手ということか。フレディ様はもちろん素敵な方だけれど、どうしても王子という身分のために政治が絡まる。恋心と一緒についてくるものなので、緊張感もあるから今と表情が違ったと言うことかな。

 まあ、貴族という性質上、政治が絡まないなんてことはないのだけれど。


「ふふ。では、パトリシア様がメアリー様に言ったのと同じことですわね」

「そうですわね。はぁ……なぜヘンリエッタ様は他者にはこんなに聡いのかしら」

「急に下げるのはやめていただきたいですわ」


 ツンデレですか? いや、照れ隠しより本音だなこれ。

 メアリー様もクスクス笑っている。釣られるように3人で笑いあった。


「これなら勉強に集中出来ますね」

「ええ。ヘンリエッタ様に負けないように頑張らないといけませんわ」


 そう笑う晴れやかな2人の表情はとても眩しかった。



 ◇◇◇



 そしてテスト発表の日。

 3人で切磋琢磨したので、だいぶ手応えはあった。

 いつかのように、順位が張り出された掲示板まで道ができる。うん、ありがたいけれどやめてください。とても目立つ。


 第1位 フレディ・イル・ナトゥーラ

 第2位 トミー・スタンホープ

 第3位 ダニエル・バーナード

 第4位 パトリシア・ディグビー

 第5位 ヘンリエッタ・スタンホープ

 第6位 メアリーキャンベル……


 おおっ! トミーがダニエル様を抑えて2位!

 わたくしは5位だけれど、そもそもメアリー様を含めて僅差だ。


「ああ……前回と順位が変わらない……」

「安心してください、メアリー様。わたくしなんてこの中で一番順位を落としてますわ」

「くっ、3位以内には入りたかったですわ」

「流石パトリシア様ですわ」


 悔しがったり落ち込んだりする2人を慰める。

 とその時。


「相変わらず君たちは優秀だね」

「殿下。殿下も流石ですわ」


 上位3人の男性陣が寄ってきた。前回と違って叫び出したりしませんとも。

 と、トミーがいたので思わず駆け寄ってしまう。


「トミー! よく頑張ったわね! 鼻が高いわ」

「ありがとうございます、姉上。飛び級で入ったので無様な姿は見せられないと頑張りました」

「さすがだわ。わたくしは順位を落としてしまったもの」

「忙しかったからでしょう。それでもあの順位である姉上が、むしろすごいと思いますよ」

「そう言ってくれて嬉しいわ。お兄様も最後のテストですし、今日はお祝いね」

「前回の姉上はそれどころではありませんでしたからね」

「その件は失礼致しました」


 2人で話し込んでいると、後ろから声が聞こえた。


「先に殿下ではありませんの? 婚約者ですし」

「どうであれ、やはりトミー様は大切な家族なんですね。思わずかけよってしまうくらいには」

「くそ……勝ったのに負けた気分だ」

「ヘンリエッタ嬢……あなたという人は……」


 4人の言葉にやってしまったと思うが、後の祭りである。これはなにか考えないとと頭をフル回転させた。

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