平穏に3人で集まれる方法とは?
178話
5人で食堂に向かう。いつの間に1人増えたかというのは、ダニエル様だ。
殿下は今日1日休みなのか、まだ来ていない。
こちらを見ているダニエル様に気がついたのは、トミーだった。
「ダニエル様、一緒に行くのでしょう?」
「……私は」
「きっと兄上も来ると思っていますよ。殿下がお休みでも気にすることはないでしょう」
「そうですわ。きっとお兄様のことですから、ダニエル様のことを心配しますわ。妹として、お兄様に心配する事項を増やしてほしくないのです」
「そこまでいうのなら」
といった感じに、一緒に行くことになった。
内心で思ったことは。
(ダニエル様って、遠慮がちというか、コミュ障というか。まるで自分が殿下の付属品であることを甘んじているような? 流石にそこまでは考えすぎかしら。もしかしたら4人で話していたから、話しかけるタイミングを伺っていた可能性もあるし。もう少し様子を見ましょうか)
食堂の入り口でお兄様と合流する。
わざわざ待っていてくれたらしい。
「お兄様、お待たせいたしました」
「いや、僕も来たばかりなんだ。今日は殿下はご公務かな?」
「はい」
1番知っているだろう、ダニエル様に聞くお兄様。
他愛無い話をしながら、思い思いのランチを頼みいつもの席に着く。
食事も終わったところで、パトリシア様が切り出した。
「アルフィー様、実は夏休みまでにヘンリエッタ様とメアリー様と、3人でお出かけなどしたいと考えているのですが」
「3人でかい?」
一瞬、顔を顰めるお兄様。すぐに笑顔に戻って、思案するように顎に手を置いた。
「そうだね。最近は学園で事が起きているし、外なら良い……と思いたいけれどね。似たようなことを考えて様子見た結果、事が起きているからね」
「そうですわよね」
「なんだかわたくしのために……申し訳ありませんわ」
もう、罪悪感が半端ない。遂にキャパ超えましたわ。
縮こまりながら、謝罪をする。
そんなわたくしを見たお兄様は、笑いながらこちらに手を伸ばして頭を撫でた。
「いや、基本的にへティは巻き込まれているからね。へティが悪いわけではないよ」
「そう言っていただけるのはありがたいですが、撫でるのは遠慮してください」
「あはは。へティが迷子の幼子のような表情をしていたから、つい」
そんな表情をしていたのか。自覚が無いので、思わず頬をグニグニしてしまう。
「わたくしも、ヘンリエッタ様を困らせてしまいましたね。申し訳ありませんわ」
「まあ。パトリシア様、女の子同士で集まりたいのは普通のことですわよ?」
殿方がいると、話しにくいことも多いからね。
いや、本当に。内容を予測すると、避けたいことではあるけれど悲しませたいわけではない。
こちらの心情やら、状況やらに振り回してしまって申し訳ない。
無言のメアリー様も、困り果てた顔をしている。パトリシア様もだ。わたくしは言わずもがな。
と、ここまで静観していたダニエル様が、声を上げた。
「それなら、3人のうちの誰かの邸で集まれば良いのでは?」
「「「あ」」」
ダニエル様の提案に、目から鱗が落ちたような気分だ。
言い訳させてもらうと、わたくしは避けたかったので代替案なんて考えていなかった。
けれど、パトリシア様とメアリー様は、思いつかなかったらしい。
お兄様とトミーを見ると、2人は頷いている。
「うん、そうだね。それなら良いんじゃないかな」
「そうですね。それなら外部の人間が乱入することもないでしょう。ダニエル様、さすがですね」
「1番に出そうなものなのに誰も言わないので、理由があると思ったのですが……思いつかなかったのですね」
お兄様とトミーから肯定的な言葉を貰えたパトリシア様とメアリー様の表情が、目に見えて明るくなった。
その様子を見て、さらに罪悪感が込み上げる。
やはり2人には、わたくしのわがままで悲しい顔をしてほしくないわ。
こうなったら腹を括りましょう。お2人には、安心してもらえるようにわたくしが口八丁手八丁で頑張れば良いのだわ!
誰の邸にするかなど、話し合っているのを横目に見ながら決意した。
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