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転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど!?  作者: 水月華
4章

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注目されているのは?


 後半分ほどの量になった。この辺りから結構食べづらくなってくるのよね。

 トミーが串からお肉を外したときに、口の端にタレが付いていた。

 いつもならトミーもナプキンで拭くところだけれど、片手が串焼きでハンカチを取り出せない。

 諦めて口の端をペロリとなめ取った。

 わたくしは、変な声が出そうになるのを必死で堪える。


(な、なんなの……⁉︎ 色気がすごいわ! あああ、顔面国宝……はっ! こんな姿を他の方が見たら、イケナイわっ。たちまち囲まれてしまうじゃない!)


「姉上っ。タレが手に零れてますよ!」


 トミーの声に我に帰る。確かに串の部分から、タレが手に伝ってしまっている。

 このままでは、服についてしまう。真っ白な服だから、汚れたらまずいわ!


「あっ、大変」


 もうハンカチを出す余裕もない。

 こぼれ落ちる直前に、舌で受け止めることに成功した。

 ギリギリセーフだ。よかった。


「危なかったわ。教えてくれてありがとう、トミー。……トミー?」

「…………」

 

 呼びかけても、反応がなかったけれど、数秒置いて我に帰った。


「大丈夫?」

「いいえ、これっぽっちも、大丈夫では、ないです」


 なぜか一音一音区切って言われてしまった。


「早く食べましょう。虫が寄ってきても困りますからね」

「虫って……確かに今の時期、虫は多いけれど見当たらないわよ?」

「お嬢様、そんなボケはいいので食べましょう」

「え?」


 ボケたわけではないのだけれど。

 首を傾げていると、トミーは険しい顔をしながら辺りを見回している。

 追うように視線を滑らせるけれど、そこには歩く人がいるだけでおかしなところはなかった。

 なぜかエマも険しい顔をしている。

 とりあえず急かされるまま、串焼きを頬張った。

 食べ終えると、エマが串を回収してくれた。

 捨てに行くと言うので、待とうとしたけれど。


「ここにいては面倒なことになるので、先に行ってください」


 と言われてしまい、トミーに促されるまま最初の目的地に向かった。

 いろいろ確認したいけれど、2人の勢いがすごくてそんな余裕はない。

 諦めて、トミーについていく。

 

「……とりあえず、ここまで離れれば大丈夫でしょう」


 ある程度進んだところで、トミーは息を吐いた。

 そんなに緊張することだったのかしら? ゴロツキのような人相の悪い方はいなかったけれど。


「急にどうしたの? あの時は特に変わったことがないように思えたけれど、何かあったの?」

「それ、本気で言ってます? ああ、言ってますね。姉上ともあろう方が、逆にどうしたのですか」


 どう言うこと?

 普通のわたくしなら、理解できることだと?

 直前のことを思い返す。あの時は――。


「ああ! トミーに寄って来そうな、女性が沢山いたのかしら?」

「…………はあああああ」

「ごめんなさい」


 思いっきりため息を吐かれてしまったので、不正解どころか呆れられているわ。


「姉上、どうして、僕の、話になる前に、ご自身のことは、考えないのですか。あの状況は、どう考えても、姉上に、視線が、集まっていましたよ」


 先ほどよりも、協調の仕方がスゴいです。

 後、瞳孔開いてるのやめてください。わたくしが悪かったですわ。


「そ、そうだったの? けれど、周りを見ても皆普通でしたわよ」

「僕とエマのおかげです。殺気込めましたから」

「ごめんなさい。だってあの時のトミーったら、色気が凄かったのだもの。囲まれたりしても、なんら不思議はないと思ったのです」

「…………」


 急に表情が消えたトミー。

 あ、またまずいことを言ってしまいましたわ。

 と思ったら、顔を真っ赤にして後ずさった。

 あ、理解に時間が掛かって表情が消えたのね。


「〜〜〜〜っ」

「え、えっと、トミー?」

「もうっ。本当に貴女と言う人はっ! そのしれっと爆弾を落とすの、やめてください!」

「ご、ごめんなさい」

「行きますよ!」


 そう言って、やや乱暴にわたくしの手を掴むトミー。

 いつものエスコートとは全く違う、手繋ぎに驚くけれどトミーの顔は見えなかった。

 髪からチラッと見える耳は赤かったのが、目に焼きついた。

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