わたくしって歪んでますわ
昨日投稿出来なかった分です。
担当者の方は遅くまでお疲れ様でした。
ゆっくり休んでいただきたいです。
その後、何かを言いたげにするパトリシア様とメアリー様をはぐらかすのに苦労する……かと思いきや、そんなことはなかった。
トミーが朝言った通り、休み時間毎に様子を見にきてくれるからである。
うん。こう言ったらトミーに失礼だけれど、トミーが来るって言った時に反射的に断らないでよかった。
おかげでパトリシア様が言いにくい状況になっている。
お昼休みも、トミーが迎えにきた。メアリー様がおずおずと、トミーに提案した。
「あの、トミー様。今日のお昼は、出来れば3人で食べたいなと考えているのですが……」
「……そうですね。メアリー嬢が姉上を確実に守れるというなら、許可しても良いですが……。ただ、今までのことを考えますと難しいのでは?」
「うっ」
うーん、メアリー様。申し訳ないけれど、トミーの言う通りにさせていただきます。
大丈夫! と言い切れないのが、最近のわたくしたちの周囲。いや、それにしても誰も望んでおりませんが。
それにパトリシア様はわからないけれど、メアリー様は一昨日のことを話してきそうな予感がする。
予感なだけで外れているかもしれないから、外れたら申し訳ないとは思う。
断られたメアリー様だけれど、諦めずに次の案を出してきた。
「で、では放課後とか……」
「その時、僕が許可しても兄上が許さないと思いますね。ここのところ、兄上が1番姉上のことで気を揉んでいるので。昨日の件も、兄上が1番暴走しましたから。お2人も、その片鱗を見たんじゃないですか?」
「「……」」
「僕か、兄上か。どちらかが付いていって良いなら、許可は出せますけれどね」
もう、なんか本当、申し訳ない。
そう謝りたくなるくらいに、2人は悄気てしまった。いや、そうよね。普通に考えるなら、ただ友人と女の子同士で話したいというのに。
それをトミーもわかっているから、困っている。代替案も出してくれるけれど、パトリシア様とメアリー様にとっては不本意になってしまうことも理解しているから。
結局、2人は折れることにしたようだ。
「……仕方ありませんわね。けれど、夏休みに入る前に3人だけで話す時間が欲しいですわ」
「では兄上とも相談して、何かいい案がないか考えてみましょう」
メアリー様は迷っているようだけれど、パトリシア様に首を振られていた。
なんとか自分を納得させるようにしている。
「お2人とも、申し訳ありません。邸での家族の様子を見ていますと、暫く難しいかもしれませんわね」
「仕方ありませんわ。本当にヘンリエッタ様の周りでは、色々起きすぎですもの。完全にそれらからわたくしとメアリー様で守れるか、と言ったら難しいのも理解しておりますし」
「何かこう、起きそうな時に察知できるような道具があればいいのですけれど」
「それこそ魔術具の話になるでしょうが……。恐らくあれは起きてから身を守るという話になるでしょうし、難しいですわね」
そんな話をしていると、メアリー様がガバッと顔を上げた。
「はっ! 私の光魔術なら!」
「メアリー嬢、良い方法があるのですか?」
すかさず、トミーが聞く。
「いえ……思いついただけで、方法までは……」
先ほどの勢いは何処へやら、意気消沈してしまったメアリー様。
メアリー様の光魔術は、本人のイメージ通りになるという転生チート? があるけれど、やはり完全に使いこなすのは難しいのかしら?
「常時結界のようにして、害意のある人を弾くようにすればとも思いましたが……」
「……昨日の彼女たちのように、歪んだ善意では意味がなさそうですね」
「あうう……」
落ち込んでしまったメアリー様。
まあお兄様と話せば、何かいい案が出るかもしれないし。
そもそも。
「お腹が空いては、良い案も浮かびませんわ。とりあえず、ランチを食べながらでも考えましょう?」
そう言いつつも、内心は、良い案が出ない方が都合がいいと考えてしまうあたり、性格が歪んでいるなと思ってしまった。




