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転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど!?  作者: 水月華
4章

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家族の様子が変ですわ


 支度を終え、ダイニングに向かうとお母様がいた。

 珍しい。いつもお父様もいて、2人で待っていることが多いのに。


「お母様、おはようございます」

「おはよう、ヘティ。初めての長旅、疲れたでしょう。よく眠れた?」

「それはもう、半日以上寝ましたもの。お寝坊さんにも限度というものがありますわ」


 わたくしの軽口に、お母様はくすくす笑う。

 

「お母様は大丈夫でしたか? お兄様とトミーは同じ感じだったと聞きましたが」

「わたくしも流石に疲れて、早めには寝たわ。そのために昨日は予定をあまり入れなかったしね」

「そうなのですね。それで、お父様は?」

「アレキサンダーなら、仕事をしているわ。本当なら一緒に食べたかったと、悔しがっていたけれど」


 その様子が手に取るようにわかる。

 数分後、お兄様とトミーも揃ったので朝食を摂った。

 

「昨日は邸の内部を見ることはできなかったし、把握しておきたいな」


 そう言ったのは、お兄様だ。

 わたくしと、トミーも同意する。


「わたくしも、せっかく1ヶ月滞在するんですもの。知っておきたいですわ」

「僕もです」

「あら、じゃあわたくしもいこうかしら」

「母上は何度もこの邸を訪れているのでは?」

「そうだけれど、数年ぶりだもの。それにあなた達とも最近時間が取れなかったから、良いでしょう?」


 そう楽しそうにいうお母様。


「ではお母様が、案内してくださるのですか?」

「ええ。任せなさいな」


 もしかして、お母様も久しぶりの領地ではしゃいでいるのかしら。

 と思っていたけれど。


「そうすれば、アレキサンダーはもっと悔しがるもの。だから領地に来る前に、ある程度仕事は終わらせておきなさいと言ったのに」

「まあ。お父様が仕事をため込むのは珍しいですね?」


 お父様は、仕事をきっちりこなす。溜め込むところなんて見たことがない。

 そういうと、なぜかお兄様が気まずそうにしているのに気がついた。


「ええ。へティからも言ってあげなさい。そうすれば、もっと落ち込むから」

「……お母様、なんだかお父様に辛辣ではありませんか? それにお兄様、どうしたのです?」

「ふふ。アルもアレキサンダーが仕事を溜め込んでいたところを見ていたのよ。たまたまだけれど」

「それでなぜ……?」


 ちょっと繋がりが見えない。

 けれどお母様はそれ以上話さなかった。

 お兄様もだ。トミーに視線を送るけれど、やはり、首を横に振られた。

 なんだか家族に隠し事をされている気がする。

 なんなんだろう。

 けれど、お母様が言わないということは、まだ時期ではないのだろう。

 聞いてもはぐらかされるだろうし、待つしかないのか。

 思わずため息をつくと、お母様はくすくす笑う。


「まあ、ヘティ。淑女たるもの、人前でため息を吐いてはいけませんよ」

「……誰のせいでしょうね」

「あらあら、わたくしにはさっぱりわからないわ」

「もう……。良いですわ。お兄様に犠牲になっていただきますから」

「え⁉︎」


 そこでようやくこちらを見るお兄様。

 少し怯えが見えるのは、日頃の行いか。


「ええ、お兄様もこのところ様子がおかしいですから。そのことを話さないお兄様が悪いということで」

「そんなぁ」

「アル、侯爵家嫡男がそんな情けない声を出すものではありません」

「母上はどちらの味方ですか……」


 なんだろう。この領地での生活、荒れそうな気がしてきた。

 嫌な予感が頭を占める。


「大丈夫よ、ヘティ。悪いようにはならないわ」

「何故でしょう。いくらお母様の言葉といえど、信用なりませんわ」


 そう返すと、お母様は言った。


「それはあなたが大人になった証拠よ。親の言うことを無条件に正しいと思っていた時期から、1つ階段を登ったのね」

「そう言うことではない気がします」

「そう言うことなのよ」


 だめだ。やはりお母様には勝てない。

 改めて、そう感じた。

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