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転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど!?  作者: 水月華
4章

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タイミングが悪いですわ


「兄上は調子に乗せないほうがいいと、身をもって体感しました」

「ごめんなさい……」


 あのあと、宿に行ってほどなくトミーは目覚めた。

 ちなみに宿とは言っているけれど、貴族が泊まるために格式高くなっている。

 王都から領地に帰るために、さまざまな貴族が利用する宿で対応も慣れている。

 そして起きて開口一番、先ほどの発言をしたわけだ。

 お兄様は今日1番と言えるくらいに、縮こまっている。わたくしたちの中では1番体格がいいのに、今では1番小さく見える。

 というより、お兄様の様子がいつもと違うのよね。

 先ほどの見当違いな気遣いとか、トミーへの過剰なスキンシップとか。いつものお兄様ではやらないことだし、何かあったのかしら。


「お兄様、それにしても今日ははしゃいでおられますわね。そんなに領地に帰るのが楽しみでしたの?」

「え? あ、ああ! そうなんだよ。僕も将来のスタンホープ家の当主として、領地への理解も深めたかったからね。うん」


 なんだろう。絶対そういう理由ではないのが、ありありとわかる。

 むしろ誤魔化すの下手すぎじゃないかしら。

 1番可能性が高い理由を挙げてみたけれど、これではないわね。

 トミーと目を合わせたけれど、首を横に振っていた。トミーもよく分からないようね。

 こういう時のお兄様って、お父様と同じように空回りすることが多いからとても不安だわ。

 ちょっと問い詰めてみましょう。

 物理的に距離を縮めつつ、問いかけた。


「お兄様、目が泳いでいますわよ。どう考えても、それが理由ではありませんわね?」

「い、いやだなぁ。それじゃあ僕がまるで、不真面目みたいじゃないか。本当に領地のことも知りたいんだよ?」

「その言い方は、他にも理由があるよと言っているようなものですわね。さあ、誤魔化しても無駄ですわ。全てお話しくださいな?」

「ちょっと近いんじゃないかな? ほら、ここは我々のテリトリーではないんだし」


 なんとか誤魔化そうとしているお兄様。けれどここで、ここでわたくしにとっての助け舟が出る。

 

「兄上。僕も気になっているので、さっさと話してください。僕らの醜聞のためにも早くしたほうが身のためですよ」

「トミー……」


 お兄様が絶望の表情をしている。

 この部屋に味方がいないと確定しましたからね。

 トミーも近づいてきて、いよいよお兄様の逃げ場が無くなる。

 お兄様、万事休す。

 そう思ったけれど。

 扉のノック音が聞こえた。一瞬静寂が訪れて、諦めて返事をする。


「はい」


 入ってきたのはお母様だった。

 3人で固まっているわたくしたちを気にせずに、話し始めた。

 

「3人とも、食事の時間よ。明日も早いのだから、すぐに休めるように食事も早めに摂りましょう」

「わかりました、母上。ほら、2人とも。早く行こう?」

「「…………」」


 これはタイミングがとても悪い。

 お兄様にとっては、救いの手だったことだろう。

 悔しい。

 トミーも同じ気持ちだったようで、お互い無言でお兄様を見つめた。

 明らかに形勢が良くなったお兄様は、気にせずにお母様と行ってしまったけれど。


「はあ……仕方ありませんわ。わたくしたちもいきましょうか」

「そうですね」


 そう言って2人で、お母様たちの跡を追う。

 そういえば、トミーと並んで歩くの久しぶりだわ。最近は基本お兄様もいたし、トミーがわたくしを避けているようなそぶりもあったから、2人で歩くのはなかったわね。

 そう思うと、嬉しい。この状態では避けることも出来ないとは思うけれど、普通に会話できている。

 なんだかんだ最近は過保護が再熱していたけれど、少し落ち着いてきたのかな。


「姉上?」

「ふふ、楽しみだわ」

「食事がですか?」

「いいえ。トミーと、皆と領地に帰るのが」


 そういうと、トミーは少し目を見開いた後。


「そうですね」


 と、琥珀色の瞳を緩ませた。


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