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転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど!?  作者: 水月華
4章

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204/282

【幕間】お忍び

お久しぶりです。

コロナから復活しました。

またよろしくお願いします。

これを機にこれから月水金の週3日の投稿に変更しようと思います。

1話の文字数も増やす予定ですので、1週間の量としては大きく変化はないとおもいますが、よろしくお願いします。



 そんな思いを抱えながら、アレキサンダーのところにたどり着いた。

 ノックをすると、執事長のトーマスが出てきて頷いた。本来であれば、トーマスは王都の邸を取り仕切っているはずなのだけれど、アレキサンダーが仕事を溜め込んでしまっていたせいでフォローのためについてきた。

 それもアメリアの指示だ。トーマスも心配していたので、2つ返事で頷いた。

 閑話休題。


「旦那様、トミー様がいらっしゃいましたよ」

「ああ、ありがとう。本当にすまないね」

「いいえ」

「トミー、こっちだ」


 促されて入室すると、前回見た時より大分書類が片付いている。

 それに伴い、アレキサンダーの顔もやつれているので、相当頑張ったのだとわかる。溜め込んだのもアレキサンダーだけれど。

 もちろん、アメリアもアルフィーもいた。アルフィーも少し疲れているようだ。アメリアが変わらないのが逆に恐ろしい。

 ソファに座って、3人を待つ。

 先にアメリアが向かいに座った。


「今日はへティとお出かけしてきたのよね?」

「はい」

「どうだったかしら?」

「とても良かったです。母上に教えていただいた、お店や景色は姉上もとても喜んでいました。ありがとうございます」

「そう、それは良かったわ。教えた甲斐があると言うものね」


 トミーは少し考える。今日のことをアメリアに話そうとは思うけれど、どこから話すべきか。

 そもそも呼ばれた理由も、トミーの憶測でしかない。ここは一旦、アレキサンダーの話を聞いてからヘンリエッタのことを話した方がいいかもしれない。

 と、急にトミーの視界が暗くなった。

 顔を上げるのと同時に、暖かい感覚に包まれる。いや、拘束される。


「ちょ、くるしっ」

「トミーぃ……。疲れた。こんなに大変だと思わなかった。僕はまだまだ未熟者だよ」

「あ、兄上っ! 離れてくださいっ」

「ふふ、トミーの髪はふわふわだねぇ。へティの髪も気持ちいいけれど、トミーも気持ちいいなぁ」

「僕は愛玩動物ではないんですが!」

「もちろん。僕の大切な弟だ。僕の自慢」


 アルフィーは疲れのあまり、癒しを求めているようだ。トミーの頭にすりすり頬擦りしている。

 しかし、抱き締め……いや絡みつかれているトミーは堪ったものではない。

 2人には体格差があり、のし掛かられると重い。情けないけれど、振り解けない。

 美少年2人の絡みということで、側から見れば微笑ましいものだけれど、ちょっと、いやかなりアルフィーの言動が危ない。

 疲労は時に人を変貌させる。欲望が優先されてしまうものだ。

 誰だこの人。

 だからトミーがそう思ってしまうのも無理はないのだ。

 いよいよソファに押し倒されそうになったところで、アレキサンダーが止めに入った。

 アメリアでは力で負けてしまう。


「もうやめなさい、アル。トミーが潰れかけているよ」

「うぐっ」


 多少乱暴に、首根っこを掴んで離れさせる。まだ様子がおかしいけれど、トミーの隣に座り直してくれた。

 アレキサンダーも、アメリアの隣に座る。

 これ、この後大丈夫だろうか? とトミーは不安に思う。

 またアルフィーが暴走しそうで怖い。

 

「さて、今日来てもらったことに、何か心当たりみたいなものはあるかな?」

「心当たりしかないのですが。そもそも隠せてると思っていたのですか?」

「いや、それはすまない。その通りだね」


 思わずジト目になってアレキサンダーを見やると、困ったような表情をする。

 そのままトミーは、隣のアルフィーに視線を送った。


「まあ、1番おかしかったのは兄上ですが」

「あ、あはは」


 流石に気まずいのか、視線を逸らすアルフィー。

 しかし、こういう風に話すということは、トミーには話せるということなのだろう。

 話を進めたいので、表情を戻して続きを促すことにした。


「それで、姉上の件ですよね? 何のお話ですか?」

「あ、ああ。何から話そうか。いかんせん、この話は色々絡みあっているから」

「それでは、まずはトミーの気持ちを聞いてもいいかしら?」


 アレキサンダーが言葉に詰まると、助け舟を出したのはアメリアだ。

 

「しかし、アメリア」

「まあ、貴方は気にしすぎよ。トミーの顔を見てご覧なさい」

「いや、それで的中するのは、君だけだからね」

「父上、母上の言う通り、僕は大丈夫ですよ」


 アメリアは自分の気持ちと向き合えと、アドバイスをくれた。そのアメリアが、トミーの気持ちを聞きたいという。

 それならば、答えなければならない。

 トミーは軽く息を吐く。


「結論から言いますが、僕は殿()()()()()()()()()()()()姉上とは姉弟の関係でいようと思います」

「!」


 その言葉に誰よりも驚いたのは、アルフィーだ。

 バッと音がなりそうな勢いで、トミーを食い入るように見つめる。

 アレキサンダーも驚いたようだけれど、トミーの言い方に引っかかるものがあったようだ。


「‘’しっかりしていれば‘’……何だか、含みを感じる言い方だね?」

「はい。話せば長くなりますが……」


 トミーは先ほどのヘンリエッタのとの話を、3人に聞かせる。

 聞き進めるうちに、アレキサンダーは額を掌で抑えた。頭痛を覚えたらしい。


「……我が娘は聡明だと思っていたけれど、自分のことになると鈍くなるのかな?」

「まあ、貴方そっくりではありませんか」


 アメリアは楽しそうに笑っている。

 この状態を楽しめるアメリアは、大物だ。

 

「なので僕は殿下が万が一にもヘタレやがったら、遠慮なく姉上を娶ろうと思います」

「なるほど、だから‘’しっかりしていれば‘’と言うことなんだね」

「はい。僕は殿下なら、姉上を幸せにできると思います。……僕以上に。悔しいですが、負けを認めざるを得ません。……そう、思っていたのですけれどね」

「うん、よく分かったよ」


 アレキサンダーは少々複雑な表情をしている。


「けれど、トミー。あんなにへティのことを好きだったのに……」


 アルフィーは心配そうな表情をしている。

 トミーは首をすくめながら答えた。


「今でも姉上のことは好きですよ。殿下でなければ、諦めていないです。僕は姉上の幸せを最優先にしたいんですよ。姉上のことを幸せにできるのが、何も僕でもなくてもいい、って思えるようになったんです」

「トミー……」


 あれだけ幼少の頃から、2人を見てきたアルフィーだ。トミーがへティを想う気持ちが、軽いものではないことを誰よりも知っている。

 トミーの成長と喜ぶべきなのか、自ら失恋の道に進もうとしているのを止めるべきなのか。

 アルフィーがかける言葉を悩んでいると。


「トミー。よく頑張ったわね。たくさん、悩んだでしょう」


 声をかけたのは、アメリアだった。

 トミーは微笑を浮かべる。


「そうですね。最後の決め手は、姉上の変化でしたが。けれどまだ決定ではないですよ。殿下が僕の期待を上回ってもらわないと、許しませんから。ただでさえ、今回のことは大きな減点ですからね」

「ふふ。殿下も大変ね」

「姉上を選ぼうとするなら、当然のことです」


 アメリアがそう言ってくれたことで、気持ちがとても楽になった。

 そこまで話したところで、アレキサンダーが咳払いをする。


「ありがとう、トミー。話してくれて。トミーの気持ちが聞けたことで、この後の予定もこのまま行けそうだ」

「予定とは?」

「実はね、お忍びで殿下が我がスタンホープ侯爵領に来ることになっているんだ」

「はい?」


 トミーが素っ頓狂な声をあげる。無理もない。

 この夏休みでは進展できないと思っていたから。


「え? ここにですか?」

「ああ。何だか打診した時の殿下も、様子がおかしかったんだけれどね。うん、トミーの話を聞いて繋がったよ。殿下もへティと拗れているのに気がついて、修正しようとしているみたいだね」


 アレキサンダーは、そういって笑った。

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