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転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど!?  作者: 水月華
4章

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203/282

【幕間】トミーの変化

突然ですが、コロナになりました。

この話までストックがあったのですが、明日の分からはありません。

そのため、明日からの投稿が暫く難しい状態です。

申し訳ありませんが、体調回復までお待ちいただけると幸いです。


 ――そしてまた、視点は変わる。

 ヘンリエッタとパトリシアが、手紙と悪戦苦闘している頃。トミーはアレキサンダーに呼ばれた。

 最近、トミーも家族の様子(主にアレキサンダーとアルフィー)がおかしいことには気がついていた。

 けれどヘンリエッタに言った通り、トミーも詳しいことは知らない。聞いては見たけれど、はぐらかされてしまった。

 しかし周りに(主にアメリアとヘンリエッタ)という駆け引きが上手な2人がいるおかげで、なにを隠しているか想像がついてしまった。

 アレキサンダーとアルフィーの名誉のために言っておくと、2人も決して駆け引きや表情の作り方が下手ではない。

 他2人が上手すぎるために、アラが目立ってしまうという状態だ。

 それに加えて、家族に対してポンコツになりやすいという性格もしていることも要因だが、それはさておき。


(きっと話は、姉上のことだろう。僕以外にはまだ話していないようだけれど、姉上の様子が急におかしくなったのは皆気がついているから……)


 言葉に出さないし、ヘンリエッタの前でも普通に過ごしていたけれど、逆にヘンリエッタがいない時に心配している様子が見てとれた。

 実はヘンリエッタが夕食はいらないと言った、テスト結果発表の日。心配したアレキサンダーとアルフィーは、ヘンリエッタの様子を見にいこうとした。

 それを止めたのが、アメリアだったのだ。


「今はそっとしておきなさい。乙女の秘密に土足で踏み入るつもりですか」


 あの時のアメリアはなかなか怖かった。

 そしてこう続けた。


「これからわたくしが、説明して差し上げますわ。ですから、覚悟してくださいませ?」


 そう言って、アレキサンダーとアルフィーを引きずって――幻覚だが――行く。

 トミーも慌ててついて行こうとしたけれど、アメリアに止められる。


「トミーは大丈夫よ」

「ですが、母上」

「貴方はこの2人のように、余計なことはしないもの。それにトミー、貴方は今、自分の気持ちと向き合うのが何よりも大切よ」

「……はい」


 気がつかれている。本当に、油断ならない。

 

「覚えておいてね、トミー。貴方はわたくしたちの、自慢の息子よ」

「はい。……僕も、母上は自慢です」


 そういうと、アメリアはにっこり笑った。


「嬉しいわ。それでは、問題ないわね」

「はい」

 

 その言葉だけで、信頼されているとひしひしと感じることができた。

 だからトミーはこの夏休みに、一歩、大きな一歩を踏み出すことを決意した。


 そのために今日、ヘンリエッタをデートに誘った。

 まあ一歩踏み出すことは、別の問題のせいでできなかったのだけれど。


「まさか、姉上と殿下が拗れているとは思いませんでしたよ……」


 邸の廊下を歩きながら、独り言が溢れる。

 それこそ、トミーの決意を返して欲しいくらいだった。

 もうトミーは、ヘンリエッタを諦める、いや、姉弟として生きていこうと決意した。

 しかし、現実はおかしな方向になってしまっている。

 ヘンリエッタはあの時、涙こそ流していなかったけれど、トミーには泣いているように見えた。

 フレディに対して、怒りが湧きあがったのも事実だ。


「殿下は何をしているんだか……。僕だったら、絶対そんなことはしないのに」


 ヘンリエッタの話を聞いていれば、確かに勘違いしてもおかしくはない。

 お互い、同じ女性を想っていたからこそ、空回りしていると気がついただけだ。

 ……フレディなら、ヘンリエッタを幸せにできると思ったのに。

 トミーは、ヘンリエッタを幸せにする自信があった。

 しかし、あらためてフレディの人格に触れて、この人なら自分以上にヘンリエッタを幸せにできると思った。

 トミーはヘンリエッタの幸せを何よりも願っているからこそ、その役割が自分でなくてもいいと徐々に考えるようになったのだ。

 それなのに。フレディは何をしているのか、と問い詰めたくなる。


「……殿下がヘタレやがったら、それこそ奪ってやりますからね」


 そう呟いた表情は、どこまでも本気だった。

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