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転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど!?  作者: 水月華
4章

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ダニエル様はどうするでしょうか?


「けれど、これではメアリー様の参考になりませんわ」

「本当に難しいですわ。わたくしも明確なものはありませんし」

「いや、私のことは」

「「今考えます」」

「あ、はい」


 またパトリシア様と重なった。勢いが強かったのでメアリー様が折れる。

 わたくしのように側から見たら明らかにわかるのなら、強硬手段を取ることも考えるけれどメアリー様は少し違う。


「ここはダニエル様次第になりそうですわ……」

「それはあまりにも他力本願ではありませんか?」


 わたくしの言葉に、パトリシア様が言う。


「それはそうですが、そもそもわたくしたちは部外者となりますよ? それこそ、人の恋路に首を突っ込んでいるようなものです」

「う」

「人に言われて恋人になるとか、結婚するとかはナンセンスですわ。本人たちの意思を尊重しないといけませんし」

「ヘンリエッタ様、さっきと言ってることが二転三転していませんか⁉︎」

「自覚はしております。けれどいろいろ考えると、積極的に首を突っ込んではいい方向に行かない気もするんです」

「た、確かに……」


 わたくしの言葉に、メアリー様はほっとした表情になる。

 けれどさらに続いたわたくしの言葉に、再びオロオロすることになる。


「とはいえ、()()()()首を突っ込まないということですわ。相談されたら全力で応えるのが、最善の道かと思いますの」

「そうですわね! そう言われますと、今の状態ではダニエル様次第ということになりますわ」

「え」

「そうでしょう? ええ。わたくしたちはヤキモキしてしまいますが、ここが肝かと思いますの」

「わかりましたわ」

「ど、どうしてこんなことに」

「メアリー様、今日はそういう日ですわ。先ほどから“どうしてこんなことに?“とはわたくしも何度も思っております」

「あうう」


 わたくしの言葉にメアリー様が崩れ落ちてしまった。


「そんなに身構えることもないでしょう? メアリー様は自分のしたいようにすれば良いのです。それでどのような道を選んでも、わたくしたちは味方ですわ」

「パトリシア様のいう通りです。メアリー様はわたくしの時も、味方になってくれたでしょう? 同じですわ。わたくしもメアリー様が後悔しないのなら、全力で支えますわ」

「お2人とも……。はい、分かりました」


 なんとか全員が納得できる終着点を見つけられて良かった。

 色々考えることがあるな。けれど、大変という気持ちはなく、ただ皆がどうなるか楽しみだった。


「それでは、名残惜しいですがそろそろ解散しましょうか」

「まあ、こんなに時間が経っていたのですね」

「たくさんお話しできて、楽しかったです。本当に色々ありましたが」


 久しぶりに3人で話をして、盛り上がったためか気がついたらもう日が暮れて始めていた。

 明日も学園なので、今日はここで解散することにした。

 地理的にはディグビー公爵家とキャンベル男爵家の間に、スタンホープ侯爵家があるのでディグビー公爵家の馬車に乗せてもらい、帰宅することになった。

 その間もなんだかんだ話が弾む。けれど時間も限られているので、わたくしがお土産に用意したブレスレットの話だった。


「このブレスレット、本当に綺麗ですね。光が当たると、程よいキラキラでずっと眺めていたいです」

「ええ。安価とはいいますが、細部にまでこだわっているのが伝わってきますわ」

「お母様がお勧めしてくれたのです。昔からのお気に入りということで、お店も光の当たる角度を調整していて素敵でした」

「いつか行ってみたいです!」

「来年でも行きますか? その時の都合にもよりますが」

「良いですわね。お互いの状態がどうなっているか、想像できませんが是非わたくしも行きたいですわ」

「それでは、行けるように頑張りましょう」

「はいっ」

 

 1年後、わたくしたちはどうなっているのだろう。

 未来に思いを馳せるなんて、そういえばして来なかったな。とても、幸せだな。


 ◇◇◇


 数日後。わたくしの周りで、動きがあった。

 ダニエル様が、わたくしとパトリシア様に話があると言ってきたのだ。

 メアリー様が別件で席を外しているところを狙ったということは、そういうことであろう。

 二つ返事で了承し、また時間を作ることにした。

 いつもわたくしたちは3人で行動しているので、メアリー様がいないタイミングを狙うのは難しい。どうすれば良いか悩んでいると、フレディ様が何とかすると言ってくれた。


「私の為に恐縮です、殿下」

「何を言っているんだ。ダニエルには貸しがあるからね。同じように悩んでいるのなら、力になりたいんだ」

「けれど殿下、殿下が動くのは中々難しいのではないのですか? 嫌な噂が立つこともあり得ますわ」


 パトリシア様の心配は最もだ。特にわたくしたちの婚約は公然の秘密となっている。

 そのこともあって、パトリシア様は心配してくれている。

 

「心配ないよ。私は動かなければ良いのだからね」

「ああ、そういうことですか」

「まあ職権濫用だね。明日で良いかな?」

「わたくしたちは問題ありませんわ」

「私も問題ありません。お2人も、ありがとうございます」


 そんな会話をした次の日。メアリー様は放課後に教師に呼ばれたということで、わたくしたちと別れた。

 フレディ様、確かに教師を使うのは安全ですが、些か別の問題が浮上してしまうと思います。

 職権濫用とは言っていたけれど、これは濫用が過ぎるのではないのでしょうか。

 なんて言いたいけれど時間は限られているため、ここは目を瞑ることにする。

 こうして染まっていくんだな、なんて思った。


「じゃあ後は頑張って」

「はい、ありがとうございます」


 フレディ様とダニエル様がそんなやりとりをして、フレディ様は去っていった。

 話がしやすいようにと、空き教室も用意しているので抜かりがない。

 恋の相談でこんなことをして良いのだろうか。そう思っていたのは、わたくしだけではなかった。


「職権濫用だとは仰っていましたが、ここまでしますのね」

「使えるものは使わないと、好機を逃すことになりますからね」


 パトリシア様の苦言に、ダニエル様は首をすくめる。


「まあ、言いたいことはたくさんありますが、時間がありません。本題に入りましょう」

「ありがとうございます」

「先に確認しますわ。ダニエル様はメアリー様のことをどう思っていらっしゃるのですか?」

「……好ましいと思っています」

「貴方のことですから、色々考えた末のことなのでしょう?」

「はい。色々難しいことはありますが、彼女と近しい仲になれたらと。それで、以前お話ししていたお礼を含めて、その……」


 パトリシア様の質問に答えつつ、少し顔が赤くなるダニエル様。

 本当にダニエル様は、メアリー様に傾いているな。しかし中々自分のことを話すのは、性格も相まって恥ずかしいのだろう。

 それでもここで照れて止まるようでは心配だ。頑張れ。


「…………デートに誘いたいのです。……お2人とも、拍手をするのは止めてください」

「ごめんなさい、つい。パトリシア様まで拍手するとは思いませんでした」

「わたくしも気がついたら……。ダニエル様の性格を理解しているからこそですわ」


 だって頑張ったら、褒めたくなるものでしょう?


「ゴホン。それで私は女性の扱いが分からないものですから、お2人の意見が聞きたいと思いまして」

「そういうことならお任せくださいな。メアリー様の好みはある程度把握していますし」

「まずは計画はどのようなものを想像しています? そこからアドバイスさせて頂きますわ。こういうのは、ダニエル様の考えも反映することも大事ですのよ」

「……お願いします」


 わたくしたちの勢いに、少し怖気付きながらも覚悟を決めたダニエル様。

 ぎこちないながらも、話し始めた。

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