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転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど!?  作者: 水月華
4章

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デートに行きます


 翌朝。朝食を済ませた後、エマに頼んで身支度を手伝ってもらう。


「お出掛けですね。承知しました。どのようなところに行くのでしょうか?」

「あんまり詳しく聞いていないの。けれど景観がいい場所と言っていたから、どちらかと言うと動きやすい服が良いわ」

「承知しました」


 ああでもない、こうでもないと服装を考える。

 今回はとてもシンプルに、白のワンピース。キャミソールタイプの形に、繊細なレースがあしらわれている。スカートの長さは膝より少し長いくらい。

 それにツバの大きめの麦わら帽子を合わせる。白いリボンがアクセントになっていて、とても可愛い。

 絵に描いたような、避暑地のお嬢様の完成だ。

 髪は下ろしておく。

 日焼け防止に日傘を自分で持つ。

 もちろん護衛はいるけれど、きっと話をするのに2人きりに近い状態になるだろうから日傘は持っておいた方がいい。


「完璧ですね。素晴らしいです、お嬢様。画家の方がいたら、間違いなく描かせてくれと懇願されたことでしょう」

「上手ね、ありがとう。エマの見立てが素晴らしいのよ」

「ありがとうございます。それから私も同行させていただきますが、基本は少し離れたところにいます」

「ええ、よろしくね」


 昨日エマにトミーと出かけることを話したところ、既にトミーから話は聞いていたらしい。あの後トミーと夕食まで一緒にいたし、もしかしてだいぶ前から計画していたのかしら。

 朝食の席でも、トミーが説明してくれていた。

 お父様はなんとも言えない表情をしていた。多分だけれど、自分も出かけたいという思いも混ざっている気がする。それ以上のこともあるとは思うけれど。

 とはいえ、反対されることもなく、出かけることになった。

 準備が整って最後の確認をしていると、扉がノックされる。

 トミーも終わって、迎えにきてくれたらしい。

 扉を開けて、出迎えた。


「お待たせしました。行きましょうか、トミー」

「……」

「トミー?」


 話しかけるも、何故が微動だにしないトミー。

 目の前でヒラヒラ手を振ると、我に返ったように咳払いをした。


「大丈夫? どこか体調悪いの?」

「い、いえっ。体調はすこぶる良好です」

「そうなの?」

「はい、その……。姉上があまりに綺麗で言葉を失っていました」

「そ、そうかしら。いつもよりシンプルなのだけれど」


 トミーには、今まで様々なドレスアップ姿を見せていた。その時だって、ここまで動揺した様子はなかった。

 なんだか恥ずかしくて、思わず視線を落とす。


「と、トミーはこのような感じの服装が好みなのかしら?」

「……いえ、姉上にその服装が合いすぎているというか……」

「え?」

「なんでもありません。これはエマの見立てですか?」


 ゴニョゴニョ言っていたのが聞き取れず、聞き返そうとしたけれど誤魔化されてしまった。


「はい。トミー様の反応を見るに、大正解だったようで私としても頑張った甲斐があります」

「そうですね。流石、姉上のことをよくわかっていますね」

「お嬢様だけでなく、トミー様のことも考えていましたよ。すこし破壊力が強すぎたようですが」

「……大丈夫ですよ」


 そしてこちらに手を伸ばすトミー。

 先ほどとは違い、立派な紳士の顔をしていた。


「では姉上。今日は一日、エスコートさせてもらう名誉を頂きますね」

「ええ。よろしくね、トミー」


 そして横並びになり、気がつく。


「……あら? トミーまた背が伸びた?」

「そうでしょうか? 確かにこのところ脚が痛いのですが」

「成長痛ね」


 以前も視線が同じくらいになっていて驚いたばかりだったけれど、今は少しだけ視線を上にしないと目が合わない。

 そんなに時間経ってないはずなのに。成長期なのね。

 体格もまだ発展途上という感じだけれど、筋肉がついてきている。

 顔の造りも少年から青年へ愛らしさが残りつつ、精悍さも混ざる危うい雰囲気になっている。

 男の子って本当に成長が早いのね。


「ふふ。これでは流石にどっちが年上か、わからないわね」

「そんなことはないでしょう。姉上も日に日に綺麗になっていますし」

「っ。ありがとう、トミー」


 危ない。撃ち抜かれるかと思った。

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