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転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど!?  作者: 水月華
4章

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お兄様と話しましょう


 その後はフレディ様と、何回かに分けて会話をした。

 おかげで色々お互いを知ることが出来て、とても充実した時間を過ごすことができた。

 そしてフレディ様は、わたくしたちよりも一足早く王都に戻ることになった。


「楽しかったよ。どうもありがとう」

「こちらこそ、とても楽しかったですわ」


 馬車に乗る前に、皆でフレディ様を見送る。


「王都に帰るとお互い忙しくなる。環境も変わって大変なことも多いと思うが、どうか一人で抱え込まないでほしい」

「ありがとうございます」

「殿下、そうは言いつつも言いづらいこともあるんですから、ちゃんと気を配ってくださいね。姉上は頑張りすぎる傾向もあるんですから」

「ああ。肝に銘じておく」


 トミーがまるで保護者のようなことを言っている。

 心配なのはわかるけれど、少し恥ずかしい。


「ああ……トミーにお株を奪われてしまった」

「アル、嘆かないの。なんだかんだ、あなたも成長しているわ。トミーの方が上手だけれど」

「上げて落とさないでください、母上……」


 フレディ様が帰ったら、さすがにお兄様と話をしよう。なんだか日を追うごとに落ち込んでいるように見える。


「アルフィー、今回はあまり話が出来なくて申し訳なかったね」

「いえ、殿下が謝罪する必要はございません。全ては未熟な私が招いた種ですので」

「いいや、それでもアルフィーが私とヘンリエッタを心配していたのは知っている。今度、王城で改めてお礼をさせて欲しい」

「もったいなきお言葉です」


 フレディ様の言葉に、お兄様は少し上向きになったらしい。こういうことも気遣えるのもさすがだな。


「それでは殿下。道中お気をつけて」

「ああ。次に会うときは、関係も少し変わっているだろう。楽しみにしている」


 お父様がフレディ様と握手をしている。そろそろお別れの時間だ。

 とはいえ、夏休みももうすぐ終わるので、またすぐに会える。

 フレディ様は馬車に乗り込み、出発する。

 馬車が見えなくなるまで、わたくしは手を振り続けた。


◇◇◇


「さあ、我々も近々帰る準備をしないとね」

「ええ。名残惜しいけれど」


 お父様とお母様が言う。そしてトミーも交えて、邸に戻っていった。

 残ったのは、わたくしとお兄様。


「お兄様、少し話しませんか?」


 そう誘って、お兄様は頷いてくれた。

 あと少ししかここに居れないので、せっかくだからと散策しながら話す。


「お兄様、この夏休みの間、きちんと休むことは出来ていましたか?」

「いや。実を言うと休むことはしていない。父上の仕事の手伝いももちろんあるけれど、自分が不甲斐なくて休むと逆に色々考えてしまっていたんだ」

「そうなのですか? お父様もお母様もトミーも、皆厳しく接していたように見えたのですが」

「それは……本当に、僕が悪いとは思っているよ。へティも僕に不信感を持っていただろう?」


 お兄様は苦笑しながら言う。

「それは否定しませんが……。それにしても、お兄様にだけ、随分厳しくしているように見えましたわ」

「そんなことはないよ。元々僕も後半年もしたら、卒業だろう? 後継者教育も本格化する頃ではあったんだよ。だからタイミングが重なっただけさ」

「本当に?」

「本当に。まあ、自分の不甲斐なさを感じたこともあって、かなり辛いことではあったことは否定しないけれど。へティも夏休みは終わったら、妃教育が始まるんだろう? お互い、忙しくなるね」

「正式には婚約が終わってからと言うことですわ。まだ猶予はあるとのことですが、確かになんだかんだ忙しくなりますね」


 お互い、今みたいに時間を取ることは難しくなるのだろう。

 当然のことではあるけれど、少し寂しい。


「それにそろそろ僕も婚約者を決めないとね」

「確かにそうですわね。と言うより、妹のわたくしが先に決まるのがなんだか不思議ですわ。もう決めた方はいらっしゃるのですか?」

「まあ……ね。向こう次第にはなるのだけれど。それに、僕たちは殿下が決めてから、自分達も決めるとい暗黙の了解があったから」

「まあ、そうなのですか?」


 お兄様などはおそらく、フレディ様の件で集めれた令嬢と結婚するのだろう。

 そのことを踏まえると、確かにフレディ様より先に決めることは難しいのかもしれない。


「暗黙の了解というか、遠慮というか。殿下は常々おっしゃっていたよ。“自分のことは気にせず、お互い気にいる相手ならば婚約していい“と。実際、本当にできるかは別として、そう言われるのは楽になるね」

「殿下は本当に配慮してくださいますね」

「ああ。……話は変わるけれど、まだ“殿下“呼びなのかい?」

「一応、まだ正式な婚約も結んでおりませんし。……安心してください、2人の時は名前で呼んでいますわ」


 そんな不安そうな目で見ないで欲しい。

 けれど、公私を使い分けていることを知ると、安心したように目元を緩めた。


「それなら良かった。年下の殿下や妹が頑張っているのだから、僕もアプローチしないとね」

「ちなみにどなたなのですか?」

「秘密。僕も自分の気持ちと向き合っている途中だから」

「ふふ、わかりましたわ。わたくしではあまり参考にならないかもしれませんが、何かあれば相談してくださいね」

「へティは自分が絡まなければ優秀だろう? だからその時は頼むよ」

「まあ、わかりましたわ」


 もしかして、スタンホープ家は自分の気持ちに鈍いのかしら?

 いいえ、お兄様は向き合っていると言ったから、鈍いわけではないですね。


「トミーはどうでしょう……。わたくしが気にしても、ということではありますが」

「年齢的にも、今すぐ決めることではまだないだろう。けれど、トミーは押しに弱いから、ぐいぐいこられたら受け入れそうな気もするな」

「確かに自分から新たな道を……は時間がかかるかもしれません。それならば、相手から来てくれるといいですね。それからわたくしはきっと相談に乗れないので、お兄様お願いしますね」

「任せといて。けれど、なんだかんだへティは放っておかないと思うけれど」

「……トミーが相談してくれたら、全力で応えます」

「うん、それでいいと思うよ。話してくれてありがとう。そろそろ行こうか」

「はい。お兄様、わたくしはお兄様が大好きですわ。今回のことは、露骨に秘密ごとをしたのに怒ったのです。できれば今回みたいな隠し事はしないでくださいね。するならきちんと隠し通してください」

「へティ……。ごめんね、もうしない。へティに隠しごとはバレるからね」

「まあ。ふふ」

「本当、問い詰めてくるへティは怖かったよ」

「ひどいですわ」


 お互い笑いながら、言い合った。

 ひとしきり笑った後、帰る準備もあるので、解散することになった。

 お兄様と別れて部屋にもどると、エマが手紙を持ってきてくれた。


「まあ、お2人から同時に手紙が来たのね。それに早いわ」

「それだけ、お嬢様のことを心配していたのでしょう」


 エマは手紙を渡すと、退室した。本当にわかっている。

 手紙を早速開けて読む。


「パトリシア様は……“詳しいことはまた会って聞きますが、無事あるべき場所に着地して安心しました。“……本当、感謝しても仕切れない。メアリー様は……“良かったです。今度パトリシア様と一緒に色々聞かせてください“……メアリー様も男爵とはどうなったのか、気になるわ。一緒に聞けたらいいのだけれど」


 2人とも本当に心配してくれていたのだろう。内容がほとんど同じなのが少し面白い。


「お話しするために、お茶会でも開いた方が良さそう。お母様に相談しましょう」


 まずは帰る準備をしようと、エマを呼んだ。

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