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転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど!?  作者: 水月華
4章

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立ったまま気絶している……!?


「これはどう言う状態かな……?」

「兄弟のスキンシップです」

「珍しいことをしているわね? 3人ともそう言うことはもうしなくなったのかと思ったわ」


 お父様の質問に、トミーが答える。ケロッと、何か問題がありますか? と目で語っている。

 流石のお母様も驚いているようだ。

 これにはわたくしが答える。


「ええ。わたくしたちも学園に入学し、大人になる準備をするべく自分を律してきました。しかし、最近どうにも寂しさを感じていたのです。そして思いました。わたくしたちにはスキンシップが足りないと」

「いや、へティには殿下がいるだろう」

「お父様、流石に殿下には色々と難しいですわ。なぜならそもそも正式な婚約者ではありません。特に王国に向けて発表されるまでは慎んだほうが賢明かと思いますの」

「うん、へティのそう言うところは素敵だね。だからってアルとトミーに行くのは……」

「ではお父様にもスキンシップを取れば問題ないですか? そうすれば外聞的にも家族で仲が良いのが強調できるでしょう?」

「⁉︎」

「あらあら」


 お父様はわたくしの言葉に、石像のように固まってしまった。

 そしてお母様は静観の構えだ。面白いことが起きているから、楽しもうとしているのがありありとわかる。まあそれは構わない。

 ちなみにわたくしたちはまだサンドイッチ状態だ。そろそろきついかも。


「いいですね。父上、きて下さいよ」

「待ってくれ、流石に僕が潰れる。父上は流石に支えられない」

「わたくしも無理ですわ。一旦この体勢をやめませんか?」

「えー」


 お兄様の必死の抗議に、わたくしも賛同する。トミーが乗っている状態では重いけれど苦しくない。けれど成人男性のお父様が乗ったら無理だ。

 けれどトミーは不服そうな声をあげる。

 よほどこの体勢が気に入ったのか。いや違う。絶対面白がっている。まだ背中に感じる体温が震えているもの。


「本当にへティはわたくしの予想を超えるわね。けれどもう食事の用意が出来ているわ。冷めてもいけないし、一旦食事にしましょう」

「……仕方ないですね」


 トミーは渋々と言った様子でわたくしたちの上から降りる。

 わたくしもお兄様の上から退いた。開放感に、深呼吸する。


「仲良いことはいいことだけれど、場所を考えなさいな。皆が綺麗にしてくれているとはいえ、床に転がるのは良くないわ」

「はあい」

「ふふ」


 お母様は楽しそうだ。ここで先ほどから一言も発していないお父様に目を向ける。


「失礼しました。それでは食事にしましょう。……お父様?」

「……」

「お父様? ……えっ? 立ったまま気絶している……」

「あらあら」

「父上っ? しっかりしてくださいっ」


 声をかけても無言なので、顔を覗きこむと、なんと白目を剥いて気絶していた。しかも立ったまま。どこの歴戦の戦士だ。

 お母様は狼狽えていないけれど、お兄様が必死で呼びかける。

 ガクガクと前後に揺らすと、ようやく意識が戻ったようだ。


「はっ……ここは」

「父上、わかりますか?」

「アルフィー……」


 お兄様に呼びかけられて、ぼんやりした視線がはっきりする。


「なんと言うことだ。へティだめだ。私の自慢の娘。なんと愛おしい娘」

「お、お父様?」


 なんかぶつぶつ言ってるけれど、怖いです。


「へティはいずれ素晴らしい女性になると思っていたけれどこれはだめだ。こんな自然と家族すらも魅了するへティが社交界に出れば多くの令息が虜となるだろう。殿下だけで抑えられるだろうか。万が一抑えられなかった時のためにも私もへティを守らねば。いやもう陛下に一刻も早く殿下との婚約を発表してもらうように陳情しよう。陛下の言葉もあればへティに不埒な目を向ける奴もいなくなるだろう。今から王城に行ってくる」

「お、お父様っ。お待ちくださいっ。今何時だと思っているのですか! この時間から陛下と謁見なんて無理でしょう!」


 今ほぼ息継ぎなしノンストップで喋りましたけれど、内容があまりにも妄想が行き過ぎている。わたくしをなんだと思っている。

 あとこの光景前にも見たわ。あれだわ、お母様とわたくしがお揃いのドレス着た時だ。

 それよりお父様を止めないと。とんでもない理由で王城に向かおうとしている。これは我が家の品位が疑われる。

 ひしっとお父様の腕にしがみついて、その動きを止める。

 もうなりふりなんて構ってられない。実力行使でもなんでも止めないと。


「お父様っ。わたくしは自分の身は自分で守れますわ。だって魔物相手にも立ち向かえるくらいには強いんですっ。そんなわたくしを信じられないと言うのですか⁉︎」

「へティ……」


 お父様の動きが止まる。けれど油断ならないと今度は胴体にしがみつきながら叫ぶ。


「わたくしだって、お父様を守れるくらいに強くなって見せますわ!」

「……」


 言いたいことがずれてしまったけれど、必死なのだ。とりあえず止まればなんでもいい。

 緊張感のある無言が続いたあと、急に体が引っ張られる。

 いや、違う。お父様の体が倒れ込んだのだ。急なことに手を離すという行動ができずに、一緒に倒れ込むことになった。


「きゃあっ⁉︎ お父様、しっかりしてください!」


 呼びかけるが、また白目を剥いて気絶している。何が起こった。

 というかお父様、気絶しながらわたくしが床に倒れないように抱え込みましたね。それは凄い。あとお兄様とのつながりを感じる。

 

「……あははっ。もう、本当に面白いわ」

「お母様っ! 笑い事ではございません!」

「大丈夫よ。あなた達、アレキサンダーを運んでちょうだい。食事は目が覚めたら部屋に持っていきましょう」


 お母様は使用人に指示を出す。

 使用人達も驚いてはいたけれど、忠実に仕事をしている。


「へティも、怪我はないかしら?」

「わたくしは大丈夫ですが……」

「アレキサンダーは大丈夫よ。ああ、面白い。久しぶりに見たわ」


 その言い方は前にも見たのですね。きっと婚約者時代とかのことでしょう。


「父上、流石に僕でも気絶しなかったのに」

「最近父上の扱いが雑になってましたし、仕方ないのでは? 嬉しさのあまり、ああなったのだと思います」


 お兄様とトミーが話している。確かにお父様の扱い雑にしていたけれど、だからって気絶します?

 そんなにひどかったかしら。それはそれで罪悪感を感じるわ。一種の反抗期でもあったのかもしれない。

 今のわたくしは反抗期を超えて思春期かしら。うん、そんな気がする。

 なんて内心思った。


「いや、僕なら目に焼き付けるために絶対に気絶しない」

「……さすが親子ですね……。ええ、今すごい血のつながりを感じました」


 お兄様の言葉に、流石のトミーも引いていた。いや、多分お父様も気絶しないようにした結果が白目なのではないだろうか? わからないけれど。

 それはそうと、白目剥いたお父様はいつものイケメンがなくなってはいたけれど、見れる顔だった。

 やはり元が整っていると、変な顔になっても人の顔してる。素直にすごいと思う。


「さあ、食事にしましょう。ああ、食事が終わったらへティはわたくしの部屋に来なさい」

「え」

「全く、もう少し貴女は自分の言葉の影響力を考えないとダメよ。そのことをしっかり教育してあげるわ」

「母上、お願いします。このままのへティも良いですが、社交界を考えると不安しかありません」

「そうですね。たまに計算外なこともするので、その辺りもお願いします」

「ええ……」


 先ほどまでのことはトミーの暴走もあるのに。納得がいかない。

 それでもわたくしが元凶か。くそぅ。

 これがトミーの処世術なのかもしれない。

 と現実逃避をした。

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