表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど!?  作者: 水月華
4章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

257/282

忙しさは罪ですわ

少し百合が暴走しております。

とはいえ、ジャンルはNLですので悪しからず。

苦手な方は自衛をお願いします。


「ええっ⁉︎ メアリー様とダニエル様のデートはとっくに終わってたんですの⁉︎」

「も、申し訳ない。報告したかったんですが、ヘンリエッタ嬢が忙しそうにしておられたので……」

「わ、私も……」


 今は生徒会室で作業中だ。そこで何気なく聞いた2人の話に、ショックを隠しきれなかった。

 そう、考えればわかることなのだが、ダニエル様から相談を受けて数ヶ月経っている。冷静になれば、デートの一つや二つしていても何ら不思議ではない。

 只々、日々忙殺されて頭から抜けていた自分が憎らしかった。

 周りに他の目が無いことをいいことに、机に突っ伏して嘆く。


「今回ばかりは、タイミングが悪かったですわね。それにしても優秀なヘンリエッタ様すら、妃教育は周りが見えなくなるくらいには大変ですのね」


 パトリシア様がフォローしてくれるけれど、全くわたくしの不満は解消できない。

 

「悔しい……悔しいですわっ! いつの間にか、そんなに仲良くおられて! わたくしだって中々心を開かないメアリー様に頭を抱えるダニエル様とか、ダニエル様の色気に当てられて逆上せるメアリー様とか、徐々に仲良くなって距離が近くなる過程を見たかったですわ! どうせ一回はダニエル様の婚約が固まりかけて、一悶着あったのでしょう⁉︎」

「ちょっと、やはりちゃんと把握してたでしょう。そんな的確に当てることありますの?」

「婚約云々は現在進行形なのですが……」

「でもダニエル様のその様子はほぼ解決状態ではないですか! ダニエル様が男らしくメアリー様を口説くところを影から見守りたかったですわ! メアリー様がダニエル様との色々な壁を乗り越える様を見てないだなんて!」


 バンバンとテーブルを叩いて、身のうちにある悔しさを少しでも排出する。

 いつもなら怒るパトリシア様は、今日ばかりは何も言わなかった。


「うう……ヘンリエッタ様が私たちに対する理解が深い……。それゆえに、私ももどかしいです」

「ああっ……! 悔しいですわっ。そうですわよ! しかもパトリシア様のお家の養女となるなんて! そこはわたくしではありませんの⁉︎」


 そう。もうひとつ爆弾が落とされた。なんとダニエル様との婚約のため、メアリー様はディグビー公爵家に養女として迎えられることになった。

 とはいえ、キャンベル男爵の気持ちを汲んで、今の所名前だけらしい。なにその怒涛展開からのご都合展開。なぜわたくしは蚊帳の外だったのだ。

  

「パワーバランスですわ。スタンホープ侯爵家は王家と縁付く。ダニエル様のバーナード公爵家とディグビー公爵家は今まで付かず離れずの距離でしたの。ですから、これを機にお近づきになるのも良いでしょうと判断されたのですわ」

「そうは言いながらパトリシア様! メアリー様から“お義姉様”と呼ばれたいだけでしょう⁉︎」

「当然でしょう。この機会を逃すはずがありませんわ。ヘンリエッタ様が気がついていない時なんて、今後無いでしょうし」


 少し得意げな表情のパトリシア様に、悔しさが込み上げる。


「悔しいっ悔しいですわっ。わたくし1人だけ除け者にするなんてぇっ」

「安心して、へティ。仲間はずれになんてさせないよ」

「お兄様、これは既に手出ししようがありませんわ。こうなったら……」


 キッとパトリシア様とメアリー様を睨む。

 あまりの悔しさに涙が滲んでいるけれど、知ったことか。

 お2人がたじろぐ。その瞬間を逃さない。


「お2人の初めてはわたくしがいただきますわ‼︎」

「えっ」

「ふぁっ⁉︎」

「なっ⁉︎」

「へティ⁉︎」


 わたくしの言葉に上からパトリシア様、メアリー様、ダニエル様、お兄様が声を上げる。

 ダニエル様は顔真っ赤にして、口をぱくぱくさせている。ダニエル様はわたくしの言葉を()()()受け取ったようだ。

 まあ他の3人も似たような表情か。しかし、その表情は驚愕だけ。この後のわたくしの動きを予知出来ない。

 パトリシア様の体を机に押し付ける。メアリー様も同時に捕まえたかったけれど、体が足りない。


「ヘンリエッタ様⁉︎ 何をする気ですの⁉︎」

「安心してくださいませ、パトリシア様。ええ、わたくしという存在を刻み込むのです」

「わかりませんわ! ちょっと、離れなさい!」

「大丈夫ですわ……。殿方より、女の方が女の体を理解しておりますもの。さあ、天国へ連れて行って差し上げますわ」


 その言葉に何をされるか、直感で理解したらしい。顔を真っ赤に染めるパトリシア様。そこは青ざめると思うのだけれど。

 そっと頬に手を滑らせる。


「ヘンリエッタ様! 落ち着くのです! ここをどこだとお思いですか⁉︎」

「まあ。パトリシア様、そんな可愛らしい顔をして説得力がありませんわよ?」

「貴女もそんなに手慣れているのがおかしいですわ!」

「ふふ……。それは色々ありまして……ね? (前世)の経験ですわ」

「なっ。破廉恥なっ……ちょっと、これ以上は近づかないでください!」


 必死にわたくしの肩を押すパトリシア様。ちなみに胸では無いのは、膨らみに手が当たって驚いたからだろう。パトリシア様もわたくしより立派なものを持っているのにな。

 まあ体勢のせいで、可愛らしい反抗にしかならない。

 もう鼻先が触れる寸前まで近づく。パトリシア様はギュッと目を閉じて息を止めている。

 と、その時。

 急な浮遊感と共に、嗜めるような声が聞こえた。


「全く、少し目を離した隙に……僕の婚約者は欲求不満なのかい? それは僕に向けてくれないと」

「フレディさま」


 強制的にパトリシア様と距離を取らされる。ああ、後少しだったのに。

 良いところを邪魔されて、不服な声を出す。本当は睨みたいけれど、体勢的に無理だった。


「降ろしてください」

「ダメに決まっているだろう。ほら、耐性が多少は付いたとはいえ、皆がオーバーヒートしているよ」


 見ればお兄様を含めて、皆様が顔を真っ赤にしている。

 そして誰も顔を逸らしている。

 その様を見て、少し冷静になった。完全に暴走してしまったわ。

 先ほどまでの激情は萎れてしまった。


「失礼いたしました」

「すごい。ここまで感情が篭っていない謝罪は初めてだ」

「では降ろしてくださいませ。この体勢も問題があると思うのです」

「嫌だ」

「え?」


 ここまで来れば、フレディ様も冷静になったと降ろしてくれると思ったのに、拒否されることに驚いてしまった。


「全く、本当にわかっていなさそうだね。僕がさきほどの光景をみて、嫉妬しないとでも思ったのかい?」

「え? パトリシア様は女性ですが」

「その女性に襲いかかっていた人間の言葉には聞こえないなぁ」

「うっ」


 いや、そうだけれど。一応ギリギリ、本当にギリギリで止めるつもりではあった。言うなれば、ギリギリを楽しんでいたのだ。

 けれどそんな言い訳が出来るはずもなく。

 そして体勢が変わる。一瞬降ろされて、横抱きにされた。

 反射で落ちないようにフレディ様の首に腕を回す。それに満足したのか、嬉しそうに笑うフレディ様。

 いや、その眼を見て後悔した。そのカーマインの瞳の奥がギラギラと輝いていたから。

 これは見覚えがある。これは捕食者の瞳だ。


「アルフィー、戻って来い。また部屋を借りたい」

「あ、は、はい!」

「お、お兄様⁉︎」


 いくらなんでもそこはフレディ様を止めるべきでは⁉︎


「あーへティ、うん。僕から言えるのは……頑張れ」


 見放された瞬間である。

 フレディ様に連れ去られて、扉が閉じる瞬間。


「あ、あああのかたは‼︎ 魔性ですわ! 魔性の女ですわ! 落ちるところでしたわ!」

「パトリシア様、あれだけの色香で落ちない方が凄いです。……トミー様がいなくて良かった」

「あ、あんな。あんな……」


 叫ぶパトリシア様を宥めている声? が聞こえた。

「面白かった!」「続きが読みたい!」と思ってくだされば広告下の⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎をポチッとお願いします!

いいね、ブクマもとても嬉しいです。


ランキングにも参加してみています!

良かったらポチッとしていってくれるととても励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ